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論外魔力の魔法使い  作者: 宮地拓海


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46話 不埒な者には御仕置きを

「なんだ、このガキぅおおお、おっぱいデケェッ!?」


 オーグがニコを見て素直な感想を吐露する。漏れ出過ぎてるぞ、お前の本音。

 ニコが、「ぷちゅっ」ってなった後の虫を見るような不快感満載の目でオーグを見ている。

 あ、ニコもあぁいう顔するんだ。初めて見た。


「他のお客さんにも迷惑なのじゃ。冒険者カードを置いてさっさと出て行くのじゃ」

「ふざけんじゃないよ! 私にケンカ売って、ただで済むと思ってんのかい!?」


 エーミルがヒステリックに叫ぶと同時に、オーグの連れがニコを取り囲む。

 俺とスティナの前にオーグを含む三人。ニコとエルセを囲むように大男が四人。計七人。プラス、エーミルってとこか。

 相手は八人。…………なのに、なんだろう。この圧倒的有利感は。


「あんたら全員グルだね?」

「マブです!」


 エルセがよく分からない反論をする。

『マブ=マブダチ=親友』って、こっちの人間に分かんのかよ?


「……モブ?」

「誰がその他大勢ですか!? わたし、主役級に可愛いですのにっ!」


 エーミルのやつ、上手いことを言うな。ちょっと見直しちまったぜ。


「とにかく、落ち着きなさい、モブセ」

「エルセですよ!? わざとやってますよね、スティナさん!?」


 くつくつとスティナが喉を鳴らす。

 エルセいじり好きだよなぁ、お前。


「余裕ぶっこいてんじゃないよっ!」


 エーミルが鬼の形相で吠える。……だが。


「お聞きになりまして、ニコさん? 『ぶっこく』ですって」

「お下品なのじゃですわね」

「どういう教育を受けているのかしらですわ」

「え、なんなの、お前らのそのキャラ?」


 順にエルセ、ニコ、スティナが若干のお嬢様っぽさをセリフに滲ませる。

 全然気品とか滲み出てないけどな。


「うるさい娘だちだね!? あんたらっ! ……好きな娘を可愛がってやんな」

「「「「うぉおおおおっ!」」」」

「俺、あのちっちゃい娘欲しい!」

「俺は後ろのアホみたいな娘だ!」


 男どもが下品な声を上げる。


「まったく……本当にお下品なのじゃ」

「わたし、アホじゃないですよっ!」


 聞くに堪えない声を浴びせかけられても冷静なニコ。……と、アホみたいな反論をするエルセ。やっぱあいつ、初対面の人にもアホっぽく見えちゃうんだな。


 そして――


「……私に指名が入らないのはどういう理由かしら?」


 ――見当違いな理由でものすげぇ怒っているスティナ。

 目にもとまらぬ高速で恨み帖が埋められていく。ページが真っ黒だ。


「コーしゃま。情状酌量の余地はなさそうなのじゃ」


 と、俺に何かを求めるような視線を送ってくるニコ。

 そうか。ここで甘さを出して見逃したりすると、後々また別の誰かが被害に遭ってしまうのか。

 ここでの甘さは『優しさ』ではなく『無責任』なんだろうな。


「分かった。やっつけちゃおう」

「ハイなのじゃ!」


 ニコは心底嬉しそうににっこりと笑って――イカヅチを放った。


「どぐぉっ!?」


 エルセの髪の匂いをすんすんしていた下品な大男が珍妙な声を上げて倒れる。

 様子を窺うと…………ほっ。殺してはいないようだ。ピクピクと痙攣している。


「女の子に不埒を働く者は、等しく裁かれる『さだめ』なのじゃ」


 ニコが笑う。

 見る者の背筋をゾクリとさせるような、小悪魔的な表情で。


「あ、あぁ、あの、暴れるなら外で……!」

「大丈夫なのじゃ」


 突然始まった乱闘におろおろとするマスター。

 だが、その心配は二分と持たなかった。


「もう、済んだのじゃ」


 ニコが言う通り、勝負はもう付いていた。


「なんだいこのツタは!?」

「う、動けねぇ!?」

「クッソ、離せ、この! くそぉお!」


 エーミルとその愉快な仲間たちは、突然出現した謎の植物の『ツタ』によって絡めとられ、見動きを封じられていた。

 こんな魔法もあるのか……


「御仕置、完了のようね」


 と、スティナが自分を指名しなかった男どもの顔に『非モテ』『ゴリメン』『こっちから願い下げ』などと、見るに堪えない落書きをして周り、すっきりした表情をさらしている。

 小せぇなぁ、お前の復讐。


「コーシさん、見てください! この情けない姿、写メってやりましたよっ!」


 もっと小さいヤツがいた!?

 こいつは本気で何もしてないな。なんでドヤ顔で俺にラグなろフォンを見せつけてんだよ。


 しかしまぁ、これだけ拘束されていれば、こいつらも逃げられないだろう。

 憲兵にでも突き出してやるか。


「…………あぁ、急激に魔力が減っていくのじゃ…………さすがに……七人は…………多…………ぃ……の………………じゃ」

「あぁ、ニコさんが見る見るしわしわに!? コーシさん! 今こそシワ萌えの出番です!」

「誰がシワ萌えか!?」


 そこにはきっちりと抗議しつつ、床に蹲ったニコを抱き上げる。


「大丈夫か?」

「すまん……のじゃ。この魔法…………魔力の消費が…………激しくて…………」

「そうか。悪かったな無理させて。今魔力を分けてやるからな」


 俺は、今にも気絶しそうなニコを力いっぱいに抱きしめた。


「は、激しいのじゃ! コーしゃまってば、とっても激しいのじゃっ!」

「やめて、そういう誤解を招く発言!」


 あぁ、もう。

 何かが一段落するたびに別の問題を起こすよな、このメンバーは…………まぁ、そういうのも含めて、嫌いじゃないけどな。






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