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剣豪魂  作者: 富野夷
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壮烈!ティラノサウルス

 土方は大胆にもティラノサウルスの足元に入った。

 ティラノサウルスは一気に踏み潰そうとする。

 土方、動けない。

 いや、動かなかったのである。

 ティラノサウルスは鋭い爪のある足を振り下ろした。

 土方は、足の中央を狙っていたのである。

 人で言えば土踏まずということになる。

 土方の上方へ向けての刀の突きは、針の如く突き刺さった。

「ぎゃおう」

 初めて後ろを見せて逃げたのである。

 ティラノサウルスの背中には馬の背のような羽毛があるのが見て取れた。


 この日のために集った数百もの剣豪が、土方の命懸けの指揮に従う。

 まさに浮き足立ったティラノサウルスの足元に踏み入り、刀槍の突きをそれぞれが突き入れるのであった。

「ぎゃおう」

「ぎゃおう」

 あちらこちらに凄まじい咆哮が上がっている。

 ティラノサウルスどもは崩れた。

 そして、逃走だ。

「深追いめさるな」

 武蔵が、土方が、小次郎が口々に叫ぶ。

 ティラノサウルスどもは逃走していく。

 剣豪の面々は追跡を止めた。

 それが武士の情けであった。

 しかし、ここに不可思議が起こったのである。

 

  突かれた足の部位にツボでもあったのかもしれない。

 ティラノサウルスは進化し始めたのである。

 背を覆っていた羽毛が全身を覆うほどになり、そして小型化した。

 地上の最大最強の獣は、その巨大な身体を捨てた。そして小型化とともに、それまでの個の能力の闘いも捨てたのであった。

 代わりに得たものが集団戦法だ。姑息こそくあるいは卑怯と言ってもいい。

 小ティラノサウルスどもは逃げ去ったと見せ、さらに、それまでには考えられない物陰に隠れるという行動を取ったのである。

 剣豪の面々が刀槍を鞘に収めたとき、隙を狙って攻め返してきたのであった。

 さすがの面々も不意をつかれた。

 果たして、これがティラノサウルスなのかと首をひねっていたのもいけなかった。

 気がついた頃には完全に包囲されていた。

 舌なめずりするティラノサウルスども。

 この姑息な知恵者どもは、もう群でしか行動しない。武蔵も土方も小次郎も、ついに攻撃の糸口を掴めなかったのである。

 万事休す。


 しかし、この時。

 彼方から何かの物音がする。

 見やれば、大砂塵が上がっている。

 馬蹄の響きだ。

 そして、銅鑼の音だ。


 「義経!」

 土方が、それと気づいて叫んだ。

 源義経、いや、ジンギス・カンがモンゴル騎馬軍団を率いて駆けつけたのだ。

 「敵は、姑息なる戦法。こちらも馬軍の攻撃で苦しからず」

 義経、いや、ジンギス・カンの声に、

 「如何にも」

 と面々が応じた。

 小ティラノサウルスどもは、瞬く間に崩れた。

 こうして無辺際の勝利は、やはり剣豪であったのである。

 





 いまさらですが、土方歳蔵ではないんですよね。私のパソコンの変換は、歳三で、歳蔵にはなりません。でも、服部半蔵の半蔵は、半三にはなりません。武蔵たけぞうは、武蔵と武三の両方あります。まあ、それは単にパソコンのことです。

 ただ普通、歳三は「さい」と読むような気がします。つまり、「としぞう」という名前はなんか微妙に変なような。馬鹿なことを言いますが、本当は、土方さいぞう、だったということはないですかねえ。彼の手紙などで、ちゃんと「としぞう」と平仮名で書かれているんでしょうか。

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