決戦
暗殺者、俺の知る限り対人最強のクラス。
戦士の様に接近戦に長け、またシーフの様に機敏であり急所攻撃を得意とする。他にも色々あるが、人を殺す事にかけて右に出るクラスはない。
レイチェルの神聖魔法で回復したマルス達はマルスを守る様に取り囲み、攻撃に備え防御姿勢を保つ。
力量差を考えた賢い戦術だが……
「お前ら全員下がってろ。お前達がいると全力で戦えねぇ」
「マルス様、何を!」
「わかんねぇか! 邪魔だって言ってんだ! お前らはレイチェルを守ってろ!」
「みんな、マルスの言うことを聞いてあげて」
レイチェルもすぐにマルスの意図が分かり、その場から離れていく。
「ふん、すぐに彼奴らも後を追わせてくれるわ!」
「舐めんなよ、さっきは庇って腕一本やっちまっただけだ」
レフィクルは俺とマルス2人を相手にしても平然としている。俺のさっきの攻撃を見てなお余裕だと言わんばかりだ。
「おーまーたーせーっ!!」
ビシャーーーーーーっと電撃を帯びた槍をレフィクル目掛けて投げつけてセーラムもやって来た。
レフィクルは突然投げつけられたにも関わらず軽く避けて見せた。
「ナータスを倒した、のか」
遥か空にはゴールドドラゴンがいるだけで他に姿が見えないところから、セーラムとゴールドドラゴンで倒したのだろう。
「やほ、来る途中でセッターも拾ってきたよ」
そしてキャスとセッターも姿を見せた。
「貴様ら、ログェヘプレーベとルベズリーブをも屠ったというのか」
いや、名前で言われても誰が誰だかサッパリわかんないのだが……
「レフィクル、ケリをつけよう。ここに居る全員を倒せばお前の勝ちだ」
「ほぉ、つまり貴様らが最大戦力という事か?
ふふふ、ははははは、わーはははは!」
突然レフィクルが笑い出す。ひとしきり笑ったレフィクルはーーー
「ならば余も全力で相手をしてやろう。貴様らを殺し世界を手中に収め、神をも超えてみせようぞ」
それが戦いの合図となった。
「我を守りし不可視の盾!我幻影の複製、幻像よ敵の目をあざむけ!魔法盾鏡像!」
まずキャスが同時詠唱で防御魔法を使い、ウィザードの弱点である接近戦に対する防御を高めたようだ。
そしてセッターは7つ星の剣に命令を出していた。
「7つ星の剣、お前達の力を見せてやれ!」
yes master
seven star blade dancing attack
7つ星の剣が7本にわかれて6本が空中に浮き、1本がセッターの手にある。
1本1本が蒼白く輝き出し聖剣を発動する。騎士魔法は詠唱も発生も無用の為、聖剣以外の効果はセッターにしかわからない。
セーラムはマナで紡いだ翼で空を飛びながら降りてくる様子はない。だが、その理由はすぐに分かった。
「私の中にあるマナよ、槍を紡いで待機!」
待機?と思っているとセーラムの周りに槍が無数に現れて浮遊したまま確かに待機している。
「なんかみんなインチキ臭い事しやがんなぁ」
マルスだけ世界樹で貰ったアルダと霊峰で手に入れたもう一振りの剣を構えて二刀流スタイルを取る。
そして俺は既に呼吸法はしたままで修道士としての準備は整っている。ただ見た目には杖を構えたローブ姿の女でしかないが。
そしてレフィクル、こいつはこれを見ても身じろぎひとつせずにジッと全員を見つめている。
まず仕掛けたのはセーラムで、持ち前の負けん気で待機させた槍を掴んでは魔法の力を込めて投げ出した。
1本1本が電気を帯びていたり、冷気を帯びていたりと様々な色の魔力を込められた槍が尾をひく様に投げ出され、レフィクル目掛けて飛んでいく。
だがセーラムのその攻撃はレフィクルの前では無力に等しく、高速移動で軽々と避けられていってしまう。
だがそこにセッターの7つ星の剣の分身だろうか、6本の剣がレフィクル目掛けてまさに踊る様に攻撃を仕掛けだし、更に加えてキャスが詠唱を完成させ魔法をぶっ放した。
もはやフルボッコ状態に見えたが、その猛攻撃をもレフィクルは驚異的なまでの回避技術と高速移動で受け流し躱し続けながらも、何故か徐々に俺の方に向かってくる。
「こんなもの、雨を躱すより容易い! なぁ女よ!」
流石に俺にレフィクルが近づくとセーラム、セッター、キャスは攻撃の手をゆるめるしか無くなる。
「仲間思いな事だ。雑魚は後回しだ、まずは貴様から血祭りにあげてやる!」
あれで雑魚は言い過ぎだ。
レフィクルの攻撃を杖で逸らし、躱し、受け流す。俺も反撃をするがレフィクルも逸らし、躱し、受け流してくる。
その攻防はマルス達が見惚れてしまうほどで、構えすら忘れて俺とレフィクルの戦いを見ている。
だがそれも1人の人物が現れる事で変わる。
別段何かをしているわけではなく、にこやかにただこちらに歩いてくるだけだ。にも関わらずマルス達は距離を取り出す。
俺とレフィクルも一旦距離を取り戦況を確認する。
「ログェヘプレーベ! 貴様生きていたか!」
「勝手に人を殺しやがらないでくださいよ」
その男は俺がレフィクルと戦う前に腹を殴り切り切断して……踏み殺したはずの男だった。
そしてゆっくりと俺とレフィクルの方へ向かってくる。
「いやぁ真っ二つにされやがりまして、再生するのにさすがに少し時間がかかりやがりましたよ」
にこやかなままレフィクルに近づくと、ログェヘプレーベは突然現れた巨大な槌を振るいレフィクルを殴り飛ばした!
ゴファと血を口から噴き出させながらレフィクルが吹き飛び、地面に崩れ落ち、その衝撃のせいか上半身を何とか起こしたが起き上がれないほどのダメージを受けた様だった。
俺たちは何が一体起こったのかわからず、その光景を呆然と見つめていた。
「う〜ん」
「あれ? セーラム何をそんなに唸っているのかしら」
「あ、レイチェル、今って最終章じゃないの?」
「前作はちゃんと最終章ってあったからまだ続く……って、そういう先の予測はしないで良いの!」
「むぅ……じゃあこの章ではレフィクルは死なないのかなぁ?」
「どうなのかしらね」
「ちなみにさ、レイチェルはてぃーえすえふ? って言うの知ってる?」
「てぃーえすえふ? 魔法か何かかしら? あ、サーラ」
「どうしたレイチェル」
「てぃーえすえふ? って何? サーラは知ってる?」
「……レイチェル、どれだけ俺を苛めたいんだ?」
「え? え? え? 何で?」
「だいたいどこでそんな言葉知ったんだよ」
「セーラムが聞いてきたのよ」
「セーラム、どこで知った?」
「えっとねー、次の章?」
「……い、嫌な予感しかしない」
というわけで、2話更新です。あと1話更新出来たらします。




