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【GAMEWORLD ONLINE】極限遊戯戦記 ゲームウォーリアー  作者: Kazu―慶―
第4章【アメイジング・ウォーズ編】

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第42話②~6人目のゲーム戦士!!~

 

 ――槍一郎が倭刀やまとを連れてきたのはゲームジム『ビッグウェーブ』。来たことのないジムは倭刀にとって新鮮というよりも緊迫感が募ってきた。


「――水谷さん、今日剣来てる?」

 ジムトレーナーの一人、受付前の水谷 由香(みずたに ゆか)に話す槍一郎。


「今日も来てますけど……剣くんいつも以上にトレーニング張り切ってたわ。何かあったのかしら?」


 すると遠くでブンブンと重い素振りの音を出している様子が伺えた。


「せいッ!! でぇいッッ!!! づぇぇぇぇいッッッ!!!!」

「すごーい! 50㎏の竹刀を剣先が見えないくらいのスピードで……剣くん頑張れー!!」


 剣道有段者のような出で立ちで気合いを入れながら稽古をしている桐山剣がいた。みのりも横から応援している。


「まだまだぁ!! あと50㎏は追加や!!!」


 そこへ槍一郎が急いで駆け寄った。


「おい剣、何無意味な稽古してるんだ! 戦に行くんじゃないんだぞ?」


「あ?何だ槍ちゃんか。無意味なんて言うなや! 俺らプレイヤーは皆()()()()()()()に向かう戦士なんだぞ!?」


 誰が上手いこと言えつった。


「それよりほら、お客さんだぞ」

 槍一郎は後ろで俯いている倭刀を紹介した。


「……あれ、倭刀じゃねぇか。悪いけどアメイジングのリベンジは後にしてくれ、今特訓で忙しいんだ」


「あ、貴方が倭刀くんね! この前のカード交換ありがとうね」

 みのりは挨拶代わりにアメイジングでの交換のお礼をした。


「あ、あぁ……こちらこそ……」


 本当はシャークトレードをした倭刀が先に謝らなければいけなかったが、剣が騒動を丸く収めたので倭刀は少し気まずい気分だった。


(あの、すいませんでした。彼女に上手く言ってくれて……)

(いや別に良いんだけど、どないしたん? ツーブロ頭が態度まで丸くなったんか?)

(いや実は色々あって……)


 剣と倭刀とで先輩後輩の話をしているのを、ただみのりは「?」と見ているしかない。


「実は、穂香姉ちゃんの事で頼みがあって来たんです」

「!……その話、聞かせてくれないか?」


 穂香と聞いてみのりも話に加わった。


「……穂香ちゃん、何かあったの?」


 以前騙した相手とはいえ、今の状況から藁をもすがる思いの倭刀は思いきってみのりにも頼みこんだ。


「…………よかったら彼女も聞いてくれますか? えっと、名前は……」

「みのりよ。私で良ければ話は聞くわ」


「――じゃ3人ともお願いします。長くなるんで個室でも……」

「事務室が空いてる。そこでじっくり話そう――」



 ◇◇◇


 4人は事務室に入る。倭刀は穂香の身にあった事を、そして剣はWGC本部での騒動やアメイジングでの抵抗、それぞれ穂香に関わることを洗いざらい話した。


「「「「……………………」」」」


 剣達3人が経験したG-1グランプリテロ騒動以上に深刻な問題を耳にし、誰もが沈黙をせざるを得なかった。そこで思いきって剣が話を進める。



「―――話は大体分かった。つまり穂香は乱暴親父にパシられてでっかい片棒担がれてる()()()()状態って事か……何処の親もろくでもねぇのばかりじゃねぇか!」

「酷すぎるわ……子供を駒にするなんて親のすることじゃ無いわ!!」


 剣とみのりに静かな怒りが沸き出る。特に剣は身勝手な父親の末路を知っているため、余計に腹立たしくなった。


「それを姉ちゃんは『自分の意思でやった事』って思ってるんです。一蓮托生、互いに罪を背負ってやる覚悟を持った姉ちゃんには俺はどうしようもなかった……」


「それもそうだがゲームワールドの次元の裂目も……まさか穂香の父が作り出した空間とは。穂香も人並み外れた実力を持ってることは知ってたが、合点がいったよ――!」


 槍一郎もWGC配属のプレイヤーであるために穂香の事、並びに上空にて発生したゲームワールドの次元の裂け目にある超次元空間の事など噂には聞いていた。


「その実力を買われて立海遊戯戦団と協定を組んだんです。G-パーツも手に入れられて優秀な味方も得て、一石二鳥だったんでしょう」


「……でもさ、何でG-パーツ奪って独占せずに立海の貴族集団と手ぇ組んだんだろうな?」


「G-パーツには強大な力を持つ。でもそれを使うにはそれに担う特大のエネルギーを()()させないと意味がない。多分立海はそれを吸収させる技術、設備が完全に整っているから……と思うんです」


 G-パーツは持つだけでは力を発揮せず、それを出すための出力を出さねば宝の持ち腐れとなってしまうのだ。


「でも過去にG-パーツの力をゲームで使ったプレイヤーは誰一人居ない。だからこそ穂香の親父はトッププレイヤー集団を利用してそれを成し遂げようとしている。あそこには力も知性も資金も何一つ不自由しないんです」


 電脳異世界の維持にも使われる程の遺産にもしゲームで使われたらどうなるか……?

