ヴァリュームからの解放軍
ノーマが指揮する軍は非常に統率がとれていて、元々オークとダークエルフ討伐が主だった冒険者は多いが兵の配備が薄かったヴィロームは呆気なく陥落し、そのままヴェニデへと進んでいく。
最初こそノーマ侯爵は裏切るのではないかと思われていたものの、そういう事はなくむしろ先頭に立って率先して突っ込んでいた。
レフィクルの信仰が高いヴェニデは兵よりそこに住む一般市民の抵抗の方が凄く、逆に手こずることになってしまう。
「このままでは遅れが出てしまうのである!」
「しかし一般市民は切れませんよ」
「当たり前じゃああぁぁぁぁぁ!!」
ヴェニデを陥落しないままヴォルフに向かうわけにもいかず、だが狂信者となった一般市民を放って進軍させるわけにもいかない厳しい状況となる。
「ノーマ、どうするんさね!防戦だけじゃ疲弊するだけだよ」
「領主を〆るしかないのである!」
「領主の屋敷を狙う、ですね」
「だがそれで民衆が止まるかはわからんのであるがな。領主は変わっていなければエヴォノール伯爵と言って儂の知人である。
彼奴なら説得に応じるかもしれん。だがソーサラー故に注意も必要である!」
とりあえずの作戦が決まると、領主の屋敷に向かおうとするが、一般市民の狂信者の中には武器を持つ者達もいるため、解放軍も気をぬく事は出来ない状況だった。
「侯爵、私は先に行かせて頂く!」
「あたしも行くね。領主を捕まえればいいんだよねぇ?」
「この包囲をどうやっていくのであるか⁉︎」
「跳躍」
「マナよ私の翼となれ!」
「飛行」
セッターは建物を飛び越えながら、セーラムとオルは空を飛びながら領主の屋敷にまっすぐ進んでいった。
「儂等も突き進むのである!だが一般市民は傷つけてはいかんのであるぞ!」
「まったく…難しい注文さね」
「ここか」
「なんか誰もいないっぽい?」
「いやいる。感知に反応はある」
「中ですね」
2人と1匹は正面から入っていく。中には30名ほどの兵士が待ち受けていた。
そしてその背後にいるのが、おそらくエヴォノール伯爵と思われる人物がいる。
「ほぉ、たった3人で攻め入ってくるとは驚いたぞ。しかも2人は子供、か?
遊びのつもりなら今すぐ帰れば無傷で帰すぞ」
「行けるか?」
「う〜ん…お屋敷破壊しちゃうかも?」
「噛みつきそうです!」
「と言うわけでお相手しましょう」
「ずいぶんな余裕だ。ならばお前ら相手してやれ」
一斉に30名ほどの兵士が襲いかかってくる。
セッターは7つ星の剣を1番先頭の兵士に投げつけた。
「7つ星の剣よ!お前の力を見せる時だ!」
ーーーYes master
seven star blade dancing attackーーー
7つ星の剣が7つの種類の剣に分かれ、1本1本が意志を持って兵士達を切り刻み始める。
その様子をセッターはただ見つめている。
半年の間にバルロッサ王に手伝ってもらいながらセッターは7つ星の剣を色々調べ、強力な知性を持った剣だという事が判明。もちろんバルロッサ王は今後の作品に役立てるのが目的だ。7つ星の剣はそれ自体が意志を持って騎士魔法を使い、担い手を守り、助力する力を持つ。また、今セッターがやった様に剣だけに戦わせることも可能だ。
「わぁオルくんすごいよ。あたし達出番なさそうだよ」
「そうですね」
余裕を見せながら突っ立っている。と言うよりもあの7つ星の剣が暴れ回る中に飛び込めないが正しいのだろう。
次々と兵士達を倒していき、最後の1人が倒れると7つ星の剣が1本に戻りセッターの手元に戻ってきた。
「素晴らしい!私の兵ではまったく相手にならない、か。その力惜しい。私の友とならないか?」
「お断りします」
「即答、か。では残念だが仕方がない。死んでもらうしかなくなる、ぞ?」
「セッター、次あたしの番だよ!」
「僕の番は…」
セッターが後ろに下がり、エヴォノールはそのやり取りをじっと待っている。
