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【GAMEWORLD ONLINE】極限遊戯戦記 ゲームウォーリアー  作者: Kazu―慶―
第1章【シャッフル・オールスターズ編】
13/310

第4話③~誇り高き遊戯貴族~

 

 ―――学業の気怠い日常から開放された、翌日の土曜日。


 浮かれ呑気な昼間に、浪速区下町のゲーセンの入り口でウロウロと落ち着きが無く、尚且つ焦燥してる様子の男がいた。桐山剣だ。

 剣は葛藤していた。ゲームで家庭を潰され、ゲームで友達に裏切られた事に恨みがある反面、それでもゲームを辞められない自分に日に日にやるせなくなっていった。


 そして昨日の夜、みのりから言われた言葉が頭から離れようとしなかった。


『独りで格好つけて強がんないでよ!!!』



「………何なんだよ、どいつもこいつもッッ!!!!」


 剣は憤り、路地の近くに置かれた青いポリバケツを蹴飛ばす。第三者から見れば遣り場のない怒りの放出が、余計に彼を落ちぶれさせるようにしか見えない。そんな彼に冷酷にも鋭い憎み口が飛び交う。



「退け。下級住民が」


「―――!?」

 剣は苛立ちながら、その矛先へと振り向いた。


 そこに立っていたのは、西洋の王宮にいるような出で立ちで上流階級さながらの血にも似た真っ赤な紳士服の青年。この地域の住宅街では、決して似合わないような高貴なる姿。そして横で侍女を従えている本物の貴族。これでいて剣と同じく高校生なのだから驚きだ。


「どうした、この立海に恐れを為さないのか。命知らずか、それとも力量も見抜けられない馬鹿者か?」


 彼の名は【立海銃司(たつみじゅうじ)】。関東地方において、長きに渡り頂点に立つ最強プレイヤー達が集うゲーミングチーム【立海遊戯戦団(たつみゆうぎせんだん)】の主。人は彼等を誇り高き戦士として“遊戯貴族”と呼ばれていた……!!


 ◇◇◇


 一方その頃、みのりも昨日の重い空気を張らすべく同じくゲーセンに向かっていた。


(剣くん、何処にいるのかしら。矛玄お祖父さんが出掛けたって聞いたから、あのゲーセンに……?)


 剣に二度と近づくなと絶交宣言されても、みのり自身はどうしても剣の事が気になって仕方がなかった。数少ない彼の行動パターンから必死で探り、みのりと剣が初めて出会ったゲームセンターへと向かったその時。


「あ、剣くん―――!?」


 バッドタイミング。ちょうどヤバイときに出くわしてしまった。

 何故ってそのゲームセンターの入り口前にて、侍女達を囲んだ赤いスーツの貴族高校生と、一人のヤンキー高校生という異質なメンチ切りの風景を見てしまったんですから。風情あふれる下町を舞台にしては余りにもカオスだ。



「……何やお前ら、ここはお前らみたいなリッチ集団が来るとこちゃうぞ!!」

 剣は銃司達の凄まじい圧力に動揺しながらも、面子を保つための最低限な反抗をした。



「………俺の所の東京じゃ、俺の相手にもならぬつまらんプレイヤーばかりでな。暇潰しに大阪に観光がてら来てみたんだが……ここはそれ以下だ。路地にゴミが落ちても平然と生きているクズ共が」


 銃司の辛辣かつ冷酷な一言から、ただならない威圧のオーラが漂っていた。それをまともに受ける剣はおろか、遠方にて彼らを目撃したみのりも感じ取っていた。


(やっぱり! 最近近くで変わったプレイヤー集団がいるって聞いたけど、あの人達だったのね!!)


