逃げ出す準備は着々と
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「先生、魔石があれば精霊と契約を結ぶことなく魔法が使えるんですよね?
なぜ人間は精霊と契約を結ぶのでしょうか?」
精霊と契約できなくても魔石によって魔法が使えるんだったら、生活には困らないだろうし
精霊に気に入られないと契約結んでもらえないなんて不確定なことしなくてもいいじゃないのかな
「ふむ、一理あるがことはそんなに単純なことでもないのじゃ。魔石とは精霊の力の結晶、つまり精霊がこの世を去る間際に力の一部を石に変化させているものなのじゃよ。じゃからどのみち精霊との関わりを絶つことなどできやせんのじゃ」
なるほど精霊とは切っても切れない縁なのはわかったよ
でも、それならなぜ精霊を怒らせたりしたんだろう
しかも、絶縁だなんてよほどのことだよね
「精霊についてはなんとなく理解しました。次はこの世界について、教えてください
まず世界地図がみたいのと、文字が読めるかどうか、国によっての文化の違い、通貨の違いを詳しく知りたいです」
「地図はすぐに用意させよう。じゃが国によっての文化の違いや通貨の違いなぞ聞いても面白くもなかろうて?異文化に興味がおありなら、この国の歴史書でもお持ちするが?」
この国に興味なんかないよ
この国は王族からしていけすかないからね
身を守るためにも早く離れたい
でも、それを今ここで先生に言うのは憚られる
先生に真摯に引き止められたら迷ってしまいそうだよ
「いえ、世界に興味があったので、あの、この世界には魔王とかっているんですか?」
ファンタジーのお約束だよね
もしかして私『勇者』とかいって召還された
とかいう落ちだったりするのかな
へたれなんで困ります
嫌です
全力で逃げさせていただきます
地図を取りに行っていた先生からの答えは意外なものだったよ
魔王は存在しているけど、魔族の国の王って意味で、どこぞの国の綺麗なお姫様を攫って行ったり
勇者との激戦を繰り広げているとかいうことはないそうだ
あ、でも勇者ってのはいるみたい
私じゃなくてほんとによかった。どこかの知らない方だけど感謝しておこう
「これが、世界地図じゃ。細かい地名などは書いてはおらんが、各国の主要都市についてはかかれておる
そして、ここがわが国、リュヒトリア公国じゃ」
そういって、先生が指を指したのは日本列島(本州)を縦においたような地図の上のほうだったよ
世界には人間の国が4つ魔族の国が2つ妖精の国が1つ存在しているみたい
でも、どこにも属さない地図の真ん中のあたりが空白だったよ
そこは、禁断の地って言われた
なんだか名前からして怖い地域だね
そこには近づかないようにしておこう
世界の大まかな位置関係については頭に入った
次は文化と通貨
これさえ頭に入れておけばどこに行っても生きて行けるはず
先生には悪いけど、ちゃくちゃくと逃げ出す準備が整ってきているね!
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