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始原の魔術師〜時を旅する者〜  作者: 小さな枝切れ
第7章 レドナクセラ帝都奪還
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キャビン魔道王国

ヨルムンガンドは今いる森に辿り着くまで世界中を旅して探し回ったそうだ。

人の姿になれないヨルムンガンドは世界中を飛び回ってきた為、人のまだ知られていない土地などにも詳しかった。


そのうちの一つがガウシアン王国の更に遥か先、恐らくエラウェラリエルの故郷の方角に他国と接触する事を一切しない国があるという。その国の名前はキャビン魔道王国と言って閉鎖されたその国はその昔魔道王バルロッサの元にいた弟子が建国した国だという。


そしてさらにその先には巨大な山脈があり、そこを超えると万年雪に覆われた土地が広がっているそうだ。


ヨルムンガンドが飛び回って得た地形を聞く限り、世界は思っていた以上にまだまだ広いらしく、今いる場所は自然気候が豊かで住みやすい土地なんだという。


「そうだな、俺様が育った場所なんかは広大な森というよりジャングルだった。

他には灼熱の砂漠の大地、そして広がる海がある。ここ以上に大きい大陸は無いが、それでもそこそこ大きい大陸はあったぞ」



知らなかったーーー


まぁ当たり前な事で、海はやはり海竜やクラーケンなんかの海洋生物達がいて、海洋貿易は一切なかったはずだ。

つまり神々は大洪水で大地を沈めるのはこの大陸かこの自然気候の豊かな栄えたところだけなんだろう。いずれまた人がここに集まってくると踏んで。


「という事はキャビン魔道王国を仲間に引き込めるチャンスはあるかもしれないな。他はまぁ遠すぎるし町の確認は取れてないんじゃ行くだけ無駄だなぁ」

「行くのか?」

「あぁ、こっちの戦力は圧倒的に低いからな。少しでも戦力は欲しいし、上手くいけば南からレドナクセラ帝国、西から蛮族、トラキアルからはゴールドドラゴンだけだが…」

「霊峰のゴールドドラゴンまで仲間に引き込めたのか?いや、サハラなら出来るか。あの方すら虜にしたんだからな。

そうか…サハラ、確かにお前には何か普通と違う、一緒にいたいと思う惹きつける力がきっとあるんだな」

「気持ちの悪い事言うなよ。

っと、話の腰を折らないでくれ。でだ、北からキャビン魔道王国が加われば包囲網が完成するか」



残された期限までおおよそ5ヶ月。それまでにキャビン魔道王国の往復と説得をしなければいけない。果たして間に合うのだろうか?縮地法で飛べば恐らくそう時間はかからないだろうが、閉鎖された国となると説得に時間がかかりそうだ。


俺はヨルムンガンドに別れを告げて早速キャビン魔道王国に向かう事にした。





キャビン魔道王国にたどり着いたのは森を出てから10日経ったころだ。


「遠かったなぁ。しかしこの国、外壁を囲む壁で覆われてるが扉が無いぞ?」


巨大な一つ国で街道もなくただそこにポツンと巨大な国だけがあった。それはまるでこの外壁の中だけが世界の全てのように見える。まさしく閉鎖された国だった。


途方に暮れていると俺の耳に声が届いてきた。


『外の者よ、いかなる用があって此処に来たのかな』


さすが魔道王国、魔法でお出迎えか。


「俺は自然均衡の神の代行者サハラ。訳あってキャビン魔道王国の王に用事があって来ました」


名乗りを上げた瞬間今まで壁しかなかった場所に扉が現れ、開かれると中からぞろぞろと同じ衣装…ローブに身を包んだ者が出てきて両脇に向き直るように整列すると人道が完成した。そしてその間を歩いてくる間違いなくお偉いさんだろうと思われる人物が俺の方に向かってきた。


