46.勘違い殺人事件
ガイシャは、マリエ・レイモンド・クルース。フィリピン人だ。ガイシャは昨年から、宅配食配達員として働いてる。日本人男性と恋愛して婚約、6月に結婚する筈だった。
========== フィクションです ===========
=== 主な登場人物 ===
眩目真吉・・・警視庁捜査一課刑事。巡査。
大曲尚人・・・警視庁捜査一課刑事。巡査部長。
開光蘭子・・・警視庁捜査一課課長、警部補。
志摩敏夫・・・警視庁管理官。
井関権蔵・・・警視庁鑑識課課長。
秋野治夫・・・警視庁鑑識課課員。
井関智子・・・警視庁鑑識課課員。井関の娘。
辻瑛人・・・捜査一課辻班班長。
蒔俊郎・・・警視庁捜査一課課員。辻班。
村松みちる・・・警視庁捜査一課刑事。巡査部長。
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午後1時。捜査一課横の大会議室。『宅食便配達員殺人事件』本部。
昼食の後、捜査会議が始まった。
そして、志摩管理官が説明を始めた。
「ガイシャは、マリエ・レイモンド・クルース。フィリピン人だ。ガイシャは昨年から、宅配食配達員として働いてる。日本人男性と恋愛して婚約、6月に結婚する筈だった。事件が起こった一昨日、お昼前に宅食便利用者の持田治氏宅に弁当を宅配した。本来は、担当の焼津久子という契約社員がは配達するのだが、焼津は、インフルエンザで欠勤した。そこで急遽マリエが配達した。宅配食用のボックスに弁当を収納し、施錠し、起き上がった所を背後から刺された。ホシはすぐ逃走した。隣家の奥さん、安川さんに助けを求め、安川さんが119番した。だが、マリエは背中に古傷があり、運悪くピンポイントでそこに刺さってしまった。救急車が救急病院に到着した直後、マリエは息耐えた。救急隊員は、『見知らぬ男に刺された』という言葉を『日本語』で言ったのを聞き取れただけだった。クリスチャンらしく、ひたすらお祈りしていたそうだ。」
「許せないわ!」と言ったのは、村松だった。
やはり、心はオンナ、か。
蘭子が「アイツはジェンダーだ。」と言ったので、改めて調べると、ジェンダー(トランスジェンダー)とは、肉体的性別の「らしさ」を捨てた生き方の「人間」のことらしい。『性別違和などを持つ人』などど、学者の言い方では、誰も理解出来ない。男の場合は、『男らしさ』を捨てた人、女の場合は『女らしさ』を捨てた人だ。男の場合は女装する場合もあり。女の場合は男装する場合もある。昔は『オ〇マ』も『女装趣味』も一緒くただったが、『生き方としての区別』が増えただけで、肉体的『性別』とは、別物だ。だが、昨今『心は女』などと言ってスポーツに割り込んだりする人が増えたり、国会でわざわざ『理解増進法』などという利権丸出しの法律作ったりするのは、行きすぎだろう。
男性スポーツは男性スポーツの、女性スポーツは女性スポーツの『性別による区別』が既にあるのだから。
大曲先輩に聞いてみたら、「ポーズさ。理解ある警察、っていうポーズ。」と、すんなり言われた。
「眩目君、何か意見があるのかな?」
「え・・・と。ピンポイントで刺さる確率は低いような気がして・・・。」
「真吉。良いところに気が付いた。今晩サービスしてやる。」
皆は、笑いを堪えた。
「ところで、管理官。すると、ホシが狙ったのは、焼津さんということになりますね。勘違い殺人?」と、蘭子は管理官に確認した。
「うむ。持田氏は、帰宅すると、騒動になっているから相当驚いたそうだ。宅配食は夕食用に依頼しているものだ。井関さん、凶器のナイフは宅配ボックスの側に落ちていたんですね。深さは?」
管理官の問いに、「そんなに深くはないです。今管理官がおっしゃったように、古傷が開いた為に致命傷になりました。」と井関が応え、「宅配食の会社の上司によると、故郷にいる頃、巻き添えで負った傷だとか。面談の時に話しています。マリエは古傷のことでイジメに遭わないように自ら話していたようです。」と、辻が言った。
