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21 午後の作業





ログハウスに戻って、昼食を作る。1升炊きの炊飯器にお米をセットして、鍋いっぱいに豚汁を作る。こちらの世界の住人はパンが主食らしいが、私は日本人ゆえにお米が好きだ。ただ毎食という訳にもいかないから、1日3度の食事の内に最低1度はお米を食べる。

ヴァイスやロトはお米を食べたことがなかったと言っていたが、ワンちゃんの姿の時にオムライスを食べてから、特に問題なくご飯を食べている。なんなら、カレーライスは彼らの好物になったらしい。


「午後からは何をするんだ?」


昼食を食べ終えて、ヴァイスが午後からの作業について尋ねてきた。


「午後からは畑の手入れと果樹園の収穫、それから今日は農園の開拓しようかなと思うの」

「分かった。何か持って行くものはあるのか?」

「収穫したものは私のインベントリに入れっていくから、回収時に使う籠とコンテナかな。籠は外にあるやつを使ってね。コンテナは畑に置いてあるわ」

「分かった。じゃあ、早速行こ!」

「あ、畑に行く前に肥料メーカーから肥料を持って行くよ」

「ああ」

「はーい!」


ロトの元気な声に、私たちは農園に出発した。

鶏小屋の横に設置した肥料メーカーから肥料を取り出して、ボトルに詰める。小豆ぐらいの大きさの肥料は、新しく作物を植えるときに使用する。

農園に着いた私たちは、まず収穫する。畑の端に置いていたコンテナに収穫した作物を入れて、ヴァイスが重ねて積み上げていく。ロトは収穫した後に残った根や茎などの残渣を、ひとまとめにしながら回収していく。


「収穫終わった場所に、さっきの肥料を混ぜ込むんだよね?」

「うん。1区画に片手の1杯くらいを目安に撒いてくれる?その肥料、濃縮されてるからそれくらいでちょうどいいんだって!」

「おっけー」


ロトが慣れた手つきで肥料を撒いて、土を混ぜ込んで畝を作っていく。


「畑は休ませなくてもいいのか…?」


コンテナを運び終えたヴァイスが、いつのまにか私の隣に立っていた。


「通常の畑は休ませなくちゃいけないんだけどね。この肥料がそれを補ってくれるみたいなのよ」

「それは、凄いな…」

「うん。あのとき森に石材の材料を採りに行ってよかった」

「そうか…」


ヴァイスがすこし表情を崩して笑う。


「ねー、次は何を植えるのー?」

「あ、今から行くよ!」


そう言って私はロトのところまで駆け出した。


「今は夏だからナスやトマト、キュウリを植えて、半分は常備菜のじゃがいも、にんじん、玉ねぎを植えてたんだけどね」

「うんうん」

「場所を入れ替えて、こっちに常備菜の3種を植えて、こっちにはさつまいも、里芋、長芋を植える予定なの」

「種から?それとも苗から?」

「ポットに種を植えているから、もう発芽がしていると思う。今出すから、それを植えるよ」


そう言ってポットに入った苗を、畑に出していく。


「俺が植えていくよ」

「そう?じゃあ、私は野菜の残渣と収穫物を収納していくね」

「うん」


ロトが片付けた野菜の残渣を収納した後、ヴァイスがキレイに積み重ねてくれたコンテナを回収する。


「このままだと、コンテナが足りなくなりそうね…」


インベントリの一覧を見ながら、コンテナの追加購入を検討する。


「冬に備えて、薪の準備はしなくていいのか?」

「薪?」

「ああ。家に暖炉があるだろう?それ用の薪だ」

「ソラ、どのくらいいると思う?」

「そうですねー」


ずっと私の首に巻き付いていたソラが、指を使いながら何かを数えている。


「紗英様のログハウスはオール電化仕様の高機能蓄電型になりますので、基本的には薪はあまり必要ないのですが煮込み料理やピザ、パンなどを焼きたいのであればこのくらいあれば十分でしょう」


ソラに見せられたネットショップでの画像見る。


「結構いるんだね…」

「暖炉を活用されるのであれば、蓄電量が増えますしより十分な生活環境になるでしょう」

「薪の収納場所と苗や種芋、種の保管場所も必要だったから、ログハウスの隣に保管倉庫を作ろうかな…」

「でしたらこのサイズの物はいかかですか?こちらの物はサイズも大きくなりますが、そのぶん薪の乾燥機能もついておりますし…、あらかじめ設定した人物以外の入室が出来ません」

「防犯機能も付いているんだね!」

「その代わり使用する原木の量が増えますが、奥のエリアの伐採をされるのでしたら十分可能でしょう」

「いいね!そうするよ」

「では、夕食後に建築いたしましょう」

「うん!」


ソラのアドバイスをもとに、新たな建物を自宅のログハウスの横に建てることにした。


「ふたりとも、苗の植え付け終わったよ!」

「ありがとう!」

「あとは水やりだね!」

「うん、そうね。じょうろはコンテナの横に置いてあるよ。水は川の水を使うんだけど…」

「おっけー。ヴァイス、あんたも手伝って!」

「ああ」


ロトがヴァイスを連れて、畑に水やりをし始める。まだ、トウモロコシと追加したレタスが残っているのでそちらにも水やりをする。レタスは1日で収穫できるので、夏の間ギリギリまで植える予定だ。


「あとは果樹園の収穫か?」

「うん。終わったら、向こうの新エリアを伐採する予定だよ」

「なら、俺が収穫してくる。お前はロトと一緒に向こうの場所の作業をするといい」

「そう?」

「籠はログハウスの脇に積み重ねている物を使うのだろう?」

「そうそう」

「収穫したものはログハウスの脇まで持ってこよう」

「ありがとう」


そう言ってヴァイスは果樹園の方まで、移動していった。

残った私はロトと一緒に新エリアまで移動すると、私は伐採をロトは除草作業を開始し始めた。伐採は私の農具でやった方が早いし安全だし、自動で収納してくれる。その日は3人で作業したおかげか、作業がかなり進んだ。






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