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稲荷神社の守護霊さんって実は普通(?)の男の子でした  作者: みりぐらむ
稲荷神社の守護霊、信じることになっちゃいました!?
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桜の見たもの

キラキラした(?)学校生活を送りたかっただけなのに・・・

昔、おじいちゃんは言っていた。

さくら、稲荷神社は知ってるか?

「うん!見たことあるし、おじいちゃんと言ったことある!」

「そうか、そうか。」

 おじいちゃんは、そういうとシワだらけの手で私の頭を撫でた。そして、それまたシワだらけの顔に頬笑みを浮かべた。

「じゃあ、守護霊さんは見たことあるか?」

「しゅごれい・・・?なにそれ、美味しいやつ?」

まだ幼かった当時の私は、純粋に答えた。

「そうかい、そうかい。桜にはまだちょっと難しかったなあ。守護霊さんってうのは、神社に来る悪いものをやっつけるいい幽霊さんなんだよ。」

「見たことないよ??おじいちゃん、嘘ついてる!」

「嘘はついてないけどなぁ。」

おじいちゃんは今度は苦笑いをした。

「いつか、桜も気づくことがあるかもなぁ」

 そして、満面に笑みを浮かべた。当時の私、というか今でも私はそのことを気にも止めていなかった。神様、そりゃまた守護霊。なんだそれ。見たことない、信じられないことを言うもんだ。でも、不思議なことに私はその言葉を忘れることがなかった。だいぶ前のことなのに。そして、今。その問題に直面している。



「桜!それじゃあ、またね〜」

「ばいばい、迷〜」

 中学2年生になってから少し経った日。影が少し長くなってくる時間帯に私はいつも帰っている。そして、いつも家に帰るときに目につくのがこの村の神社、「稲荷神社」だ。

 私がおじいちゃんの言葉を忘れなかったのは、神社が近かったからかもしれない。

「守護霊、か。」

 稲荷神社の前で少し止まって目を凝らしてみる。やはり、なにも見えない。存在しない。見る角度が悪いのか、と思い、目をかっぴらき稲荷神社の周りをうろちょろしてみる。なにも見えないし、目が乾いて痛くなってくる。そして思う。

 これが華の中学2年女子のやることか??

 いや、そりゃ思うよ。友達と近所のお祭りでりんご飴食べたりとか、好きな人と花火を見たり、とかさ。でも、そんなキラキラした学生時代は本当に、夢。好きな人なんか存在しないし、そもそもこの村すっごい田舎だから祭りも年に一回、あるかないか。いいな〜、中2は。転校生きてるし。生まれてこの方、転校生なんてうちのクラス見たことないからなー。転校『していく』人は2、3人小学生の頃いたけど。

「キラキラした学生生活送ってみたいな・・・」

 そんな言葉を口にしながらすっかりカピカピになった目を擦り、うーんと背伸びをする。

「お願い、叶えてよ・・・。」

そんな1人事を呟いたとき、不意に返事が聞こえてきた。

「いいよ!」

「誰!?」

 この夕暮れ時に私以外歩いている人はほとんど見たことがない。この時間に動いている生命といえば、ゴミ捨て場を漁るカラスか塀を飛び移って遊ぶ猫ぐらいだ。そして振り返ったとき、私は人生初めての本心からの尻餅をついた。いつの間にか、知らない場所にいたのだ。しかし、家や塀など、ある物は同じ。雰囲気がとてつもなく重たいのだ。

「えほっげほっ」

むせてしまった。でも、それほど重たい。どんよりしている、真っ暗闇の空気。

急に日が暮れた??でも、雰囲気があからさまに違う。だとしたら、何??

 すると、私が振り返った先にある、塀の影から何かが出てきた。

 声の主なのかな。

そう思ったが三秒で私はその言葉を取り消すことになった。出てきたのは化け物だった。目も鼻も口もない。体のラインも輪郭もない、影に不規則に足や手が生えているような化け物だ。信じられる??いつも通りの道を帰っていたら、誰もいないのに独り言への返事が返ってきて、今目の前に化け物がいることなんて。私が聞いた声はもっと明るい、光のような声だ。こんな影とは違う。

「ヌァァァァァァァア?」

 バケモノは金切り声を上げながら、私の方をゆっくり振り向く。目はないはずなのに、目が合ったような不思議な感覚を感じた。そしてそのバケモノは、あらぬ方向に曲がりくねったその手足をクモのようにグネグネと動かしながら、私に突進してくる。

