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43.炊飯器殺人事件

ガイシャ中亮二は、自宅で炊飯器に頭を突っ込んで殺されていた。町内会で、『炊き出し用』の大きな炊飯器を求めていた。

 

 ========== フィクションです ===========

 === 主な登場人物 ===

 眩目くらめ真吉・・・警視庁捜査一課刑事。巡査。

 大曲尚人・・・警視庁捜査一課刑事。巡査部長。

 開光かいこう蘭子・・・警視庁捜査一課課長、警部補。

 志摩敏夫・・・警視庁管理官。

 井関権蔵・・・警視庁鑑識課課長。

 秋野治夫・・・警視庁鑑識課課員。

 井関智子・・・警視庁鑑識課課員。井関の娘。


 辻瑛人・・・捜査一課辻班班長。

 蒔俊郎・・・警視庁捜査一課課員。辻班。

 村松みちる・・・警視庁捜査一課刑事。巡査部長。

 新垣舞・・・捜査四課課長。警部補。


 =================================


 午後1時。捜査一課横の大会議室。『窒息殺人事件』本部。

 昼食の後、捜査会議が始まった。

 そして、志摩管理官が説明を始めた。

「ガイシャ中亮二は、自宅で炊飯器に頭を突っ込んで殺されていた。町内会で、『炊き出し用』の大きな炊飯器を求めていた。息子良太郎が、曾祖母が使っていたという炊飯器がある、と婦人会会長をしている隣の端田紀子に応えた。それで、中家を訪ねたら、亡くなっていた。」

「炊飯器は10合、詰まり、一升炊けるタイプ。幅30cm奥行36cm高さ:27cm。小顔の男がギリギリ。引っ張り出すのに苦労したよ。炊飯器はね、ご飯炊く器。ニン。」と、井関が割り込んで言った。

「何らかの意図があったんでしょうか?窒息させるのに丁度良かった?」

「そこが問題だな、大曲。怨恨の『糸』を眩目と探してこい。」と蘭子は命令した。

「端田さんによると、中氏は区役所の勤務。本来なら今日は出勤している筈です。勤務している区役所に問い合わせると、無断欠勤したからインフルエンザかな?と心配していたそうです。それと、良太郎は高校3年野球部。登校していました。それと、母親は離婚しています。」

 辻がそう言ったタイミングで村松が入ってきた。

 何故か女性警察官の服装をいつもしている。

 今日は、スカートだ。

「中良太郎って高校生が、自分が父親を殺したって出頭してきましたけどぉ。」

「登校していたんじゃなかったんですか?」と俺はつい言ってしまい、しまったと思った。

 辻さん、傷ついたかな?

「誰かを庇っているな。私が会おう。大曲、頼むぞ。辻さんは、母親を当たって下さい。」

「了解しました。」


 午後2時。パトカーの中。

「先輩。俺、余計なこと言いました。」

「ああ。心配ない。野球部だから力あるから殺した?そんな筈はないだろう。良太郎は誰かを庇って出頭した。殺して後悔して、部活するか?」

「しない、ですよね。」

「蘭子のカンはいつも正しい。だろ?」

「そうっすね。」

 俺が二階を調べている内に、大曲先輩は、PCのデータと、古いケータイのデータを調べ上げた。

 古いケータイでも通信機能が使えなくなるだけで、アラーム、スケジュール、メモ帳、電卓、簡易なゲーム等は使える。充電して使う人は珍しくない。中氏のスマホはホシが持ち去ったと思われる。

「通信記録が丸見えだ。電話帳もある。宝の宝庫・・・ダブってるな。データの宝庫だ。それと、暗号化ファイルが幾つかPCにあった。これは鑑識に頼もう。お前、本部に連絡な・・・あ、秋野?暗号化ファイルがあってな。コピって持って帰ったら何とかなる?」


 午後4時。捜査一課横の大会議室。『窒息殺人事件』本部。

 事件は意外な展開を見せた。

 ホシは、母親の知人大下だった。

 離婚した母親への謝罪を強要した知人は、やり過ぎた。

 頭が炊飯器に入ってしまって、逃げ出した。

 中氏は、頭を押さえつけられた時、ぜんそくの発作を起こした。

 辻さんが改めて区役所に問い合わせると、花粉症だと思っていたと言う。

 良太郎は、一時的なぜんそくの事を忘れ、母親の犯行だと思ったのだ。

 事故には違いないが、暴行と死体遺棄で、大下は起訴される。

 区役所では大人しいが、良太郎の弁によると、中氏は所謂『モラハラ』をしていた。

 古いケータイの相手は、母親だった。

 そして、プロテクトのかかった電子ファイルは、中が懺悔する文章だった。

 モラハラしながら、後ろめたさを持っている。

 志摩管理官は、過去の事案で、そういう人物を見た、と言った。

「家庭環境は、他人には計り知れない。救いだったのは、母親自身は関与していなかったことだ。母親には、良太郎と同居することを勧めておいた。」

 管理官は、そう締め括った。


 午後7時半。眩目家。

 宅配便が届いた。炊飯器だった。普通の大きさの。

「炊飯器はな、ご飯炊く器。ニン。」と、井関さんの真似をする蘭子だった。


「この後、お前を食うけどな。」と言いながら、蘭子は、お米を研ぎ始めた俺に言った。


 何とも言えない気分になった。


 ―完―




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