第5話②~さぁ、冒険に行こう!!~
「よし、早速ゲームしに行くか、みのり!」
「えっ、もう行くの!?」
――目標は、立海銃司討伐。
――夢は、伝説の称号『マスターオブプレイヤー』。
決意を固めた今、後はゲームに挑むだけ。
桐山剣に、余韻に浸っている暇はない。
「……でもやるって言ったって、ゲームワールドって無数のエリアで構成されてるんでしょ? 最初、どこに行けば良いのかしら?」
「ん、そこなんだよなぁ……まずは何から手ぇ着けるべきか?」
「ゲームするって言っておいて何も考えてないじゃない!」
行動力はあるが、その実、無計画。これも桐山剣という男の個性だ。
剣は、赤いジャンパーのポケットから携帯端末『プレイギア』を取り出し、専用アプリを起動した。
「何調べてるの?」
みのりが背後からひょこっと顔を覗き込む。
「決まってるだろ、ゲームワールドのマップだ!」
画面には、現実世界の地図と重なるようにして、ゲームワールドの広大な版図が映し出されていた。
剣たちが今いる『プレイヤーバザール』を中心に、無数のエリアがハニカム構造(六角形の集合体)のように連なっている。
エリア間を繋ぐ巨大な門『ゲート』のマークには、その多くにロックがかかっていた。
プレイヤーのレベル不足、あるいは特定のゲーム制覇やノルマ未達成……。条件を満たさない限り、その先の地を踏むことは許されない。
数多のゲームを突破し、エリアを切り拓いていかなければ、ゲームワールドの制覇は不可能。ましてや『マスターオブプレイヤー』への道など、夢のまた夢だ。
「でも剣くん、最初の割には結構行けるエリア多いじゃない? こういうのって最初は1つのエリアしか行けないとか、初期設定みたいな感じから始まるのがゲームらしいというか……」
「ゲームワールドに行ったことがない割には、ゲームをやり込んでいるような言い方だな」
流石と言うべきか、RPGのゲームばかりやっていたみのりのゲーム脳はやたらに冴えている。
今の状況で言うと『最初の城下町で武器防具を整えている状態』が妥当なところか。
「そっか、みのりはまだゲームワールドの仕組みを知らなかったんだっけな。――ちょっとこれ見てみ?」
「なーに?」
剣がみのりに見せたのは、プレイギアのプロフィールに書かれてある『プレイヤーステータス』だ。
◆――――――――――――――――――◆
【プレイヤー名】桐山 剣
【レベル】10
[ステータス]
・アクション:153 ・シューティング:137
・ロールプレイ:151 ・タクティクス:160
・スピード:141 ・ブレイン:135
・ミュージック:130 ・ハート:139
・ラック:160
[固有スキル]
・【エース・スラッシュ】
◆――――――――――――――――――◆
ゲームの成果、クリアによってレベルアップするプレイヤーレベル。
これによって様々なジャンルのバロメーターも著しく上がっていく。
そして条件を満たすとそのプレイヤーのアイデンティティに沿った『プレイヤースキル』、即ち”特殊能力“を習得することができる。
剣のプレイヤースキル【エース・スラッシュ】は、カードゲーム等で「ここぞ」という場面で望む結果を引き寄せる、運命操作に近いチートスレスレの能力だった。
「そう言えば、私にも書いてあるんだったよね。プレイヤーステータス」
みのりは剣のプレイギアを片手に、自分のプレイギアを胸ポケットから取り出してプレイヤーステータスを見比べた。
◆――――――――――――――――――◆
【プレイヤー名】河合 みのり
【レベル】1
[ステータス]
・全項目:100
[固有スキル]
・なし
◆――――――――――――――――――◆
まだ始めたばかりのみのりの数値は、すべてが初期値。プレイヤースキルも持たない、真っさらな初心者ステータスだ。
「俺も、みのりも、このゲームワールドにある無数のゲームを知って、どんどん挑んで行かないと最強の称号は手に入らない。
――だからこそ、俺達二人で色んなゲームをやっていこうって訳よ!!」
「……納得。それなら私も大賛成! ね、ね、早く行きましょうよ!!」
隠しきれない高揚感、ワクワクに駆られてピョンピョン喜び跳ねるみのり。
「――じゃこうしよう! どのエリアに行きたいか、みのりが決めてくれ!!」
そう言うと剣は、マップにてプレイヤーバザールに隣接する2つのエリアを指し示した。
プレイヤーバザールから見て『東』。
無数の筐体が立ち並ぶ、巨大なゲームセンターのような街。
プレイヤーバザールから見て『西』。
巨大なダイスやトランプがビルとして建ち並ぶ、アナログゲームの聖地。
「さあ、どっちにする?」
「じゃあ――こっちにするッッ!!」
みのりが指差したのは――【西】!
プレイヤー自身が駒となり、実寸大スケールで展開される卓上ゲーム都市――【テーブルトップ・シティ】だ!
「OK! 善は急げや、早速行くぞ!!」
「あ、ちょっと! 準備とかしなくて平気なの!?」
「要らねぇよ! 好奇心と心意気だけで十分!!」
ゲームに挑むのに剣も盾も要らない。好奇心と心意気があれば十分だ。二人は吸い込まれるように店を飛び出し、西方へ、エリアを繋ぐゲートの前まで駆け込んでいった。
「――準備は良いか? 行き先は西!『テーブルトップ・シティ』へ!!」
「レッツゴー!!!」
二人の瞳には、未知の世界への期待が輝いている。門の向こう側に待つのは、勝利か、それとも――。
新たな冒険の始まりを告げる合言葉は、ただ一つ。
―――ゲート・オープンッッ!!!
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次回もゲームウォーリアーをお楽しみに!!