「ひぇっ」

 間抜けな声が出た。その間も、闇は私に襲いかかってくる。

「守護霊さんっ!!」

 その瞬間、私は守護霊のことを心から「いる」と信じた。すると、

「はーい!助けますよっ!!」

 私の目の前を一瞬風が吹いた。そして不意に、狐に取り巻かれたような感覚に落ちいり、気づくと目の前に知らない男の子がいた。

でも、絶対にただの男の子じゃない。

黄金に光る瞳。黄土色の髪の毛。頭には狐耳、腰からは狐の尻尾が生えている。おまけに、お伽話かのように頭に深い緑色の葉っぱがのっている。

稲荷神社の、守護霊さん、なのかなぁ。守護霊は右手で刀を握っていた。そして、桜の法を振り返ってにっこりと笑う。

「お客さん、だね!怪我はない?」

優しい笑顔だった。あのクモ人間(?)のバケモノとは違う、光のような子だった。

「あ、ありがとう・・・。しゅ、守護霊さんって本当にいたんだ・・・。」

「だーーいぶものしりなお客さんだね!珍しいや!何十年ぶりかな??」

『何十年ぶり』耳を疑った。見る限りこの子は13、14ぐらいだ。その子の口から

『何十年』。幽霊というのは年齢が本当にないんだな。

「俺の名前は、稲荷神社の守護霊!朱雀のいなり!君の名前は??」

「な、名前??」

「名前だよ!名前!」

「私は、桜。」

「桜ね!おっけい!」

そういうと、いなりくんは親指と人差し指で丸を作った。

「ねぇねぇ、桜〜〜。俺の使いにならない??」

「つ、使い??ってなに・・・」

ちょっとだけど、嫌な予感がする・・・・名前を聞かれたかと思ったら、使いへの勧誘って・・・

「あんなのとやり合うだけ!簡単なお仕事だよ〜」

どこが簡単なんだよっ。いなりくんには感謝しているけど、まさかこのクモ人間と戦うとは・・・。

「簡単じゃないでしょっというか、ここはどこなの??あのクモ人間はなに!?」

「あぁ。説明してなかったね〜〜。ここは、裏世界うらせかい。なんの世界かというと、あのバケモノ『かげ』が人間界に影響を及ぼさないように作られた、世界なんだよ〜〜」

さらっといなりくんはすごいことを言った。というか、まだよくわからない!!

「影ってのはそもそもな、」

そもそも何、と聞こうとしていたらいなりくんは影の首根っこを掴んだまま、影の前に剣をチラつかせていた。

「うーん?なんか言った〜〜?」

「いや、何してんの・・・。危ないよ?」

「確かに、桜には危ないかもだけど俺は大丈夫だと思うから!もし攻撃が来たとしても、俺の方がズーーっと強いし、そもそも怪我したとしても俺幽霊だからさ、すぐ治るんだよね〜〜」

そう言うと、いなりくんは捕まえていた影を串刺しにした。

「すぐって・・・」

「腕がちぎれようが足がちぎれようがどれだけでも!」

うっっちょっと生々しい話になってきたぞ・・・。

「ストップストップ!そういうのはいいからさ、影はなんなのかだけ教えてくれないかな!?」

「桜、こういう話もしかして苦手なの〜〜〜(笑)」

イラっときた。この年代の子はほんと〜〜に無神経だな!?まぁ私も同じくらいの年齢なんだけどさ!?

「お黙り。」

私はとりあえず、いなりくんの足をふんどいた。

「痛ったぁぁあ!!俺幽霊って言ったけどさ、痛いもんは痛いんだよ!?乱暴は感心しないよ!?」

「治るんでしょ??ほらファイトファイト〜〜」

これでだいぶ怒りはおさまった。そして、一通り影討伐が終わった頃。

「影はなんなのか。そしてあなたは誰なのか。そして使いとはなんなのか。」

いなりくんは影との戦闘でへとへとのようだ。でもそんなことは関係なし!

