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【GAMEWORLD ONLINE】極限遊戯戦記 ゲームウォーリアー  作者: Kazu―慶―
第4章【アメイジング・ウォーズ編】

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250/310

第48話⑤~約束~

【アメイジング・現在状況】


・桐山剣 HP3400:手札0枚 EG⑩

 フォロワー:【ヴァルキリー・フレア・ドラゴン】(≪KIZUNA・ソウル≫装備中)

 マテリアル:【ボンドストーン】


 ・時実桜 HP50:手札0枚 EG⑩

フォロワー:無し


 フィールド:『フォーチュン・サンクチュアリ』

※手札制限・HP100支払って無効

 

 ――アメイジングウォーズ3rd STAGE(サードステージ)・桐山剣 VS 時実桜。

 スタートからどれ程の時が刻まれたのか、長い激闘もいよいよ終幕を迎えようもしていた。


≪フォーチュン・サンクチュアリ≫のロック能力で手札を落とされ、HPをじわじわと削られながらも、時間を稼いでデッキの可能性を信じて最後まで戦い抜く桜。


 だが桜の壁となるユニット、パーマネントは尽きた。相手の手札を削ぎ落とすコストとなるHPも払えなくなった。


 対して≪ヴァルキリー・フレア・ドラゴン≫とカスタムツールのコンボによりHP3400まで回復しきった剣。



 ――悪足掻きもとうとう限界まで来ていた。



「……もう分かってるだろうけど、次のドロータイムが最後のチャンスだぜ。お前がどんなに足掻こうとも俺は絶対勝つ。いい加減潔く諦めるんだな」


 剣は真剣な目付きで桜に警告した。

 最後まで諦めない彼女の姿勢に、少しずつ嫌悪感からプレイヤーとしての敬意を感じていた剣。


 だが剣もゲームに挑む戦士として、勝利だけは譲る事は出来ない。

 全ては立海銃司とのリベンジと、親友を救い出すために。


「『()()()』……」


 一方の桜、瀕死のHP50状態で途切れ途切れにPASの波動が消えつつある。

 それでも彼女は不安を振り払い、HPが尽きるまで戦う意志は消えていない。


 そんな時、彼女の脳裏にまた過去の記憶がフラッシュバックされる。



 先代城主、丈から交わした………



 ■■■■■■


「俺が事故か、或いは何者かに暗殺される事があって、この世から去ることになったら、―――その時は弟の銃司を頼む。桜と、仲間と一緒に……()()()()()()()()――!!」



 この時桜は、笑顔で丈の願いを承諾した直後の事を生涯一生忘れないであろう。


 誰のものでもない、親愛なる仲間である桜だけに見せた丈の、優しく暖かな笑顔を―――。





「……ありがとう、桜。()()()()()()()()()()()()()――!!」



 ■■■■■■

 


「――――――命より大切なこの約束………、死んでも諦めるものかッッッッ!!!!!!!!!!」


 再び桜のPASの波動が激しく燃えた!!

 何よりも清く、澄みきった無色のダイヤモンドカラー。PAS【OLD ClOCK(古時計)】は12時の針を指す。


「私の魂はまだ砕けていない!! 勝利の時間は私が刻むわ!!!」


 さぁ正念場へドロータイム、ラストチャンス!


「逆転の時間よ進め!! タイムプログレス・ドローッッ!!!!」


 桜の水色に帯びた手、その指先に引かれたドローカードは魂を宿すか!?


 カード名は……【月への旅立ち】!!


 〔剣 HP3400→3300〕


「――≪フォーチュン・サンクチュアリ≫の効果!! HPを100払ってそのドローを無効にする!!!」



 当然の如く弾かれた! しかし桜は動揺していない。ドローカードが墓地に置かれた、――その時!!


