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弱者だった俺が転生すると強者になっていた。  作者: 石立 諷太
トーナメント戦
21/52

#25 奏多の過去Ⅱ

奏多が起きるのを待っていた。

心の中ではこよみを追いかけたいと思っていたが、俺はこの夢(世界) には

干渉することが出来なくただただ待っていることしかできない。

(いつまで経っても弱者は弱者・・・・・・ 何も変わりやしない。

今この時だって・・・・・・ あれ・・・? こんなことあったか・・・?)



ふと疑問に思い始めた時、奏多が突然起き上がった。

(よかった・・・ 起き上がってく・・・)

だが、その時気づいた。 先ほどまで普通の目をしていた奏多だったが、

今は黒だった瞳孔が真っ赤に白目だったところは真っ黒に染まっていた。


なんとも言い難いが、それを一言で表すのならまるで"悪魔"に憑りつかれた人。

そして、奏多の周りには夥しいほどの殺気。


「なんだ?! この状況! おい! おれ! どうしちまったんだよ!」

『殺す。殺す。殺す。僕の前から大切なものを奪っていくやつらは全員・・・・・・

根絶やしにしてやる・・・くはははははははははっははははははははっは!」


(完全に狂ってる! これが本当に俺だとでも言うのか?!)

奏多はそういった後すぐにこよみを追いかけて行っていた。

俺はと言うと、体は勝手に動き奏多の後を追いかけて行っている。

(なんなんだ・・・一体・・・何が起きてる・・・)



***************************************



一体何キロ走っただろうか・・・

いや、何時間走っただろうか・・・

いつまで本気で走っていても疲れることのない奏多の体。

(なんて体力・・・今の俺よりも確実に強い。)


なぜかそう確信した。 まだ10にもなっていない幼い子供。

なのに、今戦えば確実に負ける・・・・・・俺の直感がそう伝えていた。

そして、なぜか体中が震えている。

(どうした・・・俺の体・・・なんで震えが止まんねぇ・・・)


震え始めてから数秒・・・ 頭の中にある記憶が蘇ってきた。

蘇ってくる記憶はほんの一部だが、それがなんの物かは解ってしまう。

完全には思い出せないのに、なぜかこの夢(過去) の結末だとわかる。


すると、未曽有の痛みが頭を走った。

走った刹那。 すべてを思い出した。


それと同時に奏多の動きが止まった。

そう。 彼は今まさしく"人を殺しに行く"・・・・・・


だが、今彼が止まっているところは何もないただの更地。

かと思われた瞬間奏多は右手に魔力を集中させて地面にその魔力を流し込んだ。

すると何もなかったはずのところの空間が徐々に裂けて行き、

家が突如目の前に現れた。


奏多は躊躇なく入っていき、家の中には大人数の異端の者たちがおり


『誰だお前?』

『お前たちは僕の敵か・・・・・・?』

『誰だって聞いてるのはこっちだよ!』


男の一人が精霊を剣に変え奏多に飛び掛かった。

だが、奏多は精霊と契約をまだしていない。 絶体絶命・・・・・・ではなかった。

右手で蚊を追い払うように動かすと、その男は一瞬で粉々になり奏多の周りは

肉片の塊、などが床にゴロゴロと転がっていた。

茶色だったはずの床は真っ赤に染まっており、


(グロい・・・・・・ )

ただ。 その言葉しか浮かんでこなかった。

ふと奏多の顔を見ると奏多は不適に笑っていた。


アハ・・・アハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハ!!!!!!!!!!


その笑い、そして圧倒的なまでの破壊力。

そこにいた者たちは誰一人と正気ではいられなかった。


『化け物だ・・・・・・』

『お、お前ら! 逃げるぞ!』

『チクショー・・・ なんで俺様がこんな目に・・・』

『まだ死にたくないよ・・・・・・』


全員逃げるのを試みるも、足が竦んで動けるものは誰一人といなかった。

奏多の圧倒的な殺気に精神がやられているのだ。


『化け物・・・化け物ねぇ・・・ いいじゃないか・・・!』

『『『なん・・・だと・・・』』』

『僕はこの体に宿っている悪魔。』

『『『・・・・・・』』』


そこにいた者たちはみな沈黙。


『まさか、こんな形で乗っ取れるとは思っていなかったよ。 こんなにも僕の力に

抵抗できる精神力を持っていたのに・・・君たちが僕・・・いや、奏多の妹、こよみ

を攫ってくれたから、僕はいま、こうしてここにいる。 感謝するぞ。』

『だったら・・・見逃して・・・・・・』

『それは出来ない。 僕の力であってしても完全に僕の支配下に置けたわけではない・・・

だから、この体・・・つまり心が君たちを殺せと言ってくる。』

『やめ・・・・・・』


最後の言葉を聞くことなく、その場にいた者たちは四肢を一瞬にして引き千切られ、

奏多の立っている場所には血だまりが出来ていた。

その光景は実にグロい。 何故俺はこのような光景を忘れていた・・・・・・

いや・・・・・・無理矢理忘れ去らせたんだ・・・・・・


そんなことを考えているうちに奏多はまた動き出していた。

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