兄達の憂鬱
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今回ちょっと短いです
「明日香は無事だろうか・・・」
薄暗い部屋の中で、ポツリと漏らされた言葉に緊張が走る
「無事でいるために、明日香には加護を授けた。それに、父上殿もあれほどまでに熱心な教育をされていたのだ。無事でいると俺達が信じなくて誰が信じるというんだ」
「そうだが・・心配なものは心配なんだ。明日香は可愛いからな・・・」
兄馬鹿とも取れる発言に、誰も突っ込むことはなく
「そうだな、あの可愛さに引き寄せられているハエどもは多いだろうが、そんなものには引っかからないよ。俺達をいういい男が傍にいたんだ、顔だけの男に引っかかるはずもない」
そうだとばかりに、もう一人が力強くうなずいた
「だが、もしボーイフレンドなどを連れて帰ってきたら、どうするんだ?」
ありえない話ではない
明日香の今いる場所は危険と隣り合わせではある
だからこそ、燃え上がる恋というものも存在するのは確かだ
「俺達よりも強い男でなければ却下だ」
男は冷たい目で遠くを見据えた
「あっちはうまく精霊と和解できますでしょうか・・・」
「布石は強いたとはいえ油断はならんな。なにせあの強欲な王家のことだ、明日香を取り込もうと躍起になっているだろう」
何も告げぬまま、あちらへ送られた唯一の妹
妹を溺愛している兄達の心情は複雑だった
「動きが芳しくない場合は、あれを送る」
男が意味深ににやりと口角をあげたが、それを否定しようとも思わなかった
兄は妹が可愛くて仕方がないのだ
自身があちらへ渡れないことをどれほど歯噛みしたことか
「彼はなかなか筋がいいですからね。もう少し鍛えておくとしましょう。いつか来るやもしれぬ審判の日のために」




