3話 俺のステータスは……?
「では、まずはステータスの確認をいたします」
受付の褐色美女・アイザさんが涼しげな顔で言う。
この世界にはステータスが存在し、レベルを上げるごとにその数値が上がっていくのだそうだ。
まるでゲームそのものだな。
アイザさんが真顔で言っているあたり、この世界ではそれが常識なのだろう。
だとしたら、この世界は『俺向き』かもしれない。
なにせ俺は、やりこみゲーマーとしてその名を轟かせた男なのだから!
最初の街周辺で雑魚を倒してレベル99にするなんてのは基本中の基本。全アイテムコンプリート、全モンスターエンカウント、ラスボス一撃撃破と徹底してゲームをやり尽くした俺に死角はない!
たとえここが異世界であろうと、ゲームに似ているならなんの不安もないのだ!
「鑑定が出来ました。こちらがセオ・コーシ様のステータスです」
アイザさんが、カウンターに設置された『魔法的タブレットPC』みたいなものを操作すると、そこに俺のステータスが浮かび上がってきた。
『 名前 :セオ・コーシ
職業:-----
レベル:低い
HP:心許ない
MP:論外
力:頼りない
体力:もっと鍛えろよ
知能:話にならない
素早さ:鈍足
幸運:そこそこ 』
不安っ!
物凄く不安っ!
え、なに!?
なんで文字!?
普通数字じゃねぇの、ステータスって!?
もしかして、この世界の神様って文系なの?
レベルが上がっていくと『レベル:いみじくも雄々しき様、いとめでたし』とかって表記されるの? 漠然としてんな、おい!?
そして微妙に評価が悪いっ!
「うそっ! コーシさんのステータス、ショボ過ぎっ!?」
「うっせぇな!?」
転職サイトの広告みたいなことを言うエルセを無視して、俺はアイザさんに詰め寄る。
「アイザさん。これバグってないですか? なんかおかしいですよ」
「いいえ。正常に動作しております」
「いやっ、でも!」
「正常に、動作、しております」
……怖ぇ。こっちを睨む目が暗殺者のそれだ。これ以上の反論は寿命を縮めてしまいかねない。
しかし、ステータスが文字って……
「続いて、こちらがエルセ様のステータスです」
『 名前 :エルセ
職業:-----
レベル:未熟
HP:これからに期待
MP:修行が足りんのではないか?
力:女の子ならこれくらいだよね
体力:もっと鍛えんか!
知能:大丈夫、少し天然な方が可愛いって
素早さ:逃げ足ばかり一人前になりおって!
幸運:人生いいことも悪いこともあるから、ドンマイ! 』
「なんか会話してますよっ!?」
「確実に二人いるな。きびいしいオッサンと優しいお姉さんが」
なんなんだ、このユニークなステータスは。
でもとりあえず、……エルセ、ステータスめっちゃ低そうだな。
「でも『可愛い』って言われてるから、OKですよねっ!」
「あぁ、……この程度の知能だと、ああいうこと言われるのか……」
「うるさいですよ、MPが論外のくせに!」
「お前も修行が足りんって言われてんだろうが!?」
「これからに期待なんですぅ!」
「優しい方の意見にばっかり耳を貸してんじゃねぇよ!」
いかん。この世界のステータス、ケンカになる。
……けど、他人のステータスを見てみたい衝動に、物凄く駆られる。
「ちなみに、アイザさんのステータスってどんな感じなんですか?」
「それはプロポーズと受け取っても?」
「なんで!?」
「職務以外で個人情報をさらすのは、心に決めた方だけと決めておりますので」
「あ、……そうなんですか」
まぁ、あまり見られたいものじゃないよな、このステータスなら。
しかし……『論外』…………論外って……、なぁ?