と、私はいなりくんに問い詰めた。

「んぇーー明日じゃだめ??」

「だめ!こんな裏世界明日来れるかもわからないし、いなりくんの性格だと逃げそうだから!」

「わかった、わかったから!!」

そういうと、いなりくんは手で懐を探ると、何かを取り出した。

すると、眩いばかりの光が私といなりくんを包んだ。

「何、それ・・・・・」

「核だよ核!」

よくよく見ると、光の中にうっすらと球体の輪郭が見える。もっとよくみたかったけれど、いなりくんは

『長く出してたらいけない、』

とすぐ懐に直してしまった。

「神様の心臓部分、『かく』だよ。これを影に取られたら、今のお稲荷様は死んじゃって、核をとった影が新しい神となり、膨大な霊力を手にするんだよ。」

そして、といなりくんは付け加えた。

「影が核をとった場合、俺も神様と一緒に死んじゃう。」

「!?」

死んじゃうって・・・・

「死んじゃうの!なんで・・・・。」

「あ、そういう『死ぬ』じゃなくて、守護霊としての俺が死ぬってわけ。実際は死んでない。ただ、あの世で生まれるだけ。」

「・・・?」

あの世で生まれる・・・?なんか、ややこしい話になってきたぞ・・・。

「ここで死んだら、あっちで生まれる・・・?」

「そう!あの世っていうか、冥界めいかいで生まれるんだよ!死は新しい人生のスタート。冥界でも死んだら、人間界・・・・つまり、ここね。で生まれる。」

多分だけど、冥界(あの世)で死ぬ→人間界(この世)に生まれる

人間界で死ぬ→冥界で生まれる

ってことかなぁ。

「話ずれちゃったね。核を守るのが、俺の役目!ちなみに、俺は幽霊だけど一応この世の人間って異になってるんだよ!」

「・・・ややこしくない?大丈夫?」

「幽霊にも法律ってのがあるからね・・・。」

いなりくんは頭を抱えるジェスチャーをすると、そのまま頭を横に振った。

「じゃあ、いなりくんはなんなの?一体、誰なの?」

そこでいなりくんは頭を横に振る動きをやめた。

「うぅ、教えないとダメ〜〜?」

「ダメ!じゃないと、使いにはならない」

「でもなーーーー。あ、そうだ!」

いなりくんは何かを閃いたようだ。

「俺の正体は、まだ桜には言えない。ただ、『今』は稲荷神社の守護霊、朱雀のいなりってだけ!もしも、その時が来たら教えてあげる!でも、使いになってくれなかったら教えてあげない!後、キラキラした学園生活、だっけ?も叶えない!」

守護霊のくせに、人の願いを手玉に取ってずるいぞ!

でも・・・なってあげてもいいかもしれない。私が言えることではないかもしれないけれど、この子からは『寂しさ』の雰囲気が溢れている。なんでだろう。

「い、いいよ??」

「いいの!?」

「その代わり、ちゃんといつかはいなりくんのこと教えて!後、危ない時は守ってよ!」

「もちろん!俺、今まで使いがいなかったから・・・。」

いなりくんはどこか遠くを見るような眼差しになる。ちょっと気まずい・・・かもしれない(?)私はそんな空気が苦手だった。昔っから。

「ねぇ、私戦うって言っても武器ないよ?」

ほら。いつもこういう空気になった時には、口が勝手に喋ってしまう。沈黙が苦手なわけじゃないけど、、なんだろう。

「あ、桜は持ってんじゃん。」

「持ってるって・・・?武器を?」

正真正銘、私は剣も刃物も何も持っていない。健全な中学2年生・・・あ。持ってたわ。それも、刃物なんて生やさしいものじゃない。

「わかった。持ってたわ。」

私は自分のカバンをおろすと、カバンを開ける・・・のではなく、その鞄の横についている小さなポーチを開けた。中には、黒くて小さい・・・拳銃。あ、そんな悪いことはしていないから!!これは、部活の道具。そう、私が所属する部活は、『射撃部』。今日帰るのが遅くなったのは部活があったからだ。だからこそ、いなりくんとも出会えた。

「そうそう!それそれ!」

いなりくんはその尻尾を左右へふりふり、と振る。

「これ、弾入っていないけど・・・。」

「ふぅん。」

私の言葉に耳を一瞬傾けたかと思うと、すぐにいなりくんはその弾の入っていないはずの銃の引き金を引いた。

バン

驚く・・・というか、予想はしていたんだけど拳銃からは入っていないはずの弾が空気を引き裂きながら出てきた。

「いいねいね!!」

いなりくんはそういうと、私に銃を差し出してきた。

「これで、戦って・・・?くれる、よね。」

「ええ。危ない時は、守ってよ!守護霊!」

いなりくんはニィっと笑うと、その剣を地面に突き刺した。不思議な感覚がし、気づいた時にはモノと世界だった。あんな化け物はもちろんいなく、猫やカラスがちゃんといる。

「夢、、、」

「じゃないよっ!」

私の『夢』を疑う独り言をかきけし、あの元気で無神経な返事が聞こえてきた。

「こっちの世界にも出て来れるんだ。」

「まぁね!他の神社や、その裏世界の領域には流石に入れないけど・・・それ以外だったら、どこへでも!」

そして、といなりくんは剣の刃先を自身の首元へ向けて思いっきり突き刺した、かと思うと剣は消えており、代わりに首のチョーカーに剣のチャームがついていた。便利だな、ああやって持ち運ぶのか。

「あ、拳銃はこっちでもちゃんと正常通りの動きをするから!」

そしていなりくんは自分の懐から何かを取り出す。

「これ、もっといて。」

そう言って渡されたのは、葉っぱの形をしたカンだ。

「いざとなったら中に入っているお稲荷さん食べて!俺のとこにいつでもこれる!」

私は頷いた。全く、守護霊ってのはどこまで便利なのか。

「明日も絶対に、来てよ!」

「いいよ、来てあげる!」

「約束だよ!!」

そういうと、いなりは勝手に桜の手を持ち上げると、強制的にゆびきりげんまんをした。

「また、明日ね。」



こうして、私の長い長い、神社日和は始まった・・・!

いなりの正体は・・・?

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