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第13話「農業ギルドでの対決!おっさんvs農貴族たちの根菜バトル」

「高野さん! 農業ギルドが“公開栽培バトル”を申し込んできました!」


 篠崎さんが息を切らして駆け込んできた。

 なんだその言葉のインパクト。

 異世界とは思えん響きだ。


「……それ、絶対『根性論VS科学』みたいな展開になるヤツじゃん」


「まさにそれです!ギルド上層部の“農貴族”連中が“誇りある農法は土と語る”って言ってて……」


「出たよ精神論。こっちは《記録スキル》で分単位の成長ログ取ってんだってのに」


 思えば、俺の“なんでも記録するスキル”《無限記録録リミットレス・ログ》は、

 この異世界ではチートどころか“変な趣味”とすら思われていた。


──だが、今回は違う。


 ついに記録の力を、農業で“戦力”として証明する時が来た。


◆ ◆ ◆


 農業ギルド・王都中央園試験場。


 農貴族と呼ばれる、プライド高そうなローブ姿のジジイたちがずらりと並び、

 その向かいに、汚れた農業服の俺と、白いローブに野良手袋姿の篠崎さん(受付嬢→プリースト)が立つ。


「ふん、貴様などに農業の何が分かる?」


「記録からなら何でも分かるぞ」


「農は“魂”じゃ!!」


「それは“数値”で黙らせる案件ですね」


──こうして幕を開けた“異世界根菜バトル”。


 お題は「二週間で最も栄養価・収穫量・市場価値が高い根菜を育てよ」。


【審査項目】


 味(王都貴族料理協会による)


 栄養価(魔導測定器による)


 生産効率(単位畑あたりの収穫率)


 コスパ(投入コストあたりの純利益)


「よーし……やってやろうじゃねえか」


 俺は、畑の前にしゃがみこみながら《記録》を起動した。


──スタート地点は、土質分析。


《記録:土壌成分、PH値6.8、微生物活性度中》


「ふむ。これ、窒素がちょい不足気味だな……なら、ミミズ式有機肥料で改善」


 自作の“発酵ミミズ堆肥”を微量ずつ施し、数分ごとに土壌を再計測。

 栽培記録はすべて脳内ノートに時系列で整理され、スキルが勝手に“最適解”を提案してくれる。


──ここから俺は、二週間の全ログを一秒も漏らさず“記録”していった。


「高野さん、今のなに? 植物と話してるみたいな……」


「話してるんじゃない。読んでる”んだよ。植物の成長記録をな」


 温度変化、日照角度、朝霧の成分比、果ては土中に住む昆虫の巣の動きまで。


──ありとあらゆる“変化”を記録し、解析し、即時対応する。


 その結果──


「収穫完了! 見ろよこの大根! お前らの畑のより白くてみずみずしいぞ!」


 一方、農貴族の畑。


「おや? どこかで見たような形状の……って、これ完全に“割れた二股大根”やん」


「ふ、ふむ! これはこれで縁起が良い!」


「黙れ、こっちは“形状美”でも点数取るんだよ!」


 そして審査。


 貴族料理協会の審査員が一口食べて目を見開いた。


「なっ、これは……ッッッ!?」


「ど、どうした!? 毒か!?」


「いや……この瑞々しさ、甘さ、ほのかな土の香り……これは大根の革命だッッ!!」


【評価結果】


 味:満点


 栄養:通常の2.3倍(記録魔法ベースの施肥調整による)


 収穫効率:平均の4倍(狭面積集中栽培成功)


 コスパ:99%の原価回収率。しかも無農薬。


「ま、まさか……《記録》だけでここまでの成果が……?」


「それが“地味スキル”の底力ってやつだよ」


 農貴族たちは崩れ落ちた。


「ぐぬぬ……! なぜ我らが……根菜で……完敗……!」


「記録は裏切らねぇからな。人間は裏切ってもな!」


 あっ、言っちゃった。


◆ ◆ ◆


──こうして俺は、農業ギルドの“革命派筆頭”として公式に認定された。


 報酬は、王都北区の“公認農園”一区画。

 俺専用の研究畑で、次なる地味無双の準備を始めることになった。


「高野さん、次は“王都スイーツ市場”を狙いましょう!」

「お、いいね。甘味と保存記録、相性良さそうだし」


 だがその陰で、敗れた農貴族たちが静かに牙を研いでいた。


──だが、悪いな。


 俺、地味だけど“成長ログ”だけは一秒も無駄にしねえから。



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