第四話 突き付けられた武器の名は その六
「ごちそうさま」
「ごちそうさまでした」
「美味かったよルビナ」
「ありがとうございます! 嬉しいです!」
満面の笑みを浮かべたルビナは、席を立つと食器を集め始めた。
「あぁ、ルビナ」
「はい!」
「今日は登城する日だ。洗い物は厨房の人に任せて支度をしよう」
「分かりました!」
元気良く答えると、ルビナは食器を持って厨房へと消えた。
あれから四日。ルビナは毎日厨房に入る。
調理だけでは無く、食器洗いや厨房の清掃も覚え、嬉々として働いている。
竜皇国の皇女にさせて良い事か悩みはした。
しかし他にする事と言ったら読書位しか無く、読書だけをさせるとルビナに読ませて問題無いかを調べるのが追いつかないので、人間社会の勉強と割り切る事にした。
「礼装をお持ちしました」
「あぁ。ありがとう」
スフェンさんから畏まった服を受け取り、部屋で着替える。
この服を着ると、緊張感が高まる。
国王陛下への謁見もそうだけど、汚したり破れたりしたらと思ってしまう自分のみみっちさが情け無い。
そう言えば私の給料ってどうなるんだろう。
機会があったら聞いておかないとな。
「ディアン様、入ってもよろしいでしょうか」
「あぁ。済んだか」
別室で着替えと化粧を済ませたルビナが入ってくる。
う、ルビナと分かっていてもどきりとさせられる。
王国広しと言っても、ここまでの令嬢はそうは居ないだろう。
艶やかな黒髪は綺麗に結い上げられ、纏う若草色の礼装との対比が美しい。
化粧はルビナの紅い瞳が、より強調される様工夫されている。
そして胸元の首飾り。貴族の持ち物だっただけあって、この華麗な服の中にあっても見事に調和している。
「……あの、何かおかしな所がありますか?」
「いや、綺麗だ」
しまった! 口が滑った!
変な意味に取られてないかな!?
「ありがとうございます!」
いつもの褒められた時の笑顔だ。良かった。
ルビナは囚われの身から解放した事、誇りを取り戻させるべく色々手を打った事、そして竜皇様の厚意を利用してルビナ達の罪を帳消しにした事に対する恩義から私に好意を抱いている。
それが恋愛感情に変化する前に、手を打たなくては。
「では行こう」
「はい!」
玄関ではスフェンさんと、礼装に身を包んだラズリーが待っていた。
「うん、お似合いだね!」
「全くです」
服の事じゃ無いだろう?
その顔が全てを物語っている。
二人の誤解を現実にしない為にも、気を引き締めてかかろう。
さっきの失言を知られたら、どんな顔をされるか……。
「ルビナ嬢は今日も美しいね」
「ありがとうございます! ディアン様にも綺麗だと褒めて頂きました!」
「ほほう」
「それはそれは」
……ここから、ここからだ!
恐ろしく早い伏線回収、俺じゃなくても見逃さないね。
読了ありがとうございます。