爺ちゃんだった。白髪でいかにもウィザードですと言うようなとんがり帽子に宝玉の納まった杖を持ち、同じようなローブを着ている。


まるでガンダルフだな。そんな事を考えているうちに俺の前までやって来た。


「よくこんな辺境の国まで来られましたな。ささ、一先ず我らが王国に入って頂きくだされ」


思った以上に簡単に入り込めたなぁ。閉鎖的な国だけにもっと敵対とまでは言わなくても、高圧的に来たりするとばかり思ってた。


言われるまま王国の中に入るとそこには驚く事に本当に一つの世界があった。まず壁を抜けると畑などがあり農業が行われ、畜産の牛や豚などの姿もあった。

そして町というんだろうか?住宅地の方までくると気持ち悪いぐらい種類豊富なローブを目にし、やはりウィザードだらけなのが伺えた。


「あれが我が王国自慢の魔道学院ですな」

「という事は学校ですか?」

「がっこう?申し訳ありませぬ、その言葉の意味がよく分かりませぬが、あそこで子供の頃から魔法を学んでおるところです」


うん、学校だね。


「しかし魔法は確か基礎を学んだら後は経験だと聞きましたが?」

「おお!代行者殿は博識でいらっしゃいますな。さよう、基礎を学んだ後は経験が重要ですが、この国ではそれぞれの系統で得意な分野同士が競い合って学んでゆくのです」


恐らく召喚魔法で召喚した魔物と戦ったりといった事なんだろうな。

色々と魔法だけの世界で生きるこの国の説明を受けながら、俺は王城へと招かれる。謁見の間に連れられると、王座には1人の女性がすでに座して待っていた。


「自然均衡の神の代行者様、キャビン魔道王国へようこそ。

私が今この国の女王キャビン=アテンダントです」


スチュワーデスさんかい!

女王と言うんだから結構な年齢だとばかり思っていたが、なんとビックリ女王は王女様で通りそうな若さだった。20前後ぐらいの外見に、透けそうで透けない薄青い間違いなく魔力のあるドレスタイプのローブを着ていて、手には珍しい宝玉のついた杖ではなくロッドを持っている。

おとなしそうな女の子といった感じで、バランスは整った顔立ちだが、美人とか綺麗でいうとセーラムやレイチェルの方が上だろう。


ついでだが、ローブについてせつめいしておくと…

俺が今着ているローブはフード付きのローブで、想像しやすく言えばジェダイナイトが着ているような味気ないものだ。そしてそれが大陸の大半を占めるローブという奴だ。

だが、魔道王国ともなると国のほぼ全員がウィザードでローブを着ている。だがその種類は様々で、女王が着ているようなドレスのようなローブもあれば、ハリポタのようなローブもあり、なかなかオシャレなローブが多い。最もローブなんてものは魔法効果がないものなら上から羽織る布切れでしかないわけだが…