 みのりも遠くからの様子で感づいた。“下手したら撃ち殺されるような奴ら”とは、銃司率いる立海遊戯戦団の事だったのだ。


「設備も汚いゲームセンターで戯れて、ミニチュア規模で実力に自惚れているプレイヤー。俺は見るのも汚らわしい。――貴様もそいつらと同じ匂いがするな?」


「あんな低レベル共と一緒にすんな! 俺はゲームに溺れるほど、落ちぶれちゃいねぇや!!」

 銃司は哀れにも必死で現実を否定し、意地ばかり張る剣を蔑んだ眼で見ながら返した。


「弱いヤツほど、負け犬の遠吠えの如く良く吠える。不快を撒き散らす者など言語道断、クズの領域だ。俺から言わせれば、貴様などそこらのゴミと同様にしか見えんという事だ!!」


「んだと、ゴラァァァ!!!!」

 食って掛かった剣。しかし銃司は殴り掛かる彼の拳を軽く交わして、脇腹に渾身の蹴りをぶちかました。


「ガッ……!!?」

 銃司の蹴りに悶絶する剣。そんな彼を尻目に、蹴り掛かった側の銃司にはお仕えの侍女達が心配に駆け付ける。


「銃司様、お怪我は……?」

「心配無用だ。この男ごときに熱くなるものか」


 返り討ちにされたとはいえ、こんなにも勝者と弱者の釈然とした差を感じたことはない。みのりがそれに我慢出来ずに駆け寄った。


「ちょっと! 貴方達、剣くんに何してるのよ!!」

 溝を打たれて立てずに路地にうずくまる剣を庇うように、仁王立ちで銃司に立ちふさがるみのり。


「酷いにも程があるわ! 剣くんにゴミ呼ばわりするなんて!!」

「何だ、貴様は……?」


「剣くんの友達よ! 剣くんは、貴方達が思っているよりもゲームに強いんだから!!」

「ほぅ……?」

 その時、蔑む眼差しからピクッと眉間が動く。怠惰な感情から興味を感じ取ったか。


「剣くんは並みならない瞬発力と鋭利なゲームセンスを持ってるんだから!!」

「この男が鋭利なゲームセンス、だと!?」

 

 みのりは『言い返してやったわ!』と言わんばかりのドヤ顔。しかし―――



「フッ……ハハハハハハハハハハハハハハハハハ!!!!!


 これは傑作だ、大阪のゲーム戦士とやらもたかが知れてるわ、ハハハハハハハハハ!!!!」

 冷徹な男が一転、悪魔に取り憑かれたかのように傲慢かつ豪快な笑いが、ささやかな期待を尽く踏み潰した。


「な……何が可笑しいのよ!?」

「この男ごときが、鋭利なセンスとやらで最強のゲーム戦士と言い切れるのか? ―――貴様『剣』と言ったな? 貴様にゲームの何が分かる!?」


「あぁ!? じゃテメェは分かってんのか!!?」

 蹴りの痛みが和らいだ剣が声を荒らげて言い返した。


「―――――『シューティング』だ」

「シューティング?」


「ゲームワールドのエリアに、シューティングゲームの宇宙空間【シューティング・スターロード】がある。そこでシューティングゲームを行い、貴様の実力を見せてもらおう」


(シューティングゲームの宇宙!?)

 みのりは再びゲームワールドに行ける喜びよりも、今は返り討ちにされている剣への不安の方が強かった。


「どうだ? 受けてみるか……!?」

 今までに感じ取った事の無い威圧感に、剣は躊躇いながらも決断した。


「……よし、受けてたったる! その思い上がった鼻を粉々に砕いてやるッッ!!」

 剣の答えに銃司は不敵に笑みを浮かべた。


「ならば早速向かうぞ! プレイギアを出せ!!」

 侍女は咄嗟に銃司のプレイギアを出した。丁度ゲームセンターの近くにあったゲームワールド転送用のモノリスを発見し、そこに刻まれたコードをプレイギアに入力。ゲートコードは『OISZFCGD』だ。


 モノリスの眼前にゲームワールドの入り口。ゲートが開き、ゲーム戦士達を電脳へと誘う合言葉は一つ!!


『ゲートオープン!!!!!』

 銃司の掛け声と共に、みのりを含めたプレイヤーが転送された。


 ゲートを開くとそこは………


 ()()()()()が広がっていた。しかもサイバー空間だから息は出来る!!


「そこは誇張せんでえぇねん」

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