47.脊柱管狭窄症患者事件
ガイシャは、友田英介。隣家の夫人辻野江威子氏が洗濯物を干す際、友田家の雨戸の一部が外れているのを発見。隣家に行くと、玄関が開いていた。友田も先日の、宅配食を利用している。
========== フィクションです ===========
=== 主な登場人物 ===
眩目真吉・・・警視庁捜査一課刑事。巡査。
大曲尚人・・・警視庁捜査一課刑事。巡査部長。
開光蘭子・・・警視庁捜査一課課長、警部補。
志摩敏夫・・・警視庁管理官。
井関権蔵・・・警視庁鑑識課課長。
秋野治夫・・・警視庁鑑識課課員。
井関智子・・・警視庁鑑識課課員。井関の娘。
辻瑛人・・・捜査一課辻班班長。
蒔俊郎・・・警視庁捜査一課課員。辻班。
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午後1時。捜査一課横の大会議室。『高齢者変死事件』本部。
昼食の後、捜査会議が始まった。
そして、志摩管理官が説明を始めた。
「ガイシャは、友田英介。隣家の夫人辻野江威子氏が洗濯物を干す際、友田家の雨戸の一部が外れているのを発見。隣家に行くと、玄関が開いていた。友田も先日の、宅配食を利用している。ボックスには施錠のまま。入って声をかけると居間で倒れていたので119番をした。救急隊員は、既に絶命しているのを確認、救急隊員から110番した。雨戸は1枚外されており、ガラス戸にヒビが入っていた。そして、仏間の窓は少し開いていた。井関さん、逃走経路は?」
「それがね、管理官。ゲソコンが見当たらないんですよ。ウチの課員がボケナスばかりでなけければ、複数犯が上手く痕跡を隠したことになる。」
「父さん、ボケナスはないでしょ。」と、智子がふくれた。
「複数犯の可能性を言ったんじゃないか。秋野、薬物の結果。」と、井関が言った。
「『変だ似る』の亜種らしきものがガイシャの胃と、朝食のヨーグルトに含まれていました。ガイシャは、常用していた薬の1つが、所謂『血液さらさら』の薬で、その薬物と飲んで副作用が出て、死に至ったと考えられます。」
替わって、辻が説明していた。
「ガイシャは、糖尿病の持病もあり、他の持病の薬も併せて色んな種類の薬を服用していたそうです。今は、『お薬手帳』というものがあって、医療機関でも、提携している薬局・ドラッグストアでも、『飲み併せチェック』をしています。効能が重複している薬はありません。ここまでは、医療機関での確認ですが・・・。」
「ですが?」
「親族に問い合わせると、やたら多くの薬を飲んでいるから再三注意していたのに、と愚痴を言われました。」
「辻さんは悪く無いよ。同居していないのに、やたら干渉する親族。前にも似たような事件、ありましたよね?」
「今日の大曲は冴えてるな。プラス5点。」大曲先輩は嬉しそうだ。
蘭子は、積年の恨みを数値化したのだ。マイナス100点から始まって、『功績』があればプラス点数で相殺される。
衆知のことになってしまっているから、皆苦笑している。
「辻さん、ガイシャは勤務先がないようだから、親族と、近所の『親族の評判』を当たって下さい。大曲達は、指紋掌紋等が見つからなかったようだから、PCを中心に捜索してくれ。」
「「了解。」」
午後2時。移動するクルマの中。
「何か掴んでいるんですね。」
「あ?蘭子課長か?ああ、そうだろうな。ガイシャ、Web小説ライターだって?」
「はい。」「何か、ホシに繋がるものがあるかもな。」
「はい。先輩、嬉しいんですか?プラス5点。」
「当然。いつかゼロになるさ。」
「・・・ですね。」
午後3時半。友田家。
PCには、プロテクトがかかっていなかった。
「コピーした形跡はない。タイムスタンプから見付けたファイル。どれも身内への悪口だ。」
俺は、速読してみた。確かに。ガイシャは、かなり身内を恨んでいる。
先輩は、専用のアプリで、ネット検索の履歴を確認した。
「あっけないな。」そう言って、大曲先輩は秋野に連絡した。
「・・・という名前だ。どっかのサイトで見付けたかな。」
「案外、SNSかも知れませんね。おしゃべり多いし。ありがとうございました。」スマホの向こうの秋野が応えた。
午後5時。捜査一課横の大会議室。『高齢者変死事件』本部。
取り調べ室から、蘭子と管理官が出てきた。
「明日の夜がお通夜だそうだ、出られる者は出てくれ。まず侵入経路。そんなものはない。井関さん。」
「雨戸を嵌め直して入れたら、入った。多少隙間はあるが、隙間から手を入れて外すパターンは当てはまらない。洒落でなく。ガラス戸の傷はいつ付いたか判らない。玄関と窓はガイシャが開け、ガラス戸を開けて、雨戸も外しておいたんだ。侵入者はいない。詰まり、自殺だ。」
「PCのファイルは、身内への恨み言ばかりだった。脊柱管狭窄症も糖尿病も自己責任みたいな言い方をし、他の医療機関に通え、と言っていた。飲み合わせもチェックされているのに、『どれが効いているか判らない』と言っていた。通院の電動アシスト自転車も、『危ないから止めろ』と言っていた。電動アシスト自転車は、漕ぐ力を補助するもので、自走はしない、と何度説明しても理解出来ない。妄想と思いつきで話すのでイライラする。日記風のファイルには、そう書いてあった。薬物をネット注文した時から『他殺に偽装する自殺』を考えていたんだろうな。」
大曲先輩の言葉に続いて、蘭子は「大曲が見付けたファイルのプリントを見せたら、青ざめていたよ、親族は。たまに来て掃除が出来ていないなんて、嫁いびりみたいなこと言われて、足腰に持病のあるガイシャは、心を病んでいた。一番重い持病は『イジメ』だよ。」と、言った。
午後7時。眩目家。
「明日の喪服、用意しておいたよ。春物でいいよね。」「ああ。よく出来た婿だ。」
青椒肉絲が出来た。
―完―




