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始原の魔術師〜時を旅する者〜  作者: 小さな枝切れ
第6章 死と薄まる団結
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エラウェラリエルの死

「なかなかしぶといな。仲間の場所を言えば一思いに殺してやったものを。

言わないのであれば、お前はもう用済みだ」



エラウェラリエルは絶体絶命の窮地に陥っていた。記憶してきた使える攻撃魔法はすべて使い切り、自衛の防御魔法も魔法を封鎖され、既にいつ命が尽きるか分からないような状況にあった。





少し前に時間はさかのぼり、彼女はサハラと離れ離れになって1人寂しい思いをしていた。

そんな中、サハラの使い魔からサハラが帝都に向うと連絡があった為、彼に会うと仲間に伝えて覚えた転移魔法で帝都の近くまで移動したのが悲劇の始まりだった。



転移先で運悪く待機していた1団の軍隊と遭遇してしまう。その1団の軍隊を率いている男は、容姿美しくそして動作は優雅で権威に満ちていたーーー

リリスの話が脳裏をよぎる。


「ライ…レーブ……」

「ルベズリーブ様の言った通りだな。

仲間の居所を言うか、死ね」



即座に魔法を詠唱し、得意とする雷撃魔法の上位にあたる連鎖雷撃(チェインライトニング)を唱え、続けて魔物召喚(サモンモンスター)でオーガーを呼び出し戦わせる。


近寄らせないように炎壁(ファイヤーウォール)で身を守りつつ、氷嵐(アイスストーム)を使い、直ぐに逃げれるように飛行(フライ)を唱え、なんとかこの場を凌ごうとした。


転移魔法は1日で戻る予定になく、1回分しか記憶していなかったのが彼女の失敗だった。



「なかなかやる。

だがな、此方もこういう物を用意してある」


男が指輪の力を解放するコマンドワードを唱えると、炎壁(ファイヤーウォール)飛行(フライ)の魔法効果が失ってしまう。


魔法封鎖(アンティマジック)!」

「ご名答」


そう言って近寄ってきたと思った直後、肩口に鋭い痛みが走り、見ると剣が貫いていた。


「言え!仲間は何処だ」

「言うと思っているんですか!」

「言わなければ言いたくなるようにするまでだ」


更に激痛が走り、サハラとお揃いの指輪をつけた片腕がボトッと切り落とされた。


エラウェラリエルの口から悲鳴があがり、傷口を押さえながらウィザードが使える唯一の治療魔法を詠唱するが、魔法封鎖(アンティマジック)の力で魔法効果がかき消されてしまう。


そこへまたライレーブの持つ剣がエラウェラリエルの腹を突き刺され、今に至る。







「サハラ!あそこ!」


キャスが指差す先に50名ほどの兵士の姿が見え、将らしい男が力なく座り込んだ誰かに剣を突き立てていた。


紫色の自分と同じ色違いのローブ、エラウェラリエルで間違いなく、遠巻きに見ても出血しているのが分かった。



「ウェラーーーー!!」


呼吸法で気を纏い、高速移動では遅いと縮地法で一気にウェラの眼の前までくると同時に杖を取り出し、そのまま将らしい男、ライレーブに向かって気を込めた杖でフルスイングした。


咄嗟に身を守ったようだがその男、ライレーブを杖で叩き飛ばした。それを見て驚いていた兵士達は我に帰ると一斉に俺に向かって攻撃体勢を整えてきた。


チラと見てもわかる。エラウェラリエルは既に息も耐えの状態でのんびりはしていられない。

手加減なんかしない。エラウェラリエルをこんな目に合わせたやつを絶対に許さない。




“俺は自然均衡の代行者”


“あるゆる自然現象を想像し”


“具現化する”


“想像するは巨大な(ヒョウ)


“雨の如く降り注ぎ”


“俺に仇なす者を粉砕しろ!”


