ブランチ鉄鋼国皇帝の来訪 前編
村の侵入者騒動の翌日。
僕はいつも通りに畑の水やり・・・と言いたいところだが、今日はそれどころじゃない。
昨晩から一睡もできてないからだ。
なぜそんな状態になったのかというと、昨晩は色々あってシュバイエと一緒に寝ることになり、僕と一緒に横になったのはいいものの、一応シュバイエは服は着ているが、シャツ一枚だけで着ていたので、シュバイエの柔い肌とゴムボールのような弾力のある胸部が僕の身体に押し付けられたことにより、緊張と恥ずかしさで一睡もできなかったのだ。
あと、僕を抱き枕のように抱きつくのはいいが、力が異常に強く抱き着かれただけで背骨が折れそうな勢いだ。
危うく呼吸困難になりかけるわ、骨が折れるぐらいの激痛が襲うわ、かなり複雑な状況になったのでで一睡もできなかったのだ。
そして今に至る。
いま、僕の隣には例のブランチ鉄鋼国皇女シュバイエが寝ている。
彼女はかなり寝相が悪かったのか着ていたシャツが脱ぎ捨てられている。
そう、今のシュバイエは全裸の状態だ。
これはまずい。
もしエリール・・・いや、他の誰かにこの状況を見られたら思わぬ誤解が起きそうだ。
だが、幸いにもシュバイエはまだ眠っているようだ。
思わぬ誤解が広まる前に退散した方がいいだろう。
まだ眠気がある中、僕はさっさと服を着替えてこの部屋を出た。
数分後・・・。
僕は慌てながらも畑に着いた。
畑に着いた時には、ボクードタ族とオレリア族のみんなが先に畑の水やりをしているようだ。
正直、このまま棒のように倒れて、そのまま伏せるようにして寝たい気分だ。
眠気が襲う中、僕は畑の水やりの準備をしようとした時、ボクードタ族のレコラが僕を見て声をかけてきた。
「村長。今日は珍しく遅れてくるなんてなにかあったんですか?」
「ははは、まぁ色々あって今日は眠れなかったんだよ」
「本当に大丈夫ですか?無理をなさらずに」
「大丈夫だよレコラ。さっ、早く水やりをしよ」
「わっ分かりました」
こうして僕はレコラたちと一緒に畑の水やりをした。
水やりを終えた僕はまだご飯を食べていなかったので一度家に戻ることにした。
家へ戻ると、玄関前に誰かが待っている。
そこにはエリールが立っていた。
一体何の用があるのだろうか?
僕はエリールの方に近づいていくと、エリールは僕を見るないなやエリールは僕に向かって声を上げた。
「ちょっとこれはどういうことなの?」
「エリール!?一体どうしたんだよ?」
「朝起きるのが遅かったから、あなたの部屋に入ったらシュバイエがいたから、なぜいたのか問いただしたら一緒に寝ていたそうじゃない。一体どうゆう経緯で一緒に寝ていたの?説明しなさい」
これは困ったな。
昨晩のことを説明できるわけがいない。
ここで話をごまかしても、正直に話をしても、間違いなく半殺しになる。
だが、ここで話を引きずるわけにもいかない。
ここは半殺しになる覚悟で正直に話そう。
「分かったよ。正直に話すよ。実は・・・」
僕はエリールに昨晩のことを話そうとした時、エリールの背後から女性の声が聞こえてきた。
「なんだ騒がしいな!」
そこに現れたのはシュバイエだ。
一応服はTシャツ一枚で着ているようだ。
「あらシュバイエ。一体何のよう?」
「なんの用って、私について話が聞こえたがどうしたんだ?」
「練に昨晩のことを聞いているところなの!シュバイエはちょっと黙って・・・」
「昨晩?あー、そのことか」
「その事って?」
「こいつと一緒にいたのは私からお願いしたんだ」
「どうしてよ?」
「どうしてって決まっているだろ。奴隷である私と一緒に寝るのは当たり前じゃないか!」
あっこれはもうだめだ。
これはもう弁明できる余地がない。
これを聞いたエリールは手をプルプル震えており、このまま大激怒するかと思いきや、エリールは冷静になると、僕に向かっていった。
「・・・練」
「正座」
「はい?」
「そこに正座して!」
僕はエリールに言われるがまま正座した。
あと、シュバイエも一緒に正座している。
「練!私がいながら他の女と抱くだなんて一体何がしたいの!?あとシュバイエもシュバイエよ。一体どんな教育をすれば一緒に寝ることになるの?」