「大曲と眩目は、現場見てこい。辻さん、持田氏の会社の方に、聞き込みをお願いします。」
「え?持田氏は・・・。」と蒔が言いかけたが、「了解しました。」と辻が応えた。
「辻さん、余り物だが・・・これなら贈賄にならないでしょう。」と、蘭子は商品券を渡した。
「ああ。おやつ時を狙いましょう。郊外だし。」と、心得た様子で言った。
女子社員は、どこの会社でも口が軽い。お土産があれば、何でも話す。特に、同僚に関しては。商品券は、「跡」が残らない。
俺達が、クルマに乗り込むと、村松が乗ってきた。
「何だ、村松。用事か?」と、大曲が言うと、「アタシ、マリエさんと同じくらいの身長なの。」と、済まして言った。
「確認するが、開光課長の命令か?」「はい。」
「眩目。クルマ出せ。」
午後3時。持田家。
持田氏の了解を取っていて、中には入れないが、回りの実況見分は出来る。
村松は、宅配食ボックスに屈んで見せた。
パン・・・が丸見えだが、まあいい。
様子を見ていた大曲先輩が、ナイフ替わりにスマホを村松の背後に宛てる。
「先輩。やはり、見えますね。村松、もういいよ。」
念の為、庭の写真を撮り、隣家の奥さんに挨拶した。
「お騒がせしました。すぐ帰りますので。」
「ご苦労様です。」と、安川さんは応えた。
午後3時半。クルマの中。
「宅食便ボックスがある玄関前から門扉まで2.5メートル。村松。女の子の気持ちで考えろ。門扉まで行けるか?」「無理。」
午後6時。捜査一課横の大会議室。『宅食便配達員殺人事件』本部。
取り調べ室から、蘭子と大曲先輩が出てきた。
「主犯は、持田治、従犯は焼津久子、時任洋次、安川育恵。オールスターだった。持田が計画し、『友人の』時任に相談をし、自分の家の前で殺させた。時任は、元反社だ。持田は、『手をつけた』マリエに結婚を承諾したが、マリエと一緒になる気は無かった。本命の焼津と交際していたからだ。焼津は『病気しない』自慢の女だった。医療機関、ドラッグストアで見かけた者はいない。仮病で欠勤、マリエを向かわせた。時任は教えられた場所にナイフを刺した。安川は持田に借金があった。言うことを聞くしか無かった。大曲達が現場検証したら、安川家から、宅配食ボックスは見えない。また、配達車が邪魔で、安川家玄関からも見えない位置だ。ただ車の後方からなら、宅配食を入れるマリエは見えた。ああ、言い忘れる所だった。辻さんによると、学生時代。『日本刀』をフィリピンで使ったことがある、と持田は自慢していたそうだ。それで、『カマ』をかけたら、自白した。『婚約者が15年前、日本刀で切った少女だったことを知った時は、仰天しただろう?いつ思い出されるかドキドキハラハラだよね。』、と。管理官。送検手続きお願いします。」
「了解した。」
午後7時。眩目家。
蘭子は無言だった。
そこで、俺から話しかけた。
「持田がマリエと出来たのを知っていたの?焼津は。」
「ああ。会社の方針で、急に宅配ドライバーが休みになった場合のシフトがあるそうだ。急病ではなく、焼津が欠勤した時に、手をつけた。そして、焼津に自慢していた。」
「最低だね。」
「ああ。お前は、最高だ。これからまた、最高、を披露しろ。」
しまった。夕飯が早く済んだのは、このためか。
『今晩サービスしてやる。』は、このためか。
俺は、蜘蛛の巣にかかった蛾、だな。
―完―
※Google検索によると、
『LGBTとは、女性同性愛者(Lesbian)、男性同性愛者(Gay)、両性愛者(Bisexual)、性別違和などを持つ人(Transgender)の頭文字をとった、性的少数者の総称です。性のあり方はグラデーションであり、約11人に1人が該当する とも言われ、多様性を尊重する社会への理解が求められています。』
だそうです。
作中の眩目の台詞は、私自身の見解で、一般的な見解でも、法律でもありません。
クライングフリーマン