降雹(ヘイルストーム)!」



兵士達に巨大な雹が雨の如く降り注ぎ、容赦無く徹底的に叩き潰していく。

雹が降り止んだ時、50名ほどの兵士達は全員息絶えていた。




「なんだその力は!」


男が立ち上がって軍の惨状を見て叫ぶが、俺はそれを無視してエラウェラリエルを抱きかかえた。


「大丈夫か?今すぐ助ける!」


抱き上げたエラウェラリエルは血の気を失せて真っ青な顔をしていて今にも息絶えかねない状態だった。にも関わらず俺を見て力無く笑顔を向けてくる。


「サハラさん、私信じてた。きっと貴方は来てくれるって。仲間との約束は…たとえ死んでも守ってくれる、そういう優しい人だと思ってるから」

「ああ!来たさ!今すぐ治療する。だから死ぬとか言うな!」

「ウェラさん!」


キャスもやっと追いついたようだ。ウィザードのキャスに治療魔法を懇願する。

だが、無情にも魔法封鎖(アンティマジック)により彼もまた魔法が使えない状態だった。


「魔法が封鎖されてて使えない!それにその怪我は神聖魔法じゃなきゃ無理だよ」

「なら、さっさと連れて帰るだけだ!」



「逃すと思っているのか?」


そう言ってライレーブが近づいてくるーーー



俺は縮地法でライレーブの真後ろに一瞬で移動し、ライレーブが振り向く間も与えず拳で叩き上げ、体が宙にわずかに浮いたところを杖で更に打ち上げ、一瞬で10回近く滅多打ちした後に杖でフルスイングで叩き飛ばした。


バキッと音が鳴って杖は折れてしまうが、気にすることなく始原の魔術を行使するーーー



“俺は自然均衡の代行者”


“あるゆる自然現象を想像し”


“具現化する”


“想像するは(イカズチ)


“天空より落ちて”


“俺に仇なす者に突き刺され!”


落雷(ライトニングストライク)!」



ビシャーーーーーーと吹き飛ばして地面に叩きつけられたライレーブに落雷を浴びせーーー



“俺は自然均衡の代行者”


“あるゆる自然現象を想像し”


“具現化する”


“想像するは地割れ”


“大地よ亀裂を作り”


“俺に仇なす者をその大地に飲み込んでしまえ!”


地割(クラークインザグラウンド)れ!」



ポッカリと地割れた大地にライレーブは落ちて行き、地中深くへと飲み込ませた。地割れは少しすると閉じてしまい、間違いなくライレーブを地の底に埋め込んだだろう。




事が終わりすぐさまエラウェラリエルの側に行く。


「もうすぐだ。もうすぐレイチェルに治してもらえる。だから、だから頑張ってくれ!」


エラウェラリエルが残った腕で何かを指差している。自分の切り落とされた腕のようで、すぐに拾って胸の上に乗せると、小指についた指輪、俺とお揃いのピンキーリングが付いている指を握った、


「あなたに会えてよかった。でも…ずっと一緒にいたかったな…」


最後は声も聞こえなかったが、口ははっきりと大好きと動いたのが分かった。


そしてエラウェラリエルの体の力が抜け落ちた。


「ウェラ!ダメだ!死ぬな!死なないでくれ!

キャス頼むなんとかしてくれ。魔法の神の代行者なんだろ?

……そうだ!(ウィッシュ)いだ。(ウィッシュ)いを使ってくれ!」

「サハラ!サハラ!落ち着いてよ。ウェラさんはもう……」




生気が完全に無くなり、エラウェラリエルは俺に抱かれ眠るように息を引き取っていた。


「ウェラ、ウェラ!もっと話したかった。もっと君の事を知りたかった……もっと、もっと一緒にいたかった……」






この後サハラは日が傾く頃までずっとウェラさんを抱きしめながら泣いていた。

僕はただ見つめる事しかできなかった。




「サハラ……」


サハラにとってこれが初めての大切な人を失う経験になったんだね。

僕はもっともっと沢山経験してる。だから人と深く関わるのをやめていたんだよ。

サハラ、君も僕もこれからこの先こんな経験をずっと続けて行く事になるんだよ。




次回更新は日曜ではなく、18日の夜ななります。


そろそろ終盤になってきました。

地割れの部分の英語が間違っていたりしたらごめんなさい。

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