「……墓地に置かれた≪月への旅立ち≫の効果発動!!!!」


「なっ?! 墓地でも発動されるカードだと――!!?」


 ◎――――――――――――――――――◎

 ◎アクションカード◎

【月への旅立ち】属性:青 EG:②

 ・効果:フィールドのユニットを1体、手札に戻す。

[リターンバック]:EG:⑤

 ◎――――――――――――――――――◎


[リターンバック]とは、その能力があるカードは墓地にある場合、1度だけ墓地から発動できる能力だ。因みに発動後は除外フィールドに置かれる。


「EG⑤を払って、[リターンバック]による能力発動!! フィールド上のユニットを1体手札に戻す、対象は≪ヴァルキリー・フレア・ドラゴン≫!!」


「アイツ……、土壇場で≪フォーチュン・サンクチュアリ≫のロックを超えやがった――!」


 剣は唖然としながら、フィールドから手札に戻されたヴァルキリーのカードをパシッと手に加える。

 ヴァルキリーに装備された回復ツールカード≪KIZUNA・ソウル≫は対象が居なくなると共にそのまま墓地に送られた。



「まだ私は終わっていない!! 掛かってきなさい切り札騎士、私が紅蓮城の玉座を守り通してみせる!!!」



 ……しかし、桜のこのファインプレイは冷静に判断すると()()()()()()にしかならない。

 手札に戻ったヴァルキリーは再びフィールドに召喚されてはまた境地に立たされるだけだ。



「…………やっぱり、お前って馬鹿だぜ。メイドちゃん一人が意地になっちゃって、立海にゃ他の仲間も要るんだろ!?

 ――お前のちっちゃい意地が、ご主人の銃司すらも信用してない事になるのが分かんねぇのか!!!!」


「――!!」


 桜、この発言にはかなり図星のようだ。


「……だったらこう返してやるわ、そのちっちゃい意地はまだ十二分にある! 私をこの程度と侮らないことね!!」


「……だったら辛そうな顔すんなよ、逆境でも笑ってやるくらいの余裕を見せろよ!!

 俺から見りゃ大した魂掲げてはいるが、お前のその古時計のPAS、時計の針が()()()()()()()じゃねぇか!!」


「なっ………!?」


 ――桜の身体に無色のPASを宿り、その形を表す残影として見えている古時計の針は2つとも12時を指したまま。

 それは彼女の心に、まだ欠けているものがあるという暗示なのか。


 それを悟った剣の心には、彼女に対する敵対心は残っていない。……明らかに剣が桜に対する気持ちが変わった。


()()()()()()()()』と――!!



「………なぁ知ってるか? 俺たちゲームに挑む人ってのはさ、国柄とか人種とか、生まれつき目が見えない人みたいにハンディキャップの人も皆【プレイヤー】って言うんだぜ?

 ――それは皆、コンプレックスとかの垣根も関係なくゲームの中では正々堂々、()()に挑戦できるからなんだ!!」


「――――だから何ですか!?」



「俺たちプレイヤーってのは、何時までも過去の事に引きずりはしねぇ!!

 (てめー)で時計の針を動かさなきゃ――――、未来(あした)は切り開けねぇんだぜッッ!!!!」



 この刹那に剣のPAS、赤い波動の【LONG SWORD (ロングソード)】が激しく燃え上がる!



「今日は頼りすぎちゃって悪いな、だがあともう一度だけ俺に力を貸してくれ!

 ―――出てこい!! ≪ヴァルキリー・フレア・ドラゴン≫ッ!!!」



 フィールドに烈火の炎が包まれて……


「グギャオオオオオオオッッ!!!!!!」



 烈火の騎士竜は激しい雄叫びを上げて再び現れた!!



「さぁこれで最後だ! 行くぜ、桜ッッ!!!!!」



 ドロータイムまで残り10秒、ドラゴンが攻撃してくるまではそのカード1枚が頼り。

 これが正真正銘のラストチャンス、桜はこの逆境を越えられるか!?


 そして、時は満ちた――――!!!



「「ラストドロータイム、ドローッッ!!!!!」」



 桜のドローによって手にしたカード名は……、

()()()()()()()


「――ッ!!?」


 このカードが手に渡った瞬間、激しく動揺する桜。


 だが、その一方では――!!


