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102.究極の

「ねえねえ、大曲くーん。」

「何でしょう?」

「どう見ても自殺だけど、自殺じゃないかも・・・って時は課長にお願いしていいんだよね?」

皇係長が合図するので、俺は席を譲った。


 

 ========== フィクションです ===========

 === 主な登場人物 ===

 眩目くらめ真吉・・・警視庁捜査一課刑事。巡査。

 大曲尚人・・・警視庁捜査一課刑事。巡査部長。

 開光かいこう蘭子・・・警視庁捜査一課課長、警部補。

 志摩敏夫・・・警視庁管理官。

 井関権蔵・・・警視庁鑑識課課長。

 秋野治夫・・・警視庁鑑識課課員。

 井関智子・・・警視庁鑑識課課員。井関の娘。

 村松みちる・・・警視庁捜査一課刑事。巡査部長。


 辻瑛人・・・捜査一課辻班班長。

 蒔俊郎・・・警視庁捜査一課課員。辻班。


 赤井悦夫・・・機動捜査隊の警部補。


 皇信也すめらぎしんや・・・捜査一課第二係係長。



 =================================


 ※警視庁捜査一課。蘭子が課長になる前は、課長が全部一課を仕切っていた。当然だが。

 だが、村松のいた所轄でパワハラ・イジメがあり、合同捜査に訪れた際に、当該の相手数人の股間を蹴った為、警視庁内で問題になった。

 懲戒解雇になる替りに、一課の決裁を各係長が受持ち、蘭子は「お飾り」の「窓際族」になった・・・というのが、表向きの情報。

 実は、志摩管理官が「自分の監督下」に置くという名目で、「特殊捜査チーム」を結成した。蘭子の判子は、各係の係長が持ち、替りに決済印を押す。蘭子は特殊捜査チームの長として指揮を執っている。

 従って、ドラマ・映画のような「大事件の時だけの捜査本部」は置かない。

 大会議室は、特殊捜査チーム専用である。

 事件は頻繁に起こるので、大会議室が一日中空っぽなのは、希である。

 俺は、「ちょっとしたこと」があって、課長の夫である。

 課長の元カレである、大曲先輩とコンビを組んでいる。


 午前11時半。警視庁食堂。

 食事をしている、大曲先輩に、皇係長がやってくる。

「ねえねえ、大曲くーん。」

「何でしょう?」

「どう見ても自殺だけど、自殺じゃないかも・・・って時は課長にお願いしていいんだよね?」

 皇係長が合図するので、俺は席を譲った。

 そこにはレポート用紙1枚。

『前略 「醜聞屋」または「卑小役人」様

 ガソリン前年税率無くしてくれました。

 運搬車税無くしてくれました。

 運搬車点検無くしてくれました。

 古代燃料大国に歩み寄らせました。

 エレキテル灯り代金下げてくれました。

 関所を厳重にしてくれました。

 偽難民を制限してくれました。

 日常年貢、後回しでもいいです。

 新しい将軍様は、古い将軍様がやれなかったことをやってくださいます。

 午後2時半原産国に首根っこ抑えられている貴方方には判別出来ないとは思います。

 たった1つの「痣」が残っても、民の為に尽くす将軍様に私はついていきたい。

「不浄の息」で吹き消そうとしても、小さな蝋燭の火は消えない。

 100年後の未来なんか要らない。

 30年後の未来なんか要らない。

 1日後の未来が欲しい。

 2年限定のまつりごとでも構わない。

 明日を見る目に濁りはない。

 私はそう信じたい。

 100年後の未来なんか要らない。

 30年後の未来なんか要らない。

 1日後の未来が欲しい。

「一寸の虫」より


 草々』


「何です?これ。」


 午後1時。捜査一課横の大会議室。『リストラ社員変死事件』本部。

 管理官は、説明を始めた。

「今回のガイシャは、と言うべきなのかな?皇係が扱った自殺事件だが、亡くなったのは、津山花子。先月、リストラされ、悩んでいたことは、元同僚の証言があり、住んでいたマンションの屋上から転落死。争った形跡がなく、屋上には、放物線上の位置に、津山のパンプスが揃えて置いてあった。更に、津山所有のPCに日記があり、自殺を仄めかす文章があった。自殺事件として処理しようと思ったが、皇くんは、どうもおかしい、と思った。と言うのは、これだ。」