 考えただけでも秩序が壊れそうな想像しか浮かばない。


「……イカれてる割には考えやがったなあのクソ親父」

 剣も聞けば聞くほど額の青筋が浮かび上がる。



「ヤバイこと考えてるのは姉ちゃんの親父だけじゃなくて、立海も。奴等はG-パーツを使って何か大掛かりな事をしでかすつもりなんです。

 それが何かは分からないけど、俺には立海と面識があるから分かる。嫌な予感しかしないんですよ……!」


 立海遊戯戦団と倭刀が関わりを持っているという意外な所はさておき、槍一郎はあることを確認した。


「それで、倭刀はどうするんだ。穂香の事を止める気か? 遺産を強奪して彼女が後戻り出来る保証はあるのか?」


「……無いです。それよりも裁きに掛けられたら五体満足で要られるかも分からないのを先輩が一番知ってるでしょう?」

「……その通りだ」


「もう断言します。あのクソ親父、立海をも利用してG-パーツを独占してとんでもないことをしでかすつもりなんです!! でなきゃ、姉ちゃんがあんな切羽詰まった顔なんかするもんか……!!!」


「……剣くん、どうしたらいいの?」

「………………」


 みのりの問いかけにも答えられず頭を伏せて思い悩む剣。その時ある言葉が脳裏に浮かび上がった。



『さようなら剣さん――本当に、ごめんなさい…………ッッ!!!!!』


 穂香の別れ際に放った悲哀に満ちた言葉だった……



「………………冗談じゃねぇよ、そんなくそったれな事情なんか」

 剣は吐き捨てるように不満を溢した。


「俺だってこんな理不尽な事解決できるなら解決したい。でも俺一人じゃ何も出来ない、立海と戦うのも、穂香も止められない。だから――――」


 倭刀は急に膝をついて、深く頭を地面まで下げた。


「お願いします………この通りです………俺の大事な姉ちゃんを、助けて下さい……ッッ!!」


 土下座をしている倭刀の声が枯れ、顔の下の地面には涙が滴り落ちている。生まれてこのかた他人に頭を下げたことのなかった倭刀にとって、一生の願いでもあった。



「俺……どうしても姉ちゃんを助けたい……ッ……俺家族も居なくて、ずっと独りぼっちで……ッッ……姉ちゃんが俺の唯一の家族だったんだ……!!

 それで姉ちゃんを守る為にレアカード集めて、剣さんやみのりさんをトレードで騙して…………ホントにごめんなさい……憎むなり焼くなり好きにして構いません、だから……」


「分かったからその頭上げろ。俺は倭刀に謝られる事してないし、憎んだりもする気もサラサラねぇぞ?」


 倭刀の謝罪を遮り、口を挟んだ剣。ただ倭刀はまだ下げた頭は上がらない。


「俺の記憶じゃお前はみのりのカードを()()()()トレードしちゃって、その詫びに《ブルーバード》を返してお前のカードもくれたじゃねぇか。謝る理由が何処にある? すっげぇ良い奴じゃんか!!」


「え…………?」

 剣の計らいに思わず倭刀も顔を上げた。


「私も剣くんから話は聞いてるよ! ゲームやってても一生懸命で、真っ直ぐな心を持った倭刀くんに剣くんは気に入ったんだって!!

 私はカードの事は全然気にしてないよ、だから泣いて謝らなくても大丈夫!!」


 女神も綻ぶ優しい笑顔でみのりも倭刀を慰めた。本当にトレードの事は気にしてないようだ。


「それと俺が『気に入った』ってのはマジだぜ、お前ほどゲームに真っ直ぐで熱くなれる奴もそうそう居ねぇ。

 ――俺はお前を()()()()()()()って思った!! 他に理由は無いぜ!!!」


「え……いや、でも……良いんですか? だって俺は……」


 倭刀はいきなりの事で更に混乱している様子だった。


「やっぱ今の言い方じゃ分かんねぇよな! じゃこれならどうだ?」


「は、はぁ……」

 混乱している倭刀は一旦一呼吸置いた。


「俺もさ、穂香の事は親友と思ってるしお前と同じで助けたいんだが、今の俺だけの力じゃ不可能、どうしたものか。

 ――だったら答えは一つ、()()()()()()()()()。これなら簡単だ! ここにいる仲間の力を借りれば出来ない事は無い!! だから………」



 剣は倭刀に対し、一筋の光のように手を差し伸べた。





「俺に力を貸してくれ、倭刀!!

 ――――()()()()()()()()()!!!!」





 剣の差し伸べた手を見て、堪えていた涙が大量に溢れてきた。

 孤独で親友も頼る人も居なかった倭刀に対する優しさ、暖かさ、そして何より自分のために差し伸べてくれた手が……心の底から嬉しかった。



 倭刀は涙を拭い、剣の右手に熱く固い握手を交わした。



「――――はい!! 宜しくお願いしますッッッ!!!!!!」



 6人目のシャッフル・オールスターズ、池谷倭刀(いけたにやまと)。ここに加入!!


「よし! これで倭刀は俺達の仲間、絆で結ばれた親友だ!!」


 みのりも「やったーッッ!!!!」と歓喜の声が。そしてそこに槍一郎が話を持ち込む。


「剣、そうと決まれば今すぐ他のメンバーを集めよう! バスター・キャッスルに乗り込む準備だ!!」


「おっ、そうだった!」

 剣はプレイギアを取り出し電話で呼び掛けようとする。


「他にも仲間がいるんですか!?」


「――――あ、レミ! 豪樹さん!! 緊急事態だ直ぐにビッグウェーブまで来て!! 俺の()()()()()を助けてやってくれ!!!!」



『『―――――了解!!』』


 二人とも躊躇わずに承諾を得て、ビッグウェーブに向かった。



 シャッフル・オールスターズ、友の為に全員集結せよ!!

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