『アクションカード、【アームズ・クラッシャー】!!』


 ◎――――――――――――――――――◎

 ◎アクションカード◎

【アームズ・クラッシャー】

 属性:黄 EG:③

 ・効果:相手プレイヤーまたはユニットに

 装備されているカスタム・ツールカード

 1枚を破壊する。

 ◎――――――――――――――――――◎


 桜に装備されているのは、たった1つ剣に対抗する唯一の武器、《シルバーナイフ》。ということは……!



「≪アームズ・クラッシャー≫で、桜の≪シルバーナイフ≫を破壊ッッ!!!!」



 ―――――バキィィィィィィン!!!!


 戦うための最後の希望、桜のシルバーナイフが閃光一つで破壊されてしまった――!!

 だが桜は武器の破壊ではなく、手にしたドローカードに未だ戸惑っていた。


(どうして……ここまで来てこのカードが――!?)


 ◎――――――――――――――――――◎

 ◎アクションカード◎

【優しくなりたい】

 属性:黄 EG:④

 ・効果:プレイヤー及び相手フィールド

 全てのユニットのAPを200ダウンさせる。

 ◎――――――――――――――――――◎


 残念ながら今の状況では、このカードでは決定打にはならない。


 剣は《フォーチュン・サンクチュアリ》の効果で桜のドローカードを確認する、そして桜が動揺した理由もカード名から静かに悟った。


「……それは、持ってても良いぜ」



(――もう、終わったわ。武器も、カードも、戦う術は残されていない……)


 桜に残されたのは≪優しくなりたい≫のカード1枚のみ。これは今の桜の本心を表しているのか……



「………どうしたの、討たないの?」


「いや……こんな状況でとてもじゃねぇが、止めを刺す気にはなれねぇ」


 長い激闘故に、もう剣は桜に対する敵意は微塵もなかった。


「そういえばお前、()()がどーこー言ってたな。………………よし、分かった!

 お前今度こそ降参(サレンダー)しろ。そうしたら銃司は殺したりしないって約束するから!」


「な、何を……?! 情けでもかけるつもりですか!!?」


「情けでも何でもねぇよ!! 俺はな、ここまで諦めないでゲームに挑むお前の事を気に入っちゃったんだよ!

 だからさ、今だけで良いからお前も立海だけじゃなくて、俺の事も信じてくれないか……?」


「………………」


 いきなりの事とはいえ、簡単には受け入れない桜。無言のままで通す。


「大丈夫だって! 俺友達とか気に入った奴の前じゃ嘘なんか付かねぇよ!!

 ――それに銃司の兄貴の丈って人もさ、見ず知らずの桜の事を信じてくれたんだろ?」


「――ッッ!!!」


 この状況にこの言葉は(ずる)い。彼女の中では一番心に突き刺さったのではないだろうか――?

 それを聞いた桜は物憂さの余りに顔を下げ、ただ茫然と立ち尽くした。



(……………丈様、申し訳ありません。

 時実桜は貴方が仰っていた『誇り高き魂』から遠ざかり、挙げ句の果てに信じることさえも出来ない品格に成り下がってしまいました……。


 ――けれど、それでも私は……ッ!!!)


 半ば自棄になりながらも、剣に視線を向けて襲おうとする桜。


 ――――しかし、この激闘をモニターで観賞していた者がいた。紅蓮城の玉座に座る当代城主、立海銃司だ!!



 彼はニヤリと笑みを浮かべ、クリムゾン色のPASの波動を凝縮させた光弾を指先に集中させながら、天を向けて撃ち放った。






 ――――ズドォォォォォォォォォォォォォォォォォンンンンッッ!!!!!!!!!







「………え、な、何だ今のは――!!!?」



 紅蓮城はおろか、エリア全体に響き渡る程の轟音に思わず剣も桜も戸惑った。


(あの飛んでった光弾、一瞬の刹那からしてもとてつもないPASの波動を感じた――!! まさか、アイツがうったのか……!!?)


