32.選挙違反殺人事件
「ガイシャは、菅井瑛人。贈収賄で公安から、公職選挙法違反で二課から追われていた。反社とも付き合いがあり、四課も目を付けていた。」
========== フィクションです ===========
=== 主な登場人物 ===
眩目真吉・・・警視庁捜査一課刑事。巡査。
大曲尚人・・・警視庁捜査一課刑事。巡査部長。
開光蘭子・・・警視庁捜査一課課長、警部補。
志摩敏夫・・・警視庁管理官。
井関権蔵・・・警視庁鑑識課課長。
秋野治夫・・・警視庁鑑識課課員。
井関智子・・・警視庁鑑識課課員。井関の娘。
辻・・・捜査一課辻班班長。
蒔俊郎・・・警視庁捜査一課課員。辻班。
神道助六・・・捜査二課課長。
新垣舞・・・捜査四課課長。
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午後1時。捜査一課。『日本刀刺殺事件』本部。
昼食の後、捜査会議が始まった。
そして、志摩管理官が説明を始めた。
「ガイシャは、菅井瑛人。贈収賄で公安から、公職選挙法違反で二課から追われていた。反社とも付き合いがあり、四課も目を付けていた。」
「逃がした魚は大きいかも。まあ、蘭子のテリトリーだし、資料は渡すわ。」と、新垣は言った。
「右に同じ。以下同文。」と、神道も言った。
右に同じと以下同文は同じ意味だと思ったが、新垣課長は、今日は何故か超ミニ。誘っているような格好だが、その色気で反社の組員を落すらしい。
「見たか?」と、大曲先輩は小声で俺に総意を求めて来たので、俺は頷いた。
「そこの2人。死語は止めようね。新垣は、これから、『出入り』の『カチコミ』だ。」
『出入り』とは、反社同士の抗争で、『カチコミ』とは、そのタイミングで逮捕に向かうことだ。
超ミニの方が動き易いのか?
「えー、ガイシャは、日本刀で袈裟懸けで斬られている。間違いなくプロだな。」
井関の言葉に、「即死ですか?」と、俺は思わず阿呆な質問をしてしうまった。
「今夜、たっぷり教えてやるよ。」
反社みたいな凄みで言ったのは、蘭子だ。
課長である手前、俺を名字で呼ぶことが多いが、共済課の俺の妻でもある。
「まるで時代劇みたいだが、ガイシャの側にこれが落ちていた。『選挙違反』と読める。PCでプリントした用紙を日本刀で拭いている。」
管理官は、スライドの画面を見せた。
「これは、警察に対するパフォーマンスと言うより、ホシの依頼人への、それかも知れない。」と、蘭子は言った。
「えー、近所では、普通のサラリーマンと思われていたようです。二課での情報では、選挙も度に『個別訪問』をして、宗教団体系の政党へ投票するように脅しているようです。以前は、宗教団体の会員がやっていたことですが、四課によると、あまりあからさまだと、却って逆効果になると知って、宗教団体が雇っているようです。主に、解散した反社の組員の収入源になっているようです。」と、辻が報告した。
「詰まり、家で言うと、地上げ屋ね。」と、思わず智子が発言し、井関に睨まれた。
「依頼人が気になるな。大曲、眩目。令状貰うから、ガイシャの家の屋根裏から庭まで探してみろ。」
「何を探すんです?」と大曲が言うと、「お前らの得意分野の機械だ。」と、蘭子の目が光った。
実は、ガイシャのポケットや寝室等からスマホが見つかっていない。ケータイキャリアを当たってみると、所持していた筈なのだ。
応援も得て、ガイシャ宅を調べると、洗面所の鏡台に『隠し棚』があった。
身の危険を感じたガイシャが隠したのだ。
翌日。午後1時。捜査一課。『日本刀刺殺事件』本部。
管理官は言った。
「今、二課が逮捕に向かっている。開光君。」
蘭子が口を開いた。
「ガイシャは、宗教団体に行き来する間に、帳簿と住所録をコピーした。スマホによる写真だ。ガイシャは、ケータイも持っていた。、ガラホって奴だ。こっちは電話連絡やメールに床っていた。そして、コピーしたことがばれた。依頼人は宗教団体。肝心のホシは、ガイシャの元仲間だ。こっちは、四課が逮捕に向かった。芋づるにするって張り切っている。超ミニでな。アレ、私が昔履いてた奴。舞の『勝負服』なんだ。判ったか、秋野。」
智子が、秋野を小突いた。
午後6時半。眩目家。
牛肉たっぷりの肉うどんを、蘭子は2杯食べた。
「真吉。」「はい。」「明日は、午後からだ。判るな、この意味。」
「覚悟は出来ています。この前の話、本気ですか?」
「なんだ。」「当分、子供は作らないって。でも・・。」
「お前を求めるのはな。独り占めしたいからだよ。うひひ。」
なんか悪寒がした。風邪かな?
―完―
※袈裟懸け(けさがけ)とは、僧侶が袈裟を左肩から右の脇下へ斜めに掛ける姿、あるいはそのように物を肩から斜めに掛ける様子。剣術では、刀で敵の肩から反対側の脇下へ向けて斜めに斬り下ろす技法(袈裟斬り)を指す。衣類、カバン、刀の軌道など、斜め掛けの動作全般を指す言葉である。




