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始原の魔術師〜時を旅する者〜  作者: 小さな枝切れ
第6章 死と薄まる団結
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期日までの日々

レイチェル達が戻っていって2日後



神々から知らせが来るのか分からない現状では話も進まない。

俺は翌日の朝には使い魔をキャスに飛ばし、帝都の創造神の神殿に行ってくると連絡をさせた。


「あたしも行く!」

「ダメだ」

「なんでよ!」

「いつ何が起こるかわからなくなってきているんだ。少しでも戦力は割くわけにはいかないだろ」

「ウーーー、はぁ。

……もおぉしょぉぉがないなぁぁ」


どうやら折れてくれたようだ。

一応念の為セッターや女将さんと旦那さんがにもしっかり見張ってもらえるように頼んだ。



そして今ヴァリュームの町を出た俺は、以前グリーンドラゴンが住み着いた近道を抜けるルートを新たに習得した修道士(モンク)の力を試すのも兼ね、一気に走っていくことにした。


パンッ!


自らの頬を叩いて気合いを入れる。普段何気なくしている呼吸から修道士(モンク)独特の呼吸法に変えると全身に気が溢れてくるのが分かる。


全力で行ったらどんなもんかな?縮地法もどれだけ使えるのか分からないし、試してみるには絶好の機会だ。


早速縮地法を試す。視界の届く1番遠い場所に正に一瞬で飛んだ。距離にして1㎞以上じゃないだろうか?肉眼で見える距離はおおよそ4㎞だとか見たか聞いたことがある。邪魔するものがなく見渡せればそれだけ飛べるのかは分からないが便利すぎる。

そして次は高速移動を試してみる為、縮地法は使わずに走り出し、一気にトップスピードまで上げた。


まるで…馬だな。




今俺は旧帝都のそばまで来ている。

高速移動の速度は恐らく馬かそれ以上で走れているように思う。森の木を足場に走るなんてのも楽々できる為、最早忍者とかそういう次元を超えていた。

そして縮地法の方は制限というものなく飛べる為、開けた場所であれば瞬きごとに1㎞以上の距離を飛び進んでいけた。

気がつけば俺はたった半日で旧帝都のそばまで来てしまった。


「こりゃ確かにレイチェルの言った通り、バケモノだな」



さて、と入り口には向かわずそのまま人気の無い帝都を覆う壁の前まで行き、これまたお初となる虚身を使う。

景色が灰色一色となり全体がぼやけるように見える。自分自身を見ればなんとなく人の形をしているという感じだ。


そのまま壁を抜ける。違和感や妙な感触というものも感じず素通りしていく。どれぐらいの時間が持つのか分からない為壁抜けだけは急いだ。間に合わないで『石の中にいる』なんてシャレにならない。壁を抜けた先は通りとなっていて数名の人がいたが、顔などの識別は虚身を使っている時は出来そうにない。

また、知識としてあるが念の為この状態で人を叩いてみたが、やはりすり抜けてしまう。


虚身は凄いとは思うが、何にどう使うんだろうな。移動用か?


虚身を使い出して数分後ぐらいに景色に徐々に色がつき始め、急いで人気のない場所まで移動する。それから10秒もしないうちに虚身の効果がなくなった。

念の為連続使用が出来るか試してはみたが無理だった。






「……自然均衡の神の代行者サハラよ。これはまた奇怪な能力を手にしたものだ」


俺は今創造神の神殿に入り創造神のいる場所まで来ている。そして早速修道士(モンク)の事を言われた。


「一応許可は下りたはずですよね?」


うーむと何やら想定外だった様で悩まれてしまったようだ。


「とりあえず其方がその力を使い、神々を脅かすようなことが無ければ不問としよう」


するわけないだろ!そんなことして一体なんの得があるっていうんだ。


「そういうつもりは全くありませんね。それより『魂抜きの籠手』の方はどうなんですか?俺たちは後は神々を待つばかりというところまで何とか来ましたよ」

「それの事だが、【鍛冶の神スミス&トニー】の話では約束通りあと半年程で出来るそうだ」

「半年…やはり当初の予定通り2年ちょっとですね。それまでレフィクルにバレずに凌げるか…」

「それは安心するがよい。レフィクルは其方たちとの戦いで未だ肉体の修復が間に合っていない」


あれ?神聖魔法で治すとか出来ないのか?


「悪魔に神々は手助けはしない。彼奴は己の治癒力のみで治す他ないのだ」


なるほどね。


「じゃあ安心というわけですね」

「それがそうでもない。あの悪魔王の信頼する部下が動き始めているのだ」


ナンテコッタ。



「動きがあるというのは例えばどういった感じなんでしょうか?」

「其方らの行方だ。此度のことで危険視されたのだろう」

「という事は半年の間見つからないように過ごすか、倒すかということですか?」

「それは其方らが決めればいいであろう」

「まぁレフィクル以外は面識ないから問題ないですね」

「レフィクルにイメージを魔法的に見せられている故、そうとも言えぬ」


マジかよ。


神々はとりあえずレフィクル以外は知らないよって事か。それよりも、あの時一緒にいた仲間には一刻も早く注意を呼びかけないといけないな。


神々が事を起こす時になったら連絡をくれるということで話を終えて神殿を出た。




使い魔は今朝キャスの元に飛ばした為、今手元にいない。まぁ、レジスタンスにはキャスもいるし場所も知られていないはずだから大丈夫だろう。それよりも……


俺は急いでヴァリュームに帰ることにした。

だが、それが間違いだったと気がつくのは少ししてからのことだった。




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