ハイエルフとは
これで今週最後です。来週まで頑張って書き上げないと…
「イヤ!」
驚いた表情でヴェジタリアンがセーラムを見つめる。セーラムは俺にしっかりと張り付き拒絶する。
「これは…困りましたね…」
俺を見つめながら、何とかしろという感じが伝わってくるのだが…
「ええっと、そもそもエルフとハイエルフの違いはなんなんですか?定命か不死というだけじゃないでしょう」
そう、俺はエルフたちがハイエルフを祭り上げる理由が分からない。ただ不死というだけで上位種というわけではないだろう。
「エルフは人と同じようなものですが、ハイエルフはどちらかといえば…人で言う所の魔力を体に持って生まれたソーサラーに近いものです」
つまりハイエルフは人で言う所のソーサラーらしい。
ソーサラーは人間では傲慢なものが多いため嫌われる者が多いが、エルフたちのほうでは優れた者として崇められる反面、負の感情に支配されると闇堕ちしてダークエルフになってしまう危険もあるそうだ。
それ故にあまり人里と関わりを持たせないようにして闇堕ちするのを防いでいるというわけだ。
そうなると人間のソーサラーも闇堕ちしてるのと同じようにも思えるが…
「人間のソーサラーは闇堕ちしないんですか?」
「人間のソーサラーも闇堕ちするのは変わりはないのかもしれませんが、エルフなどは妖精族の血を濃く持つため、魔物に近くなってしまいます」
だからダークエルフはオークを従えたりできるって事なのか。そういうもんなのか?
ちょっとこの辺は俺の知らない知識だな。
「そういう訳なのでセーラムにはこの森に…」
「イヤ!イヤイヤイヤイヤイヤ!
あたしはパパとずっと居るの!」
「ぱ…パパ⁉︎」
「あぁすいません。保護してからそう言われているんです」
「そうですか…」
どうしよう…
マルスをチラリと見れば目をそらしやがり、レイチェルやセッターは困った顔を見せる。
「私はセーラムさんはサハラさんと一緒にいる方がいいと思います」
そんな中エラウェラリエルだけは残す事に反対してくれた。
「他所の氏族のエルフが口を挟まないでもらいたいものだな」
「確かに私は他所の氏族のエルフですが、今この時に氏族も何もないと思います。
それに…
サハラさんからひきはがす方が危険だと私は思います」
ヴェジタリアンがエラウェラリエルを睨むように見た後俺に張り付き隠れるようにしているセーラムを見た後俺を見る。
「セレヴェリヴェン!今度こそしっかり護衛するのだぞ」
「はい!」
どうやらヴェジタリアンはセーラムが俺と一緒に旅する事を認めたようだ。
ホッと一安心したところで、ヴェジタリアンが俺をと言うよりも装備をジロジロと見つめてきた。
「ところで代行者殿はその外套は何処で手に入れたものですか?」
なんかイヤな気がする。
だって基本的にルースミアに貰ったものって、ルースミアに挑んだ者から奪い取ったものだもんな。
ここは素直に言うべきか?
唯一入手先を知っているレイチェルにどうしたものかと見てみる。
「ヴェジタリアンさん、そのサハラの外套も私のローブもとある方に貰ったものです。
ただ、その方の名前は言えません」
レイチェルが俺の代わりに答えてくれて、俺は情けなく頷くだけだった。
ルースミアの名前はやっぱり出すもんじゃないね。
「…なるほど…
これは答えにくい質問をしてしまい申し訳ありませんでした」
「いえ、こちらも秘密が多くてすみません」
「もし必要であれば装備をと思ったのですが…」
「お!いいねぇ。エルフの装備と言ったら最高じゃん」
おいおいマルス、少しは自重するって事しろよって自重とかするような奴じゃないよな。
「それでは次期レドナクセラ皇帝との友情を込めて私の剣、アルダを受け取ってもらいたい。
アルダはエルフ語で王国や世界を意味する。貴方にはちょうどいいでしょう」
マルスは剣を受け取ると早速降ってみる。
「確かにこいつはいい剣だ。だが、俺が王だか皇帝になれると決まった訳じゃない。それでもいいのか?」
ヴェジタリアンは微笑み返した。
「エラウェラリエルと言ったか。ウィザードのようだが…」
エラウェラリエルもエルフ製のローブを貰い、次にセッターにとヴェジタリアンが目を移す。
「私に選ぶ権利があるのでしたら、マスターと同じ外套を頂きたいのですが…」
「エルフの外套ですか?」
「別に魔法効果はなくても構いません」
男とお揃いかよ!それは勘弁してほしいぞ?だいたいなんだってそんなのに拘るんだよ。
「セッター、俺の外套が欲しいならやるぞ?ただ、こいつに防御力はなくてコマンドワードで日に3回姿が消せるだけだ」
「本当ですか!
前から綺麗な刺繍に動きを阻害されないその外套が欲しいと思っていました」
そういう事ね。確かに動きやすいし見てくれも良いもんな。ルースミアに貰ったものだけど、エルブンチェインもあるから別に良いか。
「ほら、持ってけ泥棒」
「その言われ方はチョット…」
「冗談だ冗談」
俺が外套を脱いでセッターに渡すと中に装備していたエルフの鎖鎧が露わになる。
「代行者殿には驚かされることばかりですね。エルフの外套の次はエルフの鎖鎧ですか。
それもそのある方からという訳ですね?」
「あ、ああ、そうです」
やべぇ重さを全く感じないから忘れてたよ。
「では、代行者殿にもローブをお渡ししましょう」
お、エラウェラリエルとお揃いになった。
チラッとエラウェラリエルを見れば、お揃いになって嬉しそうだ。
「先ほどのと同じく、たいした防御効果は期待できませんが、魔法などから多少身を守る力があります」
「有難うございます」
ん〜、おそらくローブ+1とかそういうもんだろうな。俺のは黒でエラウェラリエルは緑か。
フード付きだからこれからは顔も隠せるな。
レイチェルは武器も使えないし、防具はルースミアに貰った強力な魔法のローブを着ている為、何も受け取らないで断った。
勿体無い。貰えるもんは貰っておけよ。いらなきゃ俺が後で貰ったのに…なんてな。
セーラムはリングオブマナがあるのと、いまだにヴェジタリアンを警戒してか何も受け取らなかった。
そしてその日はもう旅立つには遅い為、ここで一晩明かしてからになり、一緒に戦ってくれる事になった世界樹のエルフ達1000人は俺たちが霊峰竜角山から戻った時に一緒に向かう事で決まった。
読んでくれてありがとうございます。
第4章入りました。
4章からは主役であるサハラは変わりませんが、主導がマルスに変わって進んでいます。
口調が似ているなどがあって分かりにくいかと思います。
またサハラもこの世界に順応してきてだいぶ口調が変わってきていると思います。
ちなみに書いていませんが、連絡のやり取りの使い魔はしっかり行っています。
エンセキ達のことは忘れてはいませんが、今更ながら使いにくいキャラ達だなぁと少しばかり後悔してたりします。
登場人物一覧もそのうち必要な気もしますが、あった方が読んでいる方達にはいいのでしょうか?
うーん…
さて次回更新はまた来週となります。
出来るだけ多く更新出来るよう頑張りますね。
それでは