あと今更だが…なんかタバコの銘柄が多いような気がする。まぁいいか。


「俺は…」

「サハラ様ですね。それでこんな閉鎖的な国へはいかなる理由があってでしょうか?」


そこで今までの事を手短に話す。

謁見の間にいる女王と重鎮であろう人達全員が声を上げる。


「だい…こうずい…です…か…」

「我々は無関係だというのに…」

「女王、皆も何を考えておりますかな?今こそ儂等が立ち上がる時では、無いのかね?」


俺を此処まで連れてくる時に色々と教えてくれたガンダルフみたいな爺ちゃんが杖を叩いて注目させ言うと、一気に静まりかえった。


「閉鎖的な暮らしはもう終われと魔法の神からの御達しなのかもしれん」

「ダビドフ老師…分かりました。私もキャビンの血を引くもの…

皆さん!私達キャビン魔道王国も解放軍に加わります!」

「女王!私達は実戦経験が無いのですぞ!」

「そうです、私達が練習相手にしているのは召喚魔法で召喚された魔物か魔法戦闘のみですよ」

「それに!むしろレドナクセラ帝国は我々の敵ではないですか!」

「お主らは女王の命令に背くのかの?」


クッと歯噛みして黙り込んだ。

このままじゃキャビン魔道王国が内部分裂しかねないな。


「ならば見て貰えばいいだけだ。俺らが戦えるだけの力があるのかをな」

「なるほどのぉ。サハラ殿に我らを見てもらうという事かの」

「そういう事だ」


へぇ、誰だこの人。


「えっと其方は?」

「俺はカフィンだ」

「カフィン、口の聞き方を気をつけなさい」

「はは、別に構いませんよ。それよりも…」

「そうですなカフィンの言うように儂等が戦力になるか見てもらいましょう」




王城を離れ、俺はスチュワーデスじゃなくてアテンダント女王とダビドフ老師とカフィン他数名を連れて、キャビン魔法学校に向かった。

キャビン魔法学校に入ると生徒達が驚きの声を上げ平伏してくる。うん、なんか気分いい。もちろん俺ではなく女王になんだけどね。


「これは女王陛下、今日はどのようなご用事でしょう?」

「学長、陛下は生徒達の戦闘訓練を見学に参られた」

「さようでしたか。それでしたらちょうど今行っておりますので、こちらへどうぞ。

はて、其方の方はどとら様でしょう?」

「こちらは自然均衡の神の代行者サハラ殿じゃ」

「おお、神の代行者様でしたか。という事は…重大な事なのでしょうな」




戦闘訓練場まで歩いて向かったわけだが、この魔法学校がとにかく馬鹿でかい。聞いてみると寮が完備されていて、家から通えない者が暮らせる場所に、各種系統の学び舎と別れているそうだ。そしてその後に普通に暮らす者は学校を卒業し、研究する者は残るそうだ。他にも色々と説明をしてくれたがはっきり言ってわけ分からなかった。


そして戦闘訓練場に着くと生徒達の訓練状況が見られる。


「如何ですかなサハラ殿」

「なかなかなもんだろう?」


驚かされた。まず何に驚かされたかと言うと、その広さだ。本格的にコンバット訓練ができるんじゃないかと言う広さだ。しかも地形は魔法で作り出せるという。

そして訓練状況。こちらは召喚を得意とする者が召喚し、それをウィザードだけのチームで粉砕していた。

だが、あっさりと欠点が見つかる。


「召喚で呼び出す魔物の知能が低いものばかりですね。それと数が少ない。後は魔法の手数がなくなったら負けにしているようですが、本当の戦闘では死ぬんですよ」

「自信がありそうな言い方じゃないか?それならいっちょ相手してみるってのはどうだい?」


俺の指摘に怒ったのかカフィンが勝負を挑んできたみたいだ。


修道士(モンク)で魔法を使う相手と戦った事がないし経験してみるのもいいか。


「これカフィン」

「別にいいですよ」



ルールは簡単だ。相手が魔法を使い切るまで俺が逃げ切るか戦闘不能にしたら俺の勝ちだ。どちらも殺さない程度となっているが、魔法って加減できるのか?


カフィンと俺が向かい合い、互いに離れて行く。合図の魔法で開始だ。

上空でファイヤーボールと思われる爆発が起こる。これが恐らく開始の合図なんだろう。

なぜだろうかって言うと、お互い背中合わせで離れていき5分以上経ってからで相当離れた状態だったからだ。


「さてと、どうするかなぁ?相手が1人ってわかっている時点でかなり余裕だ。だが、ウィザードとしてどれだけ使いこなしているかはわからない。まぁ…全力で行ってみるか!」


修道士(モンク)特有の呼吸法をし騎士魔法の感知(センス)予測(プレディクション)を使う。


「こんだけ使ったら、はっきり言えば卑怯なんだけどな」


縮地法で一気に元の位置の方へ戻る。隠れていても感知(センス)で居場所はわかる。すぐに場所が見つかると女王達がいる目の前をヤンキーの暴走のように高速移動で駆け抜け、一気にカフィンが隠れている場所付近に辿り着く。


不可視化(インビジビリティ)か、だが…


「おはよう!」


一気に間合いを詰め恐らく脇腹と思うあたりを打った。

ガハッと空気が漏れる声が聞こえると姿が現れそのまま昏倒する。




「お、お見事です…」


俺はカフィンを引きずりながら女王達の元へ戻る。魔法の魔の字もない戦いで終わりを告げた。

しかしこの時俺は重大な事に気がつかなかった。



夜になり食事を頂きながら会話をする。食事をしているのは俺と女王とその他重鎮達だ。


「サハラ様今までの無礼をお許しください」


目が覚めたカフィンはいの一番に頭を下げて謝ってきた。案外まっすぐな奴のようだ。

そして重鎮達は俺の戦いを見てむしろ不安にさせてしまっただけになってしまい、それをダビドフ老師が時間のある限り戦闘訓練を手伝って欲しいと頼み込まれてしまうことになってしまう。


