20.囮はおっとり事件
昼食の後、捜査会議が始まった。
「お前は捜査から外す。出てけ。」
蘭子は、凄い剣幕で、俺、眩目真吉を叱った。
皆、庇えないで、オロオロしていた。
========== フィクションです ===========
=== 主な登場人物 ===
眩目真吉・・・警視庁捜査一課刑事。巡査。
大曲尚人・・・警視庁捜査一課刑事。巡査部長。
開光蘭子・・・警視庁捜査一課課長、警部補。
志摩敏夫・・・警視庁管理官。
井関権蔵・・・警視庁鑑識課課長。
秋野治夫・・・警視庁鑑識課課員。
井関智子・・・警視庁鑑識課課員。井関の娘。
辻・・・捜査一課辻班班長。
蒔俊郎・・・警視庁捜査一課課員。辻班。
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午後1時。捜査一課。『無差別放火殺人事件』本部。
昼食の後、捜査会議が始まった。
「お前は捜査から外す。出てけ。」
蘭子は、凄い剣幕で、俺、眩目真吉を叱った。
皆、庇えないで、オロオロしていた。
以下は、蘭子が夜の『しとね』で話してくれた内容。
各地区で住宅街の、一番手前の家に放火され、家人が殺されていた。
しかも、几帳面な犯人は、1キロ毎に狙った。
そこで、眩目真吉巡査と大曲尚人巡査部長が、囮となって、本来の住人に家を借りて3日間住んだ。
その3日目。交番の巡査が個別訪問してきた。
眩目巡査は、その宮澤巡査と同期の為、気安く応答し、囮捜査をべらべらしゃべった。
放火殺人は起きた。
囮で張り込んでいた家とは違う方向の、前の被害者宅から1キロ離れた場所の家が狙われた。家人は無事だったが、家は全焼した。
大失態だった。
犯人は、個別訪問の巡査と眩目の会話を傍受していたのだ。
張り込んでいた家から、盗聴マイクが見つかった。
蘭子は、独自で捜査を開始した。
張り込んでいた家の周囲の家を一軒ずつ回り、遂に手掛かりを掴んだ。
戸別訪問が、いつもと違う時期のような気がする、という住人がいたのだ。
蘭子は、次に狙われるかも知れない3軒の近くに防犯カメラを設置した。
その結果、警邏していた筈の宮澤巡査が、現れたことが判った。
取り調べは、大曲が行った。
最初は所謂『マッチポンプ』をする積りだった。
詰まり、放火だけが目的だった。
だが、騒がれて殺した。
後の犯罪はカモフラージュだった。
眩目は利用されたのだ。
2回目の捜査会議で、蘭子は言った。
「許す訳にはいかない。エンマさんに報告しておいた。」
皆、顔を見合わせた。
「とにかく、意見落着だな。ねえ、井関さん。」と管理官が言い、「そういうこと。かーえっろっと。」と井関が戯けた。
午後8時。眩目家。
「覚悟は出来てるな、真吉。」
「あ。はい。」
蘭子はホイッスルを吹いた。
制限時間内に蘭子の下着を家の中から見付けないと、野宿させられる。
隣の家に吠えられる。
俺は、必死だった。
―完―