あー、今のエリールはかなりご立腹のようだ。
ここは正直に正々堂々誠意を見せて落ち着かせておこう
「はい、この度は大変申し訳ございませんでした」
僕はエリールに向かって地面に頭をつけて土下座をした。
「貴様は一体何をやっているんだ?」
シュバイエは冷静にツッコんでいる。
まあ、それはいいのだが、エリールの様子はというと。
「れっ練!?これは一体どうしたというの?」
あれ?これは想定外の展開だ。
土下座をしてる僕を見てエリールはかなり動揺している。
恐らく、エリールが思っていた流れが変わり、僕の行動を見て動揺しているようだ。
このままでは可哀想になったので、僕は顔を上げてエリールに声をかけた。
「エリール」
「はっ!わ、私としたことがつい・・・」
「いいんだ。とにかく謝るから許して・・・」
「・・・いいわよ」
「本当に!?」
「えぇ、こんな謝り方をされたら許すに決まっているでしょ」
「ありがとうエリール」
「まあ、今回のことは水に流してやるから練、一緒にご飯にしよう」
「あぁー」
こうしてエリールの誤解が解け、エリールとシュバイエと共に遅めの朝ご飯を頂いた。
一時間後。
朝ごはんを食べた後、昨晩寝られなかったので僕は仮眠をとった。
仮眠をとった後、各地区の代表たちを僕の家に集まり、今回行われるシュバイエの引き取りに関する会議を行なった。
特に皇帝の元側近であったダウストンにとってはかなりしんどい日になるだろう。
話し合った結果、村の代表たちも参加することになり、残りの住民たちは引き取りが終えるまで村の外へ避難してもらうことで話がまとまった。
その後、住民たちに村の避難を伝えるため、いったん解散した。
その話を聞いた村のみんなは早速避難の支度をした。
だが、一つ想定しなかったことが起こった。
それはブランチ地区の住民たちが今回の引き取りを見たいというのだ。
さすがに自分たちが出ていく理由を作った相手なのであまり会いたくないのだが、皇帝に聞きたいことがあるようなので、無茶なことをしないことを条件で許可した。
こうして僕たちは村の住民の避難とシュバイエの引き取りの準備を開始した。
村の住民の避難と準備を終えた後、エストラル王一行が来るので、そのまま待つことにした。
今残っている人物は以下の通りだ。
立吹 練、エリール、ラーブ・レーベ、ミョルニル、レフコン、メラン、八一家とおばば、ダウストンを含むブランチ地区の住民、レコラ、ガウラ、ウィシム、レフィーン、ルーベ、ナイデュルン、エイラ、ネイレス夫婦、ガフフ、シャサ、ギャリガン、ニグリ。
数分後・・・。
今のところはまだ来る気配が無い。
正直暇なので、ある人物に声をかける。
「ダウストン。ちょっといいか?」
「はい、なんでしょう?」
「昔、仕えていた主と再会するわけだけど、緊張とかしないのかなって」
「えぇー、緊張しますとも。向こうからしたら、国の裏切り者ですからね。陛下の事ですから私を見たら何かしらつっかかてくるでしょう。ですが、私は村長に忠義を尽くしているので安心して下さい」
一応、ダウストンのことは問題ないようだ。
しばらくすると、地面に転送の魔法陣が現れた。
どうやらエストラル王御一行がやってきたようだ。
魔方陣が展開したあと、最初にやっててきたのはエストラル王国第一騎士団団長兼第一王子のアーノッドだ。
「お久振りです。村長殿」
「こちらこそ久しぶりだよ。アーノッドさん。いきなり来たところ悪いけど国王様はいつ来るのですか?」
「父上・・・。ゴホン、国王は後から来る予定だ。しかし、ブランチ鉄鋼国の姫であるシュバイエ様が村長の誘拐しようとしてたとは意外だ。だが、このような作戦を実行するほど向こうもかなり焦っているようだな」
「ははは、そうですね・・・」
ちょっとした挨拶をかわし緊張が少しほぐれた。
そして、アーノッドはブランチ鉄鋼国第二皇女のシュバイエに近づいて挨拶する。
「これはこれはブランチ鉄鋼国皇女のシュバイエ様ではないですか。まさかこんなところで対面するとは・・・。暗殺姫の名に傷付きますよ?」
「ぐぅー・・・」
今のアーノッドはかなり嫌味が含んだ挨拶をしたようだが、彼女のことを暗殺姫と言っていたようだ。
一体何の事なのだろう?