 管理官は、自ら捜査して、スライドをスクリーンに出した。

 文章を見て、皆唸った。

「これは・・・子供のような文章のように見えて、内容が、反総理派やマスコミへの批判だから、大人が『童話』っぽく書いたのかな?」と、蒔さんが発言した。

「少なくとも、遺書じゃないよね。」と、辻さんも発言した。

「私のカンでは、自殺じゃない、と思う。機捜が到着した時、現場を見て、すぐ階上の津山の部屋に行った時、カギはピッキングの跡はなく、ドアは開いていたそうだ。」

「俺も、そう思う。その遺書らしき、手紙らしきものは、パンプスの側にあったが、重しが無かったのが気になる。」と大曲先輩は言った。

「時間帯から言って、無風だった訳ではない、と私も思います。大曲くんが言ったように、普通は、遺書は部屋にのこすか、屋上に行った時、何らかの重しを置くでしょう。適当なのが無いなら、自分のパンプスを重しにすればいい。重しが嫌なら靴の中に入れればいい。」と、井関さんも賛同した。

「辻さん達は、リストラの経緯を調べてください。村松も同行しろ。大曲達は、PCの中の大掃除だ。」


 午後2時。津山が住んでいたマンション。

 2LDKだから、そんなに広くはない。

 大曲先輩はPCを起動すると、俺に尋ねた。「どう思う?津山の性格。」

「几帳面。」「その通りだ。あの紙が無ければ、間違い無く自殺だ。」

 5分も経たない内に、先輩は、謎を解くことになった。

 PCには、あのおかしな遺書と、日記しか無かった。

「この日記は、文書鑑定して貰おう。眩目、智子に連絡だ。」

 俺が、智子に電話している間、先輩は、津山のノートPCが乗った机をためつすがめつ見ていた。

「連絡しておきました。」

「眩目。PCを持ち上げてくれ。そう、そうだ。」

 先輩は、机の台を持ち上げた。

「あった。」

 先輩は、台の下のUSBメモリ数個を素早く取って、また台を戻した。

「これはライティングデスク、日本名をそのまま『書き物机』っていう机だ。普通はPCをテーブルの上に置く。それが盲点だった。ホシは、想像出来なかった。ライティングデスク自体が究極の隠し場所だった。」

 先輩は、蒔さんに連絡を取った。

「蒔さん、社長さんに、仕事用のPCは『USBセキュリティー起動』ですか?そのUSBは、津山さんの分はどうなっていますか?って尋ねてみてください。」


 10分後。

 辻さんから返事が来た。先輩はスピーカーをオンにした。

「無いらしい。仕事用だけど、持ち帰る者もいるらしい。それと、リストラの原因はカスハラらしい。顧客の一人が、政府官僚らしく、クビにしないと取引しないと言ってきたそうだ。実は、この化粧品会社は、故人になった社長のコネで、化粧品を沢山納品しているらしい。先月から様子がおかしいとは思っていたそうだが。」

「判りました。」


 午後5時半。捜査一課横の大会議室。『リストラ社員変死事件』本部。

 取り調べ室から、大曲先輩、蘭子、管理官、皇係長、監察官が出て来た。

 監察官は、すぐ出て行った。

「ホシは、政府官僚の大日向美春。他の官僚と共にガイシャを殺して、屋上に運び、工作した。遺書は、いや、遺書として工作した積りの紙は、2枚あった。ところが、風の悪戯で、あの紙だけが残った。ガイシャは、納品に行った際、官僚同士の『機密情報』を偶然聞いてしまった。そして、リストラされたのを機に、告発の準備をしていた。文書鑑定の結果、2人以上の執筆が判明、さらに大曲君が発見したバックアップのUSBメモリから本来の日記の全文が出て来た。ホシは、遺書を即席で作ってプリントアウトした。その遺書は保存しなかった。そして、ガイシャが試し刷りした文章と一緒に屋上に運んでしまった。大曲君によると、ガイシャは、その紙をプリントした時は、インク交換の後だったに違い無いそうだ。その文章だが、日記によると、ネットで見付けた『お気に入り』の文章だったようだ。従って、ガイシャが作者じゃない。反総理派の動きに嫌気がさした人が投稿した文章だ。官僚達は、独自の判断だと言っているが、後は検察の仕事だ。監察官から報告が行く。」


 午後7時半。眩目家。

「カスハラは、言いがかり?」

「ああ、リストラさせる為のな。理由が面白い。『化粧のノリ』が悪い。ババアのくせに。」


 蘭子が、こちらを見つめるので、「いつも蘭子は綺麗だよ。」と、俺が言うと、「どうれ、もっと確認して貰おうか。」と、衣類を脱ぎ始めた。


 やっぱり、こういうオチ???


 ―完―




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