修道士(モンク)の弱点
風呂からなんとか生還を果たし、レイチェルの部屋…でいいのだろうか、戻った俺たちはお互いに緊急時の話をしておく事にする。
「まずわざと距離を取られたマルス達はあてにならないと思う。で、俺は問題ないとしてレイチェルとセーラムなんだが…」
「ん〜、サーラも今は女の子なんだから危険は一緒じゃないのかしら?」
「頼む…その呼び方はやめてくれ…」
「あたしは嫌じゃないよ?」
「そうよね?」
「俺が嫌なんだ!それよりもだ…」
対策を話す。まず女将さんの話だとレイチェルはメインディッシュだそうで、初っ端で襲われるのは俺かセーラムだろうと言っていた。
そしてナーサイヴェルの手口は必ず最後は殺していると言う。
まぁ俺は問題ないとしてセーラムだが、物理的な争いになった場合は問題はない。だが、もし精神に及ぼす魔法や毒などを使われた場合が問題だった。
「ならセーラムは私と一緒に寝ればいいのよ。なんならサーラも一緒にどうかしら?」
「断る。後でマルスに殺されたくない」
「あら、今は女の子同士じゃない」
「いつまでそれを繰り返す。それよりも3人が固まっていてナーサイヴェルが行動しなくなっても困るから、レイチェルとセーラムは一緒にいてくれ。俺が囮になるよ」
もちろんこの会話をしている間も俺は感知で3人以外がいない事は確認して話している。
俺の囮作戦に異論を唱える事ができず、レイチェルも諦めて納得した。
「じゃあ、俺は隣に行くよ。一応2人だからと言って油断はしないようにな」
「は〜い」
「サーラも気をつけてよね」
「……」
隣の部屋とは言え、レイチェルの寝室から10メートルはゆうに離れている。そして部屋の中はまぁ侍女の使用人の部屋な為、飾り気のないテーブルとイス、休むベッドがあるだけなのだが…
「ん?さっき来た時は無かったはず」
テーブルの上に軽食が用意されていて、そこに羊皮紙が添えてあった。
『貴女を本日見ていて不慣れそうに見えたので、お疲れでしょうと思いご用意させていただきました。大変でしょうがこれでも食べて頑張ってください。
ナーサイヴェル』
フィーッシュ!!
餌に食いついてきたな。軽食には毒か何かが盛られているのだろうか?
修道士の俺には毒は効かない。とりあえず一口かじると美味しく、結局全部食べきってしまいベッドに横になった。
カチン、キィ
中から鍵を掛けていたはずのドアが開く。感知で気がついていたが、この部屋に向かってきた方角からして間違いなくレイチェルでもセーラムでもない。
「おやおや、全部食べてしまいましたか。これならきっと今頃いい夢を見ている事でしょうねぇ」
うわぁ気持ち悪りぃ。
少しだけ寝返りをしてみるが、ナーサイヴェルは気にしている様子は感じられなかった。
よほど強力な睡眠薬の様なものが混ぜられていたのだろう。
ナーサイヴェルがベッドに近寄ってくる。
『いいかい、進入してきたからって直ぐにぶっ飛ばしたりしたらダメさね。襲いかかってきたらそこで締めちまって構わないさね』
つまり俺は最低抱きつかれるぐらいの覚悟は必要だという事になる。
え……?
不意に口元に布が押し当てられる。
突然の息苦しさに寝たフリも続かず慌てて起き上がろうとしたが、ナーサイヴェルが素早くのし掛かってマウントポジションを取られてしまい身動きが取れなくされてしまう。
口元にあてがわれた布の所為で呼吸が整わず、気も上手く集中できない状況になってしまった。
「ふふふ、息の根を止めてからジックリと愉しませて貰いますよ」
この時になって俺はようやく分かった。なぜコイツが容姿自体悪くないのに次々と女性を襲いそして必ず殺すのかを。
死姦ーーー
意識が遠のきそうになり力も抜け落ちると、ナーサイヴェルは口元に当てていた手を片手にして俺の胸を弄り始めてきた。
その感触の気持ち悪さから意識が遠のきそうになったのが戻り、なんとか口元の布を引き剥がせた。
「かはっ!ハーハーハー」
「おや、まだそんな力が残っていましたか」
「この…く、クズ野郎、俺は…男だぞ…」
「ほぉぅ、魔法で姿を女に見立てて護衛をしていたわけですな。だがしかし、それはそれで初めての体験。ゾクゾクしますよ」
コイツは本物の基地外で変人でクズ野郎だった。酸素が脳に回ってこないのか乱れた呼吸が整わず気を集中させられない。
ここにきて修道士の重大な欠点に気がついてしまう。
「魔法とは実に素晴らしいものですねぇ。身体は見事なまでに女になっていますよ」
ナーサイヴェルは俺の身体のあちこちを触りだし、ついには股ぐらにまで手を伸ばしてきた。肺は未だに酸素を求めて息苦しい。
まずい、まずいぞ。このままじゃ本当にこのままヤられかねない。
そう思った俺は抵抗を諦め、呼吸を整える事だけを専念する事にした。
「観念しましたか?せっかくの体験ですから、まずは意識のあるうちに経験させてあげましょう」
クソッ、ほざいてやがれ。
服を引き裂かれ肌が露出させられると今度は事もあろうか直に触ってくる。舌が身体中を這う。よく身体が勝手に反応しだして、身体は正直とか言うセリフがあるが実際には気持ち悪いだけでそんな事はない。
呼吸がやっと整い、気を集中させ終えた時には既に俺は完全に素っ裸にされていて、貞操の危機の瞬間だった。
「オラァ!」
加減なんかしない。身体はあちこちベタベタして気持ち悪い。早くコイツをぶっ飛ばして風呂に入りたかった。
顔面を殴り飛ばした俺はそのまま跳ね起きるように膝蹴りを叩き込む。そして吐き気のするいきり勃つ股間の物目掛けて蹴り上げた。
グシャっと気持ちの悪い感触が蹴り上げた足に届き、ナーサイヴェルは声にならない叫びをあげるとそのまま意識を失った。
バターン!
「サハラ!」
その時物音に気がついたレイチェルとセーラムが部屋に飛び込んできた。
「来るのが…遅いんだよ」
「ごめん!ごめんなさい。大丈夫だった?怪我、えっとその……」
「ギリギリ大丈夫だ。だけど身体中ベタベタで気持ち悪いからまずは風呂に入らせてくれ」
素っ裸の俺に安否が確認され安心したのかレイチェルが抱きついてくる。
セーラムは魔法でロープを作り出すと気を失っているナーサイヴェルを縛り上げていた。
だから早く風呂に入りたいんだってば……
「ちょっとぉ、今回の話大丈夫なのよね?」
「何がぁ?」
「18禁よ、じうはちきん」
「18金? ネックレスとか?」
「セーラム、あんた知っててワザと言ってるわよね」
「へへへぇ、わかんない」
(この娘…世間知らずで通すつもりね)
まぁギリギリセーフだと思うんですが…
「誰かに指摘されたら話はどうするつもりよ!」
「俺は無かったことになってほしい」
いや、ボカすだけですね。だってもう第8章に突入してるんで…
「おお! ついに第8章に!」
「ん〜、雰囲気的にこの章でレドナクセラ奪還終わりそうだからぁ」
「こらこらこらぁ! なんでセーラムはそうやって先を言いたがるのよ!」
そういう事で定時更新でした。
次回更新は明日辺りたぶんできると思います。




