2019年 豆まき (2019/02/05)
konatsuさんからイラストを頂きまして、そこからゆる~~い小説にしてみました。
エリーがK地区で暮らしている頃のお話です。
「え、マメマキですか?」
「そっ。なんかな、オニっちゅー悪いやつを豆で追い出して、福を呼ぶらしい。やり方は色々あるらしいんだけど……」
アルバートが机に出したのはもしゃもしゃの髪の毛に二本生えた角の被り物。
「これ被ってオニになって、豆をぶつけられる役な。ちゃんと家から追い出すんだぞ」
「わ、楽しそうですね! やってみたいです! マーサも一緒にやりましょう」
「いえ、私は――」
「ダメっすよ。この家に福を呼ばないといけないから皆でやらねーと。おい、アラン。本読んでねーで早く来い」
瞳を輝かして待つエリー王女と相変わらず楽しそうなアルバートを見て、アランはため息をつく。
「他文化を学ぶことは悪くない。悪くないが、この被り物をする必要はあるのか? エリーやマーサさんに被らせるのは……」
「え? 私、オニもやってみたいです。ね、マーサ」
「……そうですね」
「まぁ、いいじゃん。こういうのは皆で楽しくやるもんだから」
「……わかった。なら公平にジャンケンで」
「よぉし!! ぜってーアランに被らせてやる!!」
アルバートはエリー王女にジャンケンのやり方を教え、四人でジャンケンを始めた。
覚悟を決めて、アランは被り物をして仁王立ちする。
「あっはっはっは。似合う似合う」
「いいから早くしろ」
「んじゃ行くぜ~~~!!! オニは~外~~!!!」
「っ!! おい、アル!! 本気で投げるなっ!! くそっ!!」
勢いよく投げるアルバートの豆はかなりの攻撃力がある。
「オニは~外~」
にこにこ楽しそうに投げるエリー王女の豆はちっとも当たらない。
遠慮がちに投げるマーサの豆も当たらない。
「エリーちゃん、マーサさん。もっと近づいて! アラン、逃げるな!!」
「お前の豆が痛すぎるんだ!!」
アランは置いてあった豆袋を片手に反撃を開始した。
「ちょーーい!! オニが反撃するなんて聞いてねーぞ!!! よぉーし!! 人間対オニの対決だ!! 来い、オニ!!」
エリー王女とマーサは壁際に移動し、笑顔で観戦を始める。
こうして豆を使いきるまで二人は戦い続けたのであった。
「ハァハァ……引き分けだな……。だかしかし! こっちには秘密兵器がいるのだ!! 」
呼ばれたエリー王女とマーサがアランの前に立ちはだかる。
「さ、エリーちゃんとマーサさん、豆を投げてオニを追い出して」
「はい!」
「……」
さすがのアランもエリー王女やマーサに投げつけることは出来ない。
暫く避けることなくぺちぺちと当たる豆を受けた。
「こ、降参だ……」
アランは微妙な気持ちのまま家から出て行き、オニ退治は成功した。
「ふ、負けず嫌いなオニめ」
「楽しかったですね! また来年もみなさんでやりましょう! 痛いのは嫌ですがオニさんにもなってみたいです」
「お、いいね~。来年の楽しみができたな! んじゃ、福呼んで、豆食べて、掃除しよう! おーい、アラーン。もういいぞ~」
こうしてエリー王女と三人はK地区での生活を満喫しているのであった。
<おしまい>




