はっろ〜えぶりわ〜ん!
宿屋に着き部屋を取った俺たちは疲れを癒すために温泉に早速向かった。
「はぁ〜生き返るな」
ウンウン頷く皆んなを見てオルが不思議そうに見る目てくる。やはりドラゴンといえば財宝浴びなんだろう。
「このお湯にはそういう魔力があるんですか?」
そう来るだろうな。セーラムがそうじゃなくてと説明し、さらなる疑問をぶつけられアタフタと答えている。
「まるで仲の良い姉弟みたいですね」
「そうだな」
毎度恒例になりつつあるレイチェルに張り倒されているマルスを見ながらその日久しぶりにノンビリとした。
部屋に戻るとセッターが例の男について皆んなに話を持ち出してきた。
一応3日休むとしてしまった以上出会う可能性は十分あり得る。その時の対応についてだった。
「強引な手でくるような事でもなければ、徹底的に無視することにしましょう」
「それが良さそうだな」
なんとなくフラグくさい気もするが、最低2人1組で行動するという事で決まった。
その日は戻って早々酒場で女将さん達に報告して、宿屋の温泉でノンビリした為既に日が傾いている。
食事でもと宿屋を出ようとすると、宿屋の主人に呼び止められた。
「あ、お客さん。言伝がありますよ」
「俺たちに?」
言伝は女将さんからで、また酒場に例の男が現れ、待っているから来るなというものだった。
仕方なく面倒事を避ける為、酒場に行くのをやめ宿屋の部屋でエルフの携帯食で済ませることなる。
「なんか逃げ回ってるみたいね?」
「違いない」
「出立する日までの間は女将さんの酒場は避けたほうが良さそうですね」
コンコココンコン、コン、コンッ!
その時部屋のドアがノックされる。その変なノックに緊張が走る…俺以外。
このテンポのノックを知っている奴は俺以外に1人しかいない。しかしこりゃまた懐かしいな。
俺がドアを開けるとそこにはやはりキャスが片手を上げて立っていた。
「はっろ〜えぶりわ〜ん!」
「なんでキャスがここにいるんだ?」
「うわー酷いなー傷つくなー泣いちゃうよ?僕」
相変わらずテンション高いな。
最初の第一声ハローエブリワンが俺以外理解不能だった為皆んなは首をかしげていた。
「で、実際の所何をしに来たんだ?」
「うん、ちょっと野暮用。こう見えてウィザードって面倒なんだよねぇ。
サハラ達の方こそ霊峰の方はどうなの?」
やっと本題に入り、攻略したこととオルのこと、ゴールドドラゴンの支援を受けれる手筈になったことを話した。キャスは特に驚くことなく頷いていた。
そして後は酒場の女将さんと旦那さんが加わり、信用おける冒険者達も加わったことを話すとこれにはさすがに驚いていた。
「じゃあ野暮用が早く終わったら全員を魔法で送ろうか?それとも歩いてくほうが好きだったりとか」
「自由気儘な旅じゃあるまいし、そんな奇特な人はいないだろ」
「ダヨネー。
んじゃあ、出来るだけサッサと済ませるから…手伝ってね?」
「それが会いに来た本当の理由か!」
言い訳もせずへへへぇと笑うキャス。俺と違いキャスは16歳の時に代行者となり、外見は16歳のまま止まっているだけに、その仕草は子供っぽさも見える。だがその実100歳を優に超える人生を既に送っているじい様だ。外見まで武器にしやがるキャスに引っかかる者も多いんだろう。
「私達も3日あるんだし手伝ってあげるのはどうかしら?」
そう、ここにも引っかかる奴がいた。
結局、レイチェルを筆頭にセッターとエラウェラリエルにセーラムまでが乗ってしまい、手助けすることになってしまった。
マルスは俺たちより付き合いが長かった為、キャスの魂胆を見抜き反対してこそいたが、結局言いくるめられる羽目になる。
「キャス、ズルいぞ」
「でもさ、帰りは魔法でバシューンって帰れるんだからおあいこでしょ?
お互い神の代行者なんだから、対価は貰わなきゃね?」
実に策士である。まぁ凡人の俺じゃ勝てる相手じゃないな。
ということで早速手伝う内容を確認する事になるが、思ったより簡単なことで、ここから数時間ほど行ったある場所まで行きたいというものだった。
詳しく聞けばゲートの魔法を使う為にはその転移場所の次元を繋ぐ為の物が必要なのらしいが、ここ霊峰の町に行く為の次元を繋ぐ為の物が反応しなくなっていたそうだ。
大抵の場合はその位置に何かが建てられた、岩が塞いだといった理由らしい。
「それってさ、手助けいるか?飛行でも使えばあっという間じゃないか」
「うん、もう行ってきたよ。ただ妙な魔力が働いていたからサハラ達がいたら護衛お願いしちゃおうかなって思ったんだ」
「妙な魔力?」
「うん…」
キャスが言うには、死霊術のような力が働いているという。どの様なと問えば土地自体に負の力が働いている感じらしい。
この世界の魔法には力、防、幻、召、変、占精、死、総、の9系統の呪文に分かれる。
それぞれ簡単に説明すれば、
力系統はエネルギーの操作
防系統は魔法的、物理的な障壁や無効化
幻系統は他者の知覚や精神を欺く
召系統は召喚や転送
変系統は生物や物体、状況の性質を変化
占系統は隠されたものや呪文を見破る
精系統は行動に影響を与えたり操る
死系統は死の力や不死なる存在を操る
総系統はここに含まれないものとなる
大抵のウィザードはこの中から得意系統1つに3〜5の系統を扱える。
俺の場合は力系統が得意系統で、防系統と召系統と占系統が扱え、実は少しだけ死系統も教わっている。
まぁ俺のウィザードとしての師匠はバルロッサだから仕方がない。
ちなみにバルロッサはと言うと、『儂は魔導王とまでよばれたんだぞ?全て使いこなすに決まっておるわ』だそうだ。
そんなわけで俺には多少の知識があるにも関わらず、全くキャスが言うものに当てはまるものが思いつかなかった。
「キャス殿の頼みであればよろしいのではないですか?それに魔法で一気に戻れるのであれば日数も稼げますよ、マスター」
「しょうが…ないなぁ…」
「わお!やったね!じゃあ宿代もヨロシクゥ!」
「調子にのるな!」
アハハハハハ
部屋中に笑顔が溢れた。
読んでくれてありがとう。
今回出てきた魔法系統ですが、参考程度で読み流してもらって構いません。たぶん今後魔法系統でどうこうはないと思うのでf^_^;)




