44.諸刃の刃殺人事件
昼食の後、捜査会議が始まった。
そして、志摩管理官が説明を始めた。背後のホワイトボードには、凶器の刀が映っている。
========== フィクションです ===========
=== 主な登場人物 ===
眩目真吉・・・警視庁捜査一課刑事。巡査。
大曲尚人・・・警視庁捜査一課刑事。巡査部長。
開光蘭子・・・警視庁捜査一課課長、警部補。
志摩敏夫・・・警視庁管理官。
井関権蔵・・・警視庁鑑識課課長。
秋野治夫・・・警視庁鑑識課課員。
井関智子・・・警視庁鑑識課課員。井関の娘。
辻瑛人・・・捜査一課辻班班長。
蒔俊郎・・・警視庁捜査一課課員。辻班。
神道助六・・・捜査二課課長。警部補。蘭子と同期。
新垣舞・・・捜査四課課長。警部補。
村松みちる・・・警視庁捜査一課刑事。巡査部長。
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午後1時。捜査一課横の大会議室。『諸刃の刃殺人事件』本部。
昼食の後、捜査会議が始まった。
そして、志摩管理官が説明を始めた。背後のホワイトボードには、凶器の刀が映っている。
「諸刃の刃殺人事件。まんまだな。えーっと、ガイシャの草波良太郎は、会社役員。今年引退した。映画やドラマの小道具を扱う会社の創業者だ。今は、次男が社長良二、長男が会長良一だ。いずれも剣道の有段者だ。凶器は床の間に飾ってあった、日本刀。これを元通り飾ってあった。これ、珍しいですよね、井関さん。ちゃんと教育委員会が発行する「銃砲刀剣類登録証」を所蔵している。性善説と言うか、まさか賊に使用されるとは思ってもみなかったでしょうね。」
「その通りです、管理官。かなりの腕でないと、使えない。諸刃の剣、だからなあ。」
「発見者の長男によると、良太郎氏は、ぜんそくで寝ていることが多かったらしい。それで、今年1月に引退した。昨夜は、家人は全員留守だった。お手伝いさんは、良太郎氏が夕食を採った後、帰っている。周囲は入院を勧めたが、固辞されていたそうです。」と、辻が報告した。
「相続なら、何も殺さなくても、って思うけど。」大曲の言葉に蘭子がピクリと繭を動かした。
「管理官。顧問弁護士は?」「君が言うから、調べたけど、いなかった。個人的な弁護士とか公証人役場使えば、遺書は保存出来るが・・・・。相続かね?」
「可能性の1つです。会社の経営状況は?」と、蘭子が辻を見ると、蒔が応えた。
「粉飾決算とかは無さそうです。次男の発案で、イベントへのレンタル事業も軌道に乗ったそうですし。」
「ふうむ。辻さん、ライバル会社も調べてください。」
「了解しました。」
「これ、乗ってていい?ああ、乗っ取り。あ。ここ、笑うとこだぞ。」と言って、神道が入って来た。
「冗談は顔だけにしろよ、助六寿司。来月の3倍返し、忘れるな。」
「判ってる。草波エージェンシーな。優良企業だろ?優良企業は、隣国に狙われやすい。綻び見付けて、日本のマスコミ抱き込めばいいからな。」
「その筋、か。」
「この筋、もあるよ、蘭子。関東鴻上会がマフィアと取引始めた。」
午後3時。草波家。
俺と大曲先輩は、子細に調べていた。無論、先輩はPC担当だ。
良太郎氏は、高齢者だが、キーボードを一瞥して、「お前のキーボードと違って、かなり使い込んでる。こっちでも有段者だな。
俺は、掛け軸が気になって、調べていて、驚いた。
「先輩、これ。おっっしゃる通り、草波氏は有段者です。
何と、掛け軸の裏には、びっしりとSDカードのポケットがあり、封印されていた。
午後6時。捜査一課横の大会議室。『諸刃の刃殺人事件』本部。
「一旦、解散するが、現状報告だけ頼む。」と管理官が言い、OL風の格好をした、みちるが「社長の息子で、営業部長の亮造が、隣国人らしき男と話しているのを目撃した女性社員がいました。」と報告した。
「おい、何でも屋。明日、出勤したら、仲良しちゃんに、この写真を見せろ。」と、大道が言って、数枚の写真を渡した。
「りょうかぃ。大道課長って、イケメンね。」
大道課長は複雑な顔をした。
「みちるちゃん、こっちもお願いね。」と、舞も写真を渡した。
翌日。午前11時。捜査一課横の大会議室。『諸刃の刃殺人事件』本部。
「ホシは、亮造と『仲良く』なった、隣国人だった。亮造は手引きをした。亮造は、所謂『ハニトラ』で身動き出来なくなった。良太郎氏は、何もかも調べ上げていた。自分が狙われていることも。「銃砲刀剣類登録証」の原本のありかも判って、発見した。亮造を介することは、敵にとって、『諸刃の剣』だった。」管理官は、ふうっと、息を継いだ。
午後2時。警視庁。記者会見場。
「と言う訳で、草波良太郎氏殺害事件、草波家「銃砲刀剣類登録証」盗難事件、草波エージェンシー乗っ取り未遂事件、草波家住居侵入事件、草波亮造氏殺人未遂事件は解決しました。後、そこの喜納記者、スパイ防止法により逮捕します。」
逃げようとした、喜納記者は、新垣が巴投げした。
午後7時。蘭子は上機嫌でオムライスを作っている。
「やっぱり、新しい炊飯器で新しいお米、新しい卵でなくちゃな。真吉。皿、出しとけ。それと、ベッドも用意しておけ。」
俺の心も巴投げされた。
―完―
※諸刃の刃
※家宝の日本刀でも、都道府県の教育委員会が発行する「銃砲刀剣類登録証」がなければ、所持・譲渡は銃刀法違反(3年以下の懲役又は50万円以下の罰金)となる。相続や発見時は、速やかに警察へ「発見届」を提出し、審査を経て登録証を取得する必要がある。
※登録証のない刀の取扱い: 違法。絶対に自分で研いだり、ゴミに出したりせず、管轄の警察署へ連絡し「発見届」の手続きを行う。
※登録証のある刀の取扱い: 「登録証」を必ず原本と一緒に保管し、20日以内に都道府県教育委員会へ「所有者変更届」を提出する。
※持ち運び・郵送: 登録証を携帯していれば可能だが、裸で持ち歩かず、安全に梱包する。
※相続・発見時: 家族が亡くなった場合、形見の刀も登録証の有無を確認し、名義変更を行う。
※登録証がない場合、無登録所持として処分・売却はできないため、まず警察への相談が必要となる。
※「家宅侵入」は、日本の法律(刑法)では「住居侵入罪」と呼ばれ、正式な法律用語ではありません。マスコミ用語ですね。『被疑者』を『容疑者』と呼ぶように。