「あれは……クリムゾンの光弾――!」


 それは、兄の丈が得意としていたPASの能力。それを弟の銃司が引き継いだということは……。


【―――後は俺に任せろ】


 桜にこの意味は伝わったのだろうか。


「銃司様………………」



 桜の記憶に残る、今は亡き城主、丈との約束。



『………ありがとう、桜。その約束、絶対に果たしてくれ――!! ――――桜………』


 ………そして城主に優しく抱かれて、生まれて初めて味わった人への温もり。



『お前は、俺の誇りだ――!!』



 立海遊戯戦団から貰った家族にも似た人への優しさ、そして『絆』。


 忘れかけていた優しさを取り戻し、桜の凍てついた心は、花咲く春の訪れを呼ぶ暖かい風のように優しく傷を癒していった。


 すると、桜のPAS【オールドクロック】の時計の針が再び動き始めた。



「………かしこまりました、立海様。()()()()()()()()()()()――!!」



 ――桜の未来(あした)が、ようやく動き始めた――!!



「異邦の騎………いいえ……

 ――――()()()!」


「………何だ?」


「貴方は我が城主の銃司様には勝てません。私のちっぽけな杞憂など気にせず、銃司様に尽く叩き潰されるのが目に見えてますわ」


「……そんなもんは、やってみないと分かんねぇじゃんか」


「それでも……貴方が交わした約束を守って頂けるのなら。――――私は貴方を信じます。このゲーム、降参(サレンダー)致します!」


 桜はカードスキャンブレスのボタンを長押しして、サレンダーを宣言させた。


『ゲーム・セット――!!』


 開始から約7分、時計台での激闘は幕を閉じた。

 アメイジングウォーズ 3rdSTAGE、勝者・桐山剣。


「……やっと、終わったな」


 剣は優しい笑顔で桜の健闘を称えた。


「あ、あと……ゲーム中とこれまでの非礼についても謝罪致します。ホントに申し訳ありませんでした!!」


 ここで初めて、桜は深く頭を下げて部外者である剣に心から謝った。無論今の剣に彼女を咎めるつもりは毛頭ない。そして…………、



「どう、か………御容、赦を……………ッく、ぇぐ………ひぐッ………!」



 頭を下げる桜が謝罪をしている途端に、若干嗚咽が混じり、それが本格的な涙へと変わる。

 その雫は時計台の床タイルにポロポロと浸り、彼女の溜め込んだ心憂いは叫びとなって爆発した。




「………わぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ………ッッ!」




 まるで雪解けた川のように、今まで流せなかった涙を一気に溢れさせた桜。



「………オイ何泣いてんだよみっともねーぞここ屋上だから良いけど皆に見られたら笑われるべだから早く涙泣いて泣いて泣き止んだら止めないとアカンでだから泣くのお止めてばさ□★◇§☆%§#♪#%☆§◎△◎□△〒#□■▼□■」


 ――――剣さん、狼狽えすぎッッ!!!!


「……も、申し、訳あ゛りません………涙が、急、に止まらないんですぅぅぅぅ……なんでッ、グスッ、もう泣かな゛いって、決めてたのに……なん、で………」


 辛かったんだな、桜……いけない。私も涙が……グスッ。


「……じゃあ、今のうちに思い切り泣いちゃいなよ。俺泣き止むの待ってるからさ。ここで泣いたの聞かなかった事にするから」


 剣さん、優しいですねぇぇぇぇ……(号泣)


「あ、あ゛りがとうございます……くすん、ひっく………」


「じゃ、泣き止んだら教えてな! 俺遠くでデッキのメンテしてるから!! えーと≪フォーチュン・サンクチュアリ≫はやっぱ扱いキツかったから――――」



 ◇◇◇












 ――――――うぁあああああああ……!! 丈様の……丈様のバカァァァァァ!!!

 何で、何で皆を、私を遺して死んじゃったんですかぁぁぁ………!!!!








 ――涙で目が洗えるほど

 たくさん泣いた女は、

 視野が広くなるの。


 ――ドロシー・ディックス――


次回、第49話。

アメイジングウォーズ・4thSTAGEの相手は槍一郎と………誰!?


次回の更新は3月18日(水)を予定しています!

お楽しみに!!


そしてブックマーク、感想、評価等もお待ちしております!!

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