「危なかったら手を出す」
「なったらね」
「エルフのお嬢さん1人が私の相手、か?3人一遍にでも構わないのだが、その方が加減もできよう、な」
エヴォノールはそれだけ言うと決して広すぎるわけではない広間で魔法矢の魔法をぶっ放し、6本の魔法の矢がセーラムに向かって飛んで行く。
セーラムはそれを避けることなく、魔法盾で全て防ぎきった。
「なるほど、武装をしているからてっきり戦士だと思った、が、エルフのお嬢さんもソーサラーか。
困った、な。そうなると加減が難しい」
「加減なんかしてると負けちゃうよ?本気でも負けないけどね」
「大した自信だ。良かろう、私も敬意を持って戦わせて貰う」
それが合図となりエヴォノールが手を前にだして魔法を使おうとする…
「遅いよ〜」
一瞬でセーラムが接近して紡いだ槍で攻撃する。もちろん穂先のない礎のほうでだ。
「くっ!なんだと!私よりも早く次元扉の魔法を使って接近したというのか⁉︎」
なんとかスレスレでエヴォノールは回避するが、セーラムは既に次の攻撃の動作に入っていた。
「そこまでえぇぇぇぇぇぇい!!」
「うひゃい!」
突然大声でノーマが現れる。
驚いたセーラムは攻撃の手が止まり、ビクッとしながら声を上げた。
肩で息をしながらあちこちから血が吹き出ている。どうやら1人で突破してきたようで、ノーマ以外の姿は見られなかった。
「おお!これは我が友ノーマ侯爵ではないですか。救援助かりました」
「違うわ!儂がこの解放軍を指揮しておるのである!」
「は?侯爵、王を裏切った、のですか?」
ここでノーマがこうなった理由をエヴォノールに説明しはじめる。突然の事にセッター、セーラム、オルは何が起こったのかわからないまま聞いているだけとなった。
「大洪水、ですか。沢山の私の友を失うのは困りますからね」
「うむ、だからお前も儂等と戦うのである!」
「友の願いとあっては聞かないわけにはいきません、ね。
それにーーー」
そこでエヴォノールがセーラムを見る。
「あのまま続けていたら、残念ながら私が負けていましたから、ね」
「侯爵、申し訳ないのですが…」
「おお、そうであったな」
ノーマとエヴォノールは地位こそ違うが、熱い友情で結ばれている間柄だと言う。そしてエヴォノールはソーサラーらしくない友情を非常に大切にする人物だった。と言うより友情が全てであった。
故に友情関係を持てなかったレフィクルを裏切るのに時間はかからず、あっさりノーマの軍門に下った。
「そんなに簡単に裏切っても良いんですか?」
「ん?ああ、私は地位など元々どうでも良いんだ。友こそ全てだよ」
そこまで友情を優先する理由をセッターは分からなかった。
「ソーサラーらしくないですね」
「高慢ではない、かね?そんなものは…」
「儂が根性を叩き直したのである!」
と言うことだった。他にもエヴォノールが友情を大事にする理由はあるのだろう。
ノーマはエヴォノールにこのままこの町、ヴェニデを纏め静まらせることを任せて進軍を急がせることにした。
ヴァリュームからの解放軍は、残すところヴォルフ、そしてマルス達が目指す帝都だけとなった。
「ねぇサハラ、なんだかたくさんの人たちが私達の物語を見てくれてるみたいよ」
「すっごいアクセス数なの!」
「ああ、正直びっくりしている」
「マスター!日刊ランキングにこの物語のタイトルが見つかりましたよ!」
「マジか!」
「あ、本当だ。あったよ!」
というわけで読んでくれている方が増えているかと思うと嬉しいやら恥ずかしいやら…
期待に添えるよう頑張ります。
「みんなありがと〜!これからもあたしの活躍応援してね」
「いや、一応俺が主役なんだが…」
更新頑張ります。
その後…
「サハラのせいで消えた。サハラが転移者のせいだぁぁぁ。
次回は絶対あたしが主役になってやるぅ」
「好きにしてくれ…」




