レジスタンス隠れ家を目指して
いよいよ第3章突入です
あれから30日ほど、あまり旧帝都を離れずに済む討伐系の依頼を受けたりしながら、俺たちは過ごしていた。
エンセキからの連絡は定期連絡程度で、特にこれといった連絡はなかった。
セッターはあれ以来あまりレイチェルに積極的に接する行動がなくなった気がする。
まぁ俺には関係ない事だが少しばかりレイチェルも寂しそうにも見えた。
以外にも早くズィーが戻り、レジスタンスの情報を俺たちに話した。
レジスタンスは荒くれ者やただ単に反逆的な集まりなんかではなく、しっかりと統率の取れた集団で、リーダーはレドナクセラ帝国の皇帝の重鎮だった人物で信用は出来そうだという事だ。
そうなるとやはり帝都奪還が目的なんだろうか?帝都奪還をした所で大陸を制圧したガウシアン王国に勝ち目はないはずだが…
「とまぁこんな感じだがサハラどうする?」
「ありきたりなセリフだけど敵の敵は味方だし、統率も取れているのなら問題はないんじゃないかな?」
「そう言うと思って近いうちレジスタンスのメンバーが迎えに来るそうだ」
「そんな簡単に信じるなんてレジスタンスは大丈夫なのか?」
「それはもちろんないさ。あえて接触してスパイなら殺すつもりなんだろう」
なるほどね。探して接触を試みるって事は敵か味方になり得る存在かのどちらかしかないからな。
その数日後レジスタンスのメンバーだと言う男3人が俺たちの前に姿を現した。
ズィーの紹介で俺たちの簡単に名前と前衛後衛程度に紹介をすると、男たち3人も自己紹介してきた。
「初めまして俺はマルスだ。
それにしても女子供ばっかりじゃないか。あんた達本気でレジスタンスに入ろうとしてるのか?」
マルスと名乗った男は端正な顔立ちに何処か高貴さを感じさせる雰囲気を持っているが、見ての通り口が悪くあまり良い印象を感じない。レイチェルに至ってはあからさまに口を尖らせて今にも何か文句を言いだしそうだ。
「マルス様、もう少し言葉を慎んだ方がよろしいのでは?
っと私はアベル。マルス様の配下です」
アベルはマルスの配下か。まさかもう1人はカインとか言わないよな?
「カインと申します。マルス様の無礼をお許しください」
………ファイヤーエ◯ブレムかよ。
いや、しかしマルスはもっと典型的な王子っぽかった。こんな感じじゃない。
「配下という事は2人はそちらの方に仕えているんですか?」
「はい、マルス様は元はトラキアル王国のボーロ男爵の子息でした」
「アベル、そう言う話はまだ早いだろ」
アベルは頭を下げるとマルスの後ろに戻った。
アベルは締まった細身の戦士と言った感じで髪が長めの優男で、カインは短髪に刈り込んだガッチリ目の戦士だ。
「詳しい話は隠れ家に着いてから聞かせてもらうし話す事にしよう。それで良いかな?」
「分かりました。
それで隠れ家まではどれ程かかるんですか?」
「悪いが俺はまだ君達を信用していないから教えるわけにはいかないな」
「それだとどれ程の食料を用意すればいいのか分からないじゃないですか?」
「それなら此方で用意させるから問題ない。
それより道程は危険だがあんた達本当に大丈夫なのか?」
「ある程度は腕に自信はありますのでご心配なく」
「はっ!そうかい。ならお守りは必要ないって事でいいんだな。
それとそこのお嬢ちゃん、いつまで口をとんがらせてる気だい?」
俺に抑えられていたレイチェルの我慢も限界がきたようで、俺を振り切るとマルスの前まで近づいた。
「あなた!さっきから聞いてれば上から目線で話さないでよね!
それと私にはレイチェルって言う名前があるの!お嬢ちゃんなんて許さないんだから!」
我慢の限界を超えたレイチェルが、腰を曲げ片手を腰に、もう片手で指差しながらレイチェルがマルスにそう詰め寄った。
「おお怖い。
分かった分かった。分かったよ、お嬢ちゃん」
キラッとキメ顔をしてマルスが顔をレイチェルに近づけた瞬間、指差ししていた手が握り締められパンチが炸裂し、マルスの顔面に思い切り捕らえた。
「うぐはぁ」
もろに叩き込まれ声をあげて後ろに倒れるとアベルがマルスを支える。
「おいカイン、アベル見たか?
あの子俺のキメ顔が効かなかったぞ」
カインとアベルは顔を見合わせるとやれやれといった表情を見せている。
一旦落ち着いてから改めて話を進め、町で長居はあまりできないからという事からいつでも動ける準備をしていた俺たちはレジスタンスの隠れ家に向かう事になった。
向かう方角としては旧帝都から西、つまりレドナクセラ帝国がオーク達に攻め入られた時に住民が避難と救援をしに向かったとされる別の国があったとされる方角だった。
先頭をカインとアベルが歩き、最後尾にマルスが俺たちを挟むように進んで行き、国と国を繋いでいた街道を歩いて行った。
3日ほど行動を共にしているとマルス達とも少しづつ打ち解けてきて、マルスも最初の頃のような威圧的というか上から目線でものをいうようなことはなくなり、話してみればなかなか良い奴だと思えるようになってきたが、相変わらずレイチェルはマルスと口を利きたがらなかった。
「なぁあの子一体いつまで怒ってるつもりなんだ?もう3日だぜ?3日」
不意に俺にマルスが声をかけてきた。
「正直言ってあそこまで怒ったレイチェルは俺も初めて見たよ」
「ん〜、そうかい。参ったね。
こう見えて俺って結構モテるんだぜ?キメ顔見せて効果がなかったのはあの子が初めてだ」
ははははと笑って誤魔化したが、マルスは男の俺から見ても確かにカッコいい。
それに自分でモテるなんていうぐらいだけあって、セレンもエラウェラリエルも顔をあわせると真っ赤になる。
ちょっとムカつく。
挙げ句の果てにセーラムまでお兄ちゃんと懐いているのまで見せられると、なんか敗北感を感じたりもした。
カリスマが高いんだろうな。羨ましい。
そんな俺に気がついたのかエラウェラリエルが俺の腕を取ってくっついてきたが、このなんとも言えないモヤモヤ感は収まることはなかった。
「マルス様!前方からワイバーンが2匹来ます!標的は私達で間違いありません!」
上空を見るとワイバーンが2匹此方に向かって飛んできているのが見えた。
今週は3話更新だけになってしまいました。
来週またこのぐらいの時間に更新します。




