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始原の魔術師〜時を旅する者〜  作者: 小さな枝切れ
第4章 霊峰竜角山への道程
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追跡する者たち

すみません遅くなりました。

翌朝に俺たちは霊峰竜角山に向かい出発となり、世界樹の森から出るまでエルフ達の護衛がついて難なく移動した。

別れ際に一緒に来ていたヴェジタリアンがビスケットのような携帯食を渡してきて、一口かじるだけでお腹を満たすというエルフの携帯食をくれた。


うん、これってロードオブザリングでもあった奴だね。名前は忘れたけど。


別れの挨拶を済ませると移動を開始する。

俺は貰ったばかりのローブのフードを目深にかぶり、今のうちから慣れておけるようにして、黒髪黒目が見えにくくなるようにした。



「セレヴェリヴェン、あとどんなもんで霊峰竜角山にたどり着くんだ?」

「世界樹の森をまっすぐ抜けられたので、麓まであと1カ月といったところでしょうか」


あと1カ月もかかるのか。

どうやら赤帝山のヴァリュームのように、霊峰竜角山の麓にも町があると言う。ただしヴァリュームはルースミアからの防衛の為のものだったが、こちらは観光の為の町という事だ。


まぁそりゃそうだな。ルースミアはたぶんレッドドラゴンで邪悪属性だとすれば、ゴールドドラゴンは善属性だ。しかも神の如く神々しさを持っているとされているからな。


「ただ、ガウシアン王国に支配されているから、今はどうなっているかは分かりませんけどね」

「避けて通る事は出来ないのか?」

「無理です」


霊峰竜角山は麓の町と隣接して洞窟が口を開けているそうで、そこ以外は断崖絶壁になっているという事だ。

そして魔法などでの侵入を防ぐ為、結界も貼られていて飛行(フライ)の魔法で近寄る事も不可能になっているそうだ。

そして極めつけが、デプス30以上…つまり登頂した者は居ないという事だった。


「ちょ、ちょっとセレヴェリヴェンさん、それじゃあ私達、霊峰を攻略しないといけないの?」

「そうなりますレドナクセラ姫」

「その呼び方はこの先やめといたほうがいいぞセレヴェリヴェン」

「そうでしたね」

「セレヴェリヴェンさん、なんでそんな無謀に近い案を出したんですか?

まだ誰も登頂してないならそれだけ危険なんですよね?」

「サハラ殿が言った通りであれば、言い方は悪いですがガウシアン王国相手にたかだか蛮族とエルフが集まったところで勝てる見込みがあると思いますか?」


つまりセレヴェリヴェンは、危険であろうが少しでも勝率を上げる手段を選んでいたようだ。


「おい、じゃあなんでこのメンバーなんだ。レイチェルやセーラムは連れてこないほうがよかっただろう」

「その選択は出来ましたか?少なくとも私には無理だろうと判断しましたが」


レイチェルもセーラムも頷いている。俺とマルスが行くなら2人は間違いなくついてくる。


「こんな事ならカインとアベルも連れてくるんだったぜ。

それで?セレヴェリヴェンは他に隠している事は無いんだろうな?」

「貴方にずっと疑いの目で見られているのは気がついていましたよ。エルフは勘が鋭いのでね。

安心してください。自然均衡の神に誓って後はもう隠し事はありませんから」

「まだあるだろ。もっともそいつは聞かないほうが良さそうだな」


チラッとセーラムを見て言う。

あぁセーラムの母親の事と3人のエルフの話の事か。たぶん聞かなきゃよかったと思うような出来事でもあったんだろうなという事は誰でも分かる。




「マスター」

「あぁ、気がついてるよ。

マルス、何かが俺らを追ってきている」


騎士魔法便利だなぁ。というかやっぱりインチキだろ。


「追跡されてるって事は逃げるのは難しいな。まさかガウシアン兵とかじゃ無いよな?」

「マルス、それは無いと思うわよ。だって、こんなに離れているのに姿が見えるもの」


指を指すレイチェルの先に集団の人影が見える。

まだかなり離れているのにだ。


「ヒルジャイアントの集団ですね」

「殺るか?」

「ヒルジャイアントの集団ですよ⁉︎…とはいえ逃げても追ってくるでしょうね」



ヒルジャイアント…

大きさはだいたい3メートルほどの巨人で肌は褐色、獣皮を雑に加工した毛がついたままのものを何枚も重ねて着ている。

単体でいる事はあまり無く、2〜5体で徒党を組んで狩りをする事もあるが、6〜8体の一団を組んで襲撃する事もあり、更に9〜12体にダイアウルフを連れて小さな村を襲う襲撃隊を組むこともある。

また非戦闘員を含む部族全員と、オーガやオーク、時に人間までもが家畜のダイアウルフ全てを引き連れての襲撃と略奪で人里を次々と周りめぐる事もある。

巨人族の中でも放浪を好み、信じられないほど利己的で難なく勝てると思わない限りは戦う事は無い。

遠くから岩を投げつけるのを好み、白兵戦になるところまで来るまで岩を投げ続けてくる。

丘陵地帯近辺で出くわしたく無い相手と確か設定であったはずだったが…正直この魔物を使った事が俺にはなかった。



「ざっと見て、10体はいるか」


つまり小さな農村なんかを略奪出来るだけの戦力はあるという事になる。


「サハラ、資源の魔術は使わないでくれ」

「いいのか?」

「サハラが常にいるとは限らない。いない事も想定しなきゃならんだろ?」

「なるほどね」


とは言ったものの、大丈夫なのか?白兵戦に入ったら始原の魔術は使えないんだけどな。


ヒルジャイアントも俺たちの姿を確認すると近場にある岩を投げつけるために引き抜き始めた。


「よし!俺とサハラとセッターは突っ込むぞ!レイチェルは怪我したやつが出たら回復魔法を頼む。エラウェラリエルとセーラムは後方で魔法を頼む。

セレヴェリヴェン、あんたはどうする?」

「私の武器は弓です。距離を取りながら戦いますが、セーラム様を優先しますよ」

「分かった!みんな行くぞ!」




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