準備は整いつつあり!
「儂の負けである!今日より約束通りサハラよ、お前の配下になるのである!」
その翌日ギャレット本人が俺たちを呼びに来て、ノーマ侯爵の館に向かった。
俺達、セッター、レイチェル、セーラム、オルに加え、キャス、女将さん、ボルゾイ、そしてレジスタンスメンバーの3人。加えてキャスがワイプオールと旦那さんを連れてきた。
ワイプオールはヴァリュームを取り返した事を俺に感謝をしていたが、どちらかといえば女将さんの手柄だろう。
女将さんは女将さんで旦那さんが来た為、早速あんたお前と抱き合っていたーーー
ギャレットはもう兜をつけておらず、素顔をさらしていた。
「侯爵から許可された、と言うより解放されたんだよ。サハラのおかげだ。これでまたギャレットとして生きていける。
それとワイプオール様、お久しぶりです。そしてヴァリュームを守れず申し訳ありませんでした。この不始末如何様にも罰して下さい」
「もう良い。其方は其方で苦労させたな。私も帝都を皇帝を守れなかったのだから同じだ。これからは力を貸してくれ」
「はっ」
という事だった。他の2人の騎士達も同様の処置を取られたそうだ。ただ今後今更どうするか迷っている様子らしい。
そして今、俺たちは全員でノーマ侯爵と会い、今に至るわけだ。
「ノーマ侯爵、配下になってくれとは一言も俺は言ってませんよ。ただ寝返ってもらいたいだけです」
「うむ、では本日より儂は侯爵ではなく、ただのノーマである。
それでレジスタンスは儂に何を望むか?」
俺ではなくワイプオールに目を向ける。
ヴァリュームを取り戻した今レジスタンスは全軍で帝都奪還に移し、ノーマには後方よりヴィローム、ヴェニデ、ヴォルフを取り返して欲しいと伝えた。タイミングなどは使い魔で連絡を取るようになった。
そしてそこで初めて俺が自然均衡の神の代行者である事、キャスが魔法の神の代行者だと明かす。そして…
「ここにおられるレイチェル様こそレドナクセラ3世の忘形見。レイチェル=エル=レドナクセラ姫だ」
カッと目が見開いたのはギャレットと一緒にいた元騎士の2人だ。慌てて立ち上がると臣下の礼を取り出す。
「うわわ、ギャレットさん辞めて。私まだ姫とかよくわかってないんだから」
ノーマはノーマで俺とキャスが代行者だと知ると、大洪水の事はさすがにデマカセと思っていたらしかったが、事実であると分かると事の重大さに驚きながらも、俺に負けたのも頷けると勝手に納得していた。
最終的にヴァリュームはノーマにそのまま任せる形で俺とセッター、セーラムとオル。そして女将さんと旦那さんが残る事になり、ノーマを支援する事となった。
レイチェルがグズったが、ここまでくるとそろそろ姫であるレイチェルは、もう今までのように好き勝手できなくなっている。
こうして俺たちレジスタンスは順調に準備が整いつつあったーーー
レイチェルは戻り際に育ての両親に挨拶をし、ワイプオールが2人に育ててくれた事を感謝しキャスの魔法で帰って行った。
「なぁセッター、約束通り私に勝ったんだ。願いを聞くから言ってみるといいよ」
「ーーー」
「なんだ?よく聞こえなかった」
「父さんと…呼ばせてください」
ここにもまた過去の清算を済ませた2人がいた。
「ねぇサハラ、あたしってずっとパパって呼んでたけど本当のところ嫌だった?」
「ん〜、別に嫌じゃなかったよ」
「お願い…してもいい?」
「聞くだけ聞く」
「ずっと側にいてもいい?」
「嫌だ」
「な!少しぐらい悩んでくれたっていいじゃん!イイもん、勝手に着いてくから」
「オルはどうすんだよ」
「オルくんも一緒だよ」
「そっか」
どうやらセーラムはセーラムで俺に引っ付いてくるつもりらしい。
全てはレフィクルが終わってからなんだけどな。後は神々がレフィクルの魂を死極に封じてからだな。
結局キャスにもシャリーの事は分からないままだった。と言うよりも飲み比べの時の酒気で酔って、さっさと寝に行ったからな。
「わ、儂の妻になってくれ!」
「あんたとうとう頭のネジ飛んじまったのかい?あたしゃ人妻だよ」
「人のぉぉ、妻をぉぉぉナンパしてんじゃぁぁねぇぇぞぉぉ⁉︎」
「酒も飲めん奴が旦那ヅラすんじゃないのである!」
「んだとごるあぁぁぁ!」
「いつでも相手になってやるわ!」
「喧嘩止めるさね、2人を止め…られそうな奴はいなさそうさね…あたいの為に争わないで。ふふっ」
コッチもコッチで色々あるようだ。
さぁ神々よ。俺たちはほぼ準備は整えた。次は神々の番だ。
神々が約束した2〜3年のうちの1年半が過ぎ去っている。『魂抜きの籠手』がいつ出来るのか、そしてレフィクルの魂を死極に封じるのにどれだけかかるのか。
よく知ったヴァリュームに戻ったのだから、今のうちにできる事をしておいたほうがよさそうだ。




