表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
始原の魔術師〜時を旅する者〜  作者: 小さな枝切れ
第5章 霊峰竜角山攻略
64/146

永遠に…

マルスを探す為だけに強い冒険者を探したんだそうだ。強い=お兄様、もし違った場合は冒険者に捜しださせればいい。そういう理由だったそうだ。


「お前ってほんと考えが浅いな」

「う…く、ぐぅ。そ、そんな事よりお兄様ですわ!なんですのその色とりどりな(ひと)達は!」

「ん、あぁ紹介するわ。まずお前がビューティって言ったのがエラウェラリエル、この黒いローブ着ているサハラの女だ」


エラウェラリエルの顔がボッ!という音でも出そうなぐらい赤くなる。


「そうでしたの…

それで残りの2人は誰なんですの?」

「ロリって言ったのがセーラム。

サハラのものだ」

「まぁ!お2人も」

「もの!」


驚くリリスに微妙に嬉しそうな顔をしているように見えるセーラム。

そうじゃないーー


「ちょっと待てマルス!」


ニヤッと顔をさせながら俺を無視して続けやがった。


「んで、キュートって言ったのがレイチェル。俺の未来の妻だ」

「はう!マルスってば…」


両手を顔に当てキャーとでも擬音が書かれそうな嬉しい顔をみせる。

とーーー



「ぬぁんですってーーー!!

どこの馬の骨ともわからない小娘がお兄様の妻になるですって!身の程を知りなさい!身の程を!」

「おいリリス、レイチェルはこう見えてレドナクセラ皇帝の娘、プリンセスだぞ」


カチカチカチ…チーン!

とでも言うのだろうか…


「はうわ!

こ、こここ、これは大変失礼を…じゃないですわ。レドナクセラ帝国はもうないですわ!今はもうただのこむすーー」


パーーンッ!


マルスがリリスを引っ叩いた。リリスは痛さよりも驚きの方が強かったようで、叩かれた頬に手を当てながらマルスを見つめる。


「それは、ここトラキアル王国も同じだろう。お前だってただの小娘以下のヴァンパイアだ」

「ちょっとマルス言い過ぎよ。大丈夫?リリスちゃん」


レイチェルが優しく言うが、それを聞いたリリスはプルプルと体を震わせだしーーー

それは逆効果だレイチェル…




「さすがお兄様が選んだ(ひと)ですわ!」


そっちなんだーー




その後は全員の自己紹介がなされ、今の状況を説明し、そして本来の目的であったキャスの事全てを話した。


「自然均衡の神の代行者様、魔法の神の代行者様、知らなかったとはいえ大変失礼をいたしましたわ。どうかお許しくださいませ。

それと…この負の領域はこの別荘に住み着いたら勝手になってしまいましたの」


キャスはそれを聞くとあちゃーと諦めの顔を見せ、僕自身の方が不法行為だったからと逆に謝って解決したようだ。のか?



気になるヴァンパイアになったリリスはここで魅了した男から微量(死なない程度)の血を吸いながらひっそり生きていたそうで、誰かを吸い殺したという事などはしなかったそうだ。



とまぁこれで一応全てが解決…したのかなぁ?




「レイチェル…お姉様、お兄様をよろしくお願いいたしますわ」

「えーとぉ…うん!結婚式済んだらリリスちゃんのところに必ず報告しに来るわね。

ね、マルス?」


さらりとレイチェルの奴結婚宣言したなぁ。で、なんでマルスは微妙な顔してんだ?


「残念ですが、それは無理ですわ」

「え?」


リリスはヴァンパイアになってまで生きた理由が家族の最後を兄であるマルスに伝えたかった為だと言う。それが叶った今、リリスはボーロ家の名誉のためにもヴァンパイアとして生き続けるつもりはないと言う。


「お兄様、レイチェルお姉様、お幸せになってくださいませ。

レイチェルお姉様、お兄様はガサツで抜けててどうしようもないですが、どうか支えてあげてくださいませ」

「なんで…なんでなの?」



5年前のあの時以来リリスは太陽を見ていない。そりゃヴァンパイアにとって太陽を見る事は完全な破壊に繋がる。


「最後にお願いがありますわ。

お兄様と2人きりで明日朝日を見させてくださいませ」

「わかったよ、リリス。

すまない。妹の我儘に付き合ってもいいか?」


ずるいだろ、こんなの拒否できるわけがないじゃないか。


「そ、そうよ!人に戻れば良いのよね?サハラなんとかならないの?」


そんな事言われても困る。1度ヴァンパイアになった者が人に戻るなんて聞いた事もない。

キャスならーーー

キャスに顔を向けると首を横に振った。




その日、リリスの最後の1日望む事をしようという事になった。

リリスは最後にマルスとレイチェルの花婿花嫁の晴れ姿を見たいと言った。館にはマルスの両親が結婚の際に使った衣装がしまってあるというので、急ピッチで2人に着てもらう事になった。


「レイチェルお姉様、とても綺麗ですわ」

「リリスちゃん…

ありがとう!」


エラウェラリエルが料理を作り、食事と会話を楽しんだ。

部屋はたくさんあるため寝る場所は困る事はない。マルスは最後の夜をリリスと過ごすと早々に部屋に入った。

きっと思い出話に花を咲かせているんだろう。




そして翌日早朝

リリスはマルスに抱きしめられながら朝日を浴びて灰となったーーー



俺たちはそれを遠くからただ眺めるしかできなかった。



リリス=ボーロ

まだ18歳だったんだそうだ。

あまりに短い人生だったーーー




俺はリリスの灰を集め、昨晩館で探した小さな壺に全て入れる。


「サハラ何をしているんだ?」

「ーー俺の知っているところではこうやって墓の下に埋めるんだ」


灰を集め終わった壺をマルスに渡す。


館の片隅にそれを埋め墓を作ったーー



「じゃあなリリス、ガウシアン王国をぶっ潰して仇をとったら…レイチェルとちゃんと式挙げたら必ずここにまた来るからな。

それまで寂しいだろうけど待っててくれ」



評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