その間女王はキラキラとした目で俺を見つめ、目が合うと照れたような表情を見せる。


ううむ、戦闘訓練を手伝う100日間別の意味で身の危険を感じる。





その日の夜から俺は夜もまともに寝れない毎日が始まったーーー



「あのー、なんで女王様が俺の寝室に来ているんでしょう…」

「え、えっと…そのですねーーー

私と貴方は信頼できる友、仲間。友情で結ばれている魅了(チャーム)

「あー…俺そういうの効かないんですよ」

「あ、あ、ああ、あ…うわあぁぁぁぁ」



「どうです、美味しいですか?」

「ええ、とても」

「えっと…なにかお変わりない、のですか?」

「あー、俺、そういうのも効かないんですよ」

「あうあうあう…」




「お背中流します!」

「うおわ!」

「あれ?サハラ様?どちらへ…」



なんて言うか、超積極的な女王様だ。


そして戦闘訓練のほうは正直なところよく分からないのだが、思いつく限りの方法を教えておいた。


そして約束の100日になり俺は戻ることになる。アテンダント女王は残念そうだったが、俺はなんとか逃げ切る事ができてホッとしていた。



「サハラ殿、キャビン魔道王国の兵力は学生達も入れれば3万」

「うお!さささ3万もいるんですかあぁぁ!」

「サハラ殿、解放軍は一体どれほどの戦力なので…」


指を5本立てる。


「たぶんこれぐらい」

「5万…ではなさそうですな」

「5千か!そんなもんで勝ち目があるわけないだろ!」

「だからキャビン魔道王国に頼みに来た。だが安心してくれ。こっちは俺の他に味方にゴールドドラゴンとかいるし、そうそう、魔法の神の代行者もいるよ」

「な、ななな、なんですと!!」

「おおお!」


そういう訳で兵力1万をマルス達の所へ送ることになった。1万の魔道王国指揮官はカフィンに決まる。だがしかしそれは俺1人縮地法で帰る事が出来ず徒歩での移動になってしまう。

残り日数予定では70日前後しかなく、しかもガウシアン王国を避ける為遠回りになってしまう。


「移動魔法は無いんですか?」

「長年閉鎖されておりましたからな。儂ですら移動魔法を記憶している場所が無いのじゃ。じゃが幻乗馬(ファントムスティード)を使えば十分間に合うはずじゃ」


なるほど、幻乗馬(ファントムスティード)か。確か俺も記憶すれば使える。まぁ走ったほうが早いが…


そんな訳で俺はカフィンと1万の魔道軍団を引き連れてマルス達のいる場所へ向かう事にした。



行軍は能力差で幻乗馬(ファントムスティード)の召喚時間が異なる為マチマチだが、馬を使うよりはかなり早い。50日ほど進んだころに俺の前にスネイヴィルスが現れ、レフィクルの魂は無事に死極に封印出来たことを伝えてきた。後は俺らに託すと言うと戻っていった。

俺はすぐにキャスに使い魔を飛ばす。




いよいよ始まるのか。

恐らくまずはレドナクセラ帝国の奪還。その後大戦が始まる。

マルス達の前に俺は姿を出して大丈夫だろうか?だがカフィン達の説明は必要になるか。



コッソリと更新です。

下書きすればするほどなんか終わりが遠ざかっていく様に思う今日この頃。



「サハラってすごく強くなってるんじゃないの?」

「チートよチートだわ」

「サハラ1人で事が済みそうな感じもあるもんな」

「で、実際のところどうなのよ作者さん、ん?」


そうですね。たぶんいけるんじゃないかと……


「お話の都合上なんだよね〜?」

「シーッ! セーラムそれは言ったらダメよ」

「うん〜分かったぁ」



正直なところ縮地法はもう少し制限入れるべきだったかなとか思っています。

でもまぁ、終わりも近いはずだしいいかとしちゃいました。


それでは

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