019 クリスマスの思い出
※※一応……お書きします。今作はサンタの正体について下記に述べられています。が、サンタクロースの真実はそれぞれが信じていて良いと、個人的には考えています。あなたの信じるものを信じ続けて下さい。
ー登場人物紹介ー
※◆は鳳翔院学園高等部ミステリー同好会メンバー
◆大道正火斗・3年生。実家は大企業の財閥グループ。
◆大道水樹・正火斗の妹。2年生。
◆安西秀一・部長2年生。父親は大道グループ傘下企業役員。
◆浅倉奏衣・副部長2年生。中等部の頃から正火斗に片想い。
◆桂木慎・2年生。明るくフレンドリー。
◆神宮寺清雅・1年生。ややお調子者?
◆椎名美鈴・1年生。真面目でしっかり者。
◇桜田風晴・田舎の農業高校2年生。
◇真淵聖・風晴の同級生。話すのが苦手。
○華蔵理人・華蔵家現当主。
○華蔵透子・理人の妹。
○冴木拓眞・華蔵家運転手。理人の同級生。
2025年12月24日午後──
クリスマスパーティーは大広間が使われる。大広間の天井は高いが、それにつきそうなほどの大きなツリーだった。
飾りは 天辺には勿論トップスター、定番のオーナメントボールやキャンディーケイン、キャンドルや雪だるまや靴下が飾られてやる。
が、色の付いた長方形の厚紙に『スヌーピーとともだちになりたいです』や『マリオのレゴブロックください』と書かれ紐で吊るされているものもあって浅倉を驚かせていた。
「た、短冊!? これは七夕の短冊じゃない? "願いごと"は"欲しいもの"ってこと……?」
桂木は動じて無かった。
「コレうちもだったぜ。"サンタさんへの手紙"みたいな感じだろ? 親が子供が何が欲しいか分かって助かるってこと。
──中学上がったら突然面と向かって聞かれたんだよな"今年は何が欲しいんだ?"って父さんに。メチャクチャショックだったな……」
「……サンタさん信じていたんですね、桂木先輩」
椎名が短冊を一つ手に取りながら言った。
「おお、信じてた! 今だって信じたいって思ってる。サンタもゴジラもトトロも宇宙人も……みんないて欲しいよな」
秀一は笑った。
「宇宙人はいるよ。僕らだって宇宙人だ」
水樹は共感があったようだ。
「分かる! 私、髪を伸ばしたら変身できると信じていた時代があったもの!」
「僕は今も異世界転移は出来るんじゃ無いかなと思ってますね」
と神宮寺だ。風晴は
「オレは7才の時かな?クリスマス・イヴに眠っていたら枕元に人の気配がしてさ。顔を上げたら──父さんだった。サンタの服装で、髭もつけていて……で、手を上げて"やあ"──って。
だけど……どう見ても父さんだって分かってた。
あの夜でサンタって親だって分かっちゃったけど……」
みんなが風晴を見ている。
「"まあ、いいかな"って思ったな、あの時──。
結局嬉しかったし。朝、母さんに"サンタさん来たんだね。良かったね"って言われても素直に"良かった!"って気持ちで答えてた気がする……」
「桜田! ガキの頃からいいヤツ!」
桂木が風晴を肘で押して来た。
「風晴のご両親も幸せだよね」
「育てやすい子供!」
「桜田くん心が広い!」
秀一、神宮寺、椎名だ。────彼らは知っている。父親はその後行方不明になり死亡していたことを。
風晴は友人達の気遣いを受け止めながらも、何だかバツが悪くもなって隣にいた聖に話を振った。
「聖は?」
振袖の少女になっていた聖は、少し考えてから
「クリスマスの朝方……お父さん制服で帰ってきた……」
と言ったので
「え!? クリスマスにお父さんが制服コスプレ!?」
何も知らない浅倉は驚愕した。水樹が慌てて
「違うの 奏衣。聖のうちは、別にお父さんがマイノリティで離婚して、とあるお店で仕事してそのまま帰ってくると制服コスプレ──とかじゃないのよ」
と具体的に否定した。確かに聖の家庭はある意味複雑だったが──コレではない。
「お父さんは警官だったから当然警察の制服だよな」
「夜勤明けってヤツだろ」
風晴や桂木が説明を増やす。しかし、クリスマス・イヴの夜中仕事だったと言うことだ。警察官の仕事はやはり大変だ。
「真淵くんはそのクリスマス・プレゼントに何をもらったんですか?」
と神宮寺が聞いた。聖は答えた。
「…………覚えてない…………でも嬉しかった記憶がある」
そして言った。
「……帰ってきたから」
と。
聖夜に子供は ただ父親の帰りを心待ちにしていたのだ。
みんなちょっと親戚のオジサンオバサン状態だった。聖を見る瞳がウルウルときてる。風晴もちょっとヤバかった。
「聖〜〜〜〜! もう尊いよ! ねぇ、兄さん……」
そこで正火斗は当主として座る椅子から、妹に向けて言った。
「"透子"! 彼女がいくら可愛らしくてもお前のものには出来ない。その人はペットのようには飼えないからね。──さあ皆も、お客様が来る頃だ」
その彼の口調はいつものものではなく、"華蔵理人"のものだった。口調を似せたのは全員への注意だ──水樹もみんなもハッとする。
すぐさま明るい子供達の声が近づいてくる。
大広間に入ってきた彼らは大きなツリーに歓声をあげた。ついてきた母親達は夢中になって写真を撮りだす。
風晴達はツリーから離れて、特大紙芝居の手伝いに向かった。
水樹は当主の妹"透子"として、正火斗の隣の椅子に座りに行った。
その後方にはメイド姿の透子、そしてその隣に冴木拓眞が立っていた。
母親の何人かは、現当主である"華蔵理人"に挨拶に来た。
聖歌隊の女性達も到着し、囲みだしている。
正火斗は完璧な笑顔で言った。
「華蔵家のクリスマスパーティーへようこそ。どうぞ 楽しんでいって下さい」
それは全てが動き出す号令でもあった。