いや、今は王様が来るのを待とう。
しばらく待ったのち、何もないところから光始めた。
どうやら異なる場所へ移動できるポータルのようだ。
最初に鎧を着た兵士たちがやってきた。
次に兵士とは違い軽装でやってきたのはアーノッド率いる第一騎士団とおそらく違う騎士団の人がやってきた。
ポータルからやってきた人数は約二百人ぐらいいるだろう。
そして、最後にポータルから現れたのは、エストラル王国国王だ。
「村長殿。久しぶりじゃのう」
「これは陛下。お久しぶりです。しかし結構な人たちを連れてきましたね」
「はっはっはっ、そりゃブランチの皇帝と会うのじゃから、これだけ人がいれば安心じゃ」
国王とあいさつをした後、引き取りの最終準備をした。
そして、引き取りの準備が終わり、いつでも迎える準備が整った。
まず、引き取りであるシュバイエはなるのため手を縛って待ってもらっている。
その左隣で僕を含む村の代表が並び、その右隣はエストラル王国国王が立ち、そしてその周りには騎士団や兵士たちがコの字のように並んで立っている。
「ほおー、これはまた圧巻じゃのう。第一騎士団はよく見るが、第二騎士団に第三騎士団まで揃えるとは。あちらの方のかなり警戒しているようじゃ」
「そんなに珍しいんですか?」
「そりゃそうじゃよ。第一騎士団は陛下が外出する時に見られるが、第二騎士団と第三騎士団は主に主城を拠点にしつつも城外で活動してるからこれだけ揃えるのは滅多に見れないんじゃ!」
第一騎士団は主に国王の身辺の警護、第二騎士団は城の警備と防衛、第三騎士団は犯罪組織の取り締まりや敵勢力の攻撃という役割に分かれており、他にも第四騎士団や第五騎士団などいるが、それぞれ役割が違うので、騎士団同士で揃うのは国王の生誕祭や外交などの祭事や政治的なことしかないため、今回の一件はかなり例外的で珍しいそうな。
でも、本来なら第二、第三騎士団団長も出席するのだが、不測の事態に備えるのと、アーノッドが率いてくれるので、今回は欠席しているそうだ。
こうして、シュバイエの引き取りの準備ができた。
しばらく時間が経って、約束の時間になった。
だが、約束の時間になっても来る気配が無い。
もしかして約束をしておいて向こうから破ったというのか?
まあ、一応遅刻をしてもいいように余裕を持っているのだが、約束の時間を一時間以上超えるとイラついてしまう。
もう少し待とうとしたのだが、みんなが待つのを疲れ始めてきたので、一旦休憩をとることにしよう。
そして僕は皆に休憩をとるため、声を出して促そうとした時、村の周辺の森が騒がしくなった。
一体何があったのか周りを見ても特に何もない。
この村に何かが近づいているようで、このままで引き取りができなくなる可能性があるため、僕は今いるものに調査をお願いしようとした時、エストラル王国の兵士が何かに気づいたようだ。
「おい、あれを見ろ!」
その兵士は空の上に何か見たようなので僕も空を見てみるとそこには、巨大な何かがこの村に少しづつ近づいているようだ。
見た感じは魔物ではないようで、何か大きな塊のようだ。
一体何が来るのだろうか?
僕達は敵襲に備えて警戒態勢を取り、向こうが仕掛けてくるまで、じっと待つことにする。
その塊は少しづつ村に近づき、塊がこの村に着いたら、なんとそれは巨大な空飛ぶ船がこの村にやって来たのだ。。




