21.しょうせっかい殺人事件
こんな手の込んだ殺人は、初めてですね。現場は自宅風呂場。ホトケさんの遺体は裂傷・擦過傷・火傷の跡があり、溺死だけが死因じゃないんです。腕や脚に結束バンドの跡があり、ヒ素も体内から検出されました。火傷ですが・・・おい。
========== フィクションです ===========
=== 主な登場人物 ===
眩目真吉・・・警視庁捜査一課刑事。巡査。
大曲尚人・・・警視庁捜査一課刑事。巡査部長。
開光蘭子・・・警視庁捜査一課課長、警部補。
志摩敏夫・・・警視庁管理官。
井関権蔵・・・警視庁鑑識課課長。
秋野治夫・・・警視庁鑑識課課員。
井関智子・・・警視庁鑑識課課員。井関の娘。
辻・・・捜査一課辻班班長。
蒔俊郎・・・警視庁捜査一課課員。辻班。
=================================
午後1時。捜査一課。『しょうせっかい殺人事件』本部。
昼食の後、捜査会議が始まった。
井関が説明を始めた。
「こんな手の込んだ殺人は、初めてですね。現場は自宅風呂場。ホトケさんの遺体は裂傷・擦過傷・火傷の跡があり、溺死だけが死因じゃないんです。腕や脚に結束バンドの跡があり、ヒ素も体内から検出されました。火傷ですが・・・おい。」
智子と秋野が用意したものを見て、皆驚いた。
「危険なので実証実験は止めておきますが、災害時に体を暖めるアルミホイルシートの中に、ガイシャを寝かせ、酸化カルシウムである生石灰に水、この場合は多分お湯を入れ、水酸化カルシウムである消石灰と熱を発生させたものと思われます。そして、ぬるま湯に体を浸し、上から押さえつけて・・・おい。」
智子が、寝ている秋野の頭を押さえつけた。
「そして、溺れた後で風呂蓋シートをかけ、蛇腹の風呂蓋カバーをかけた。そして、仕上げはタイマーで湯を沸かした。以上が犯罪レシピです。」
当分、焼き芋や焼売は食えないな。
「当分、焼き芋や焼売は食えないな。」と、大曲先輩はつい、心の声を出してしまった。
「辻さん。ガイシャの職業は?」と蘭子が尋ねると、「天宮高校の先生だと近所の奥さんに聞いたので学校に確認すると、生物の教師でした。」
「ホシはオンナだな。」と、大曲先輩はまたも余計なことを言ったな。
「お前の推理力は慧眼に値する。一生、私の部下だ。」と、蘭子は冷徹に言った。
「えっと、大曲君、根拠は?」と管理官がとりなした。
「粘着質な復讐です。オトコなら、こんな手の込んだことしないでしょう。余程の怨みがあったとしか思えない。例えば、レイプされた被害者女性とか。」
「よし。徹底的に前歴を洗おう。そうだ。井関さん、ガイシャの家にPCは?」
「置いてあった形跡がない。ノートPCやタブレットなら持ち去ったかも知れないが、ガイシャは掃除嫌いだったらしく、家の方々が埃だらけだった。」
「スマホの通信記録はケータイキャリアの会社に捜査協力してある。」と管理官は言った。
多分、繋がりがるとすれば、スマホのメールや電話の履歴だな。
「大曲も眩目も合流して、交友関係と前歴を洗え!!」
午後6時。捜査一課。『しょうせっかい殺人事件』本部。
重大な情報を辻班が持ち帰った。未だきちんとした法律がない為、教員免許を持った者が何か悪さをしても、他の自治体に引っ越して、また繰り返す場合がある。性犯罪や暴力に関わった事案だ。
蘭子は、早くからその点に留意していた。
隣の取り調べ室で、号泣が聞こえた。
「落ちたな。」と、大曲先輩は俺に言った。
午後11時、眩目家。
嫌な夢を見た。俺は、浴室の浴槽に浸かり、風呂蓋シートをかけられ、身動き出来ない状態だった。
目が覚めた。
状況はさほど変らなかった。
蘭子は柔道のように俺を抑え込んでいたからだ。
「今夜も、殺してやるよ。いひひ。」
悪寒が走った。
―完―
生石灰(酸化カルシウム:CaO)にお湯(水)を加えると、激しい化学反応(消化反応)が起こり、大量の熱と水酸化カルシウム(消石灰)が発生します。この発熱を利用して、レトルト食品の加熱や災害時の湯沸かしに使われ、火を使わずに温かいものが作れますが、高温になるためヤケドや火災に注意が必要です。




