調査
調査
「父親と二人の娘?」姉が写真を見ながら言った。
禎子と姉は一緒にランチしている。
「そうなるかも」禎子は答えた。
「つまり、二人は姉妹――腹違いの」姉が笑った。
「こっちの姉妹は種違いだけどね」
「で、どうするの?」
「母に見せようかと」
「うーん、どうかなぁ」姉は眉間にしわを寄せた。「ちょっと調査してみたんだけど」
「調査?」
「彼のマンション住人に聞き込みというか……」
「ちょっと、やめてよ」
「私、宅配の仕事してるから、あのマンション住人に親しく話せる人いるんだ」
「何訊いたの?」
「いや、他愛のないこと。顔なじみだし、結構向こうから勝手に話してくる、というか」
「で?」
「あの娘――好美だっけ? やはりおかしいって。半年くらい前に彼のマンションにやってきたらしいけど、とにかく幼いというか……」
「半年前?」
「ええ、ねぇ、本当にその娘、彼の娘なのかな?」
「娘じゃなければ、何?」
「パパはパパでもパパ活のパパとか」
「まさか!」
「いや、とにかく、本当に娘だとして……」姉は少し言い淀んだ。
「何?」
「いや、その住人が『別の若い娘が彼のマンションに……』とか」
「それって?」
「そう、あなた」姉が禎子を指さした。
「私が変な目で見られているの?」
「うーん、とにかくあんまり彼のマンションに行かない方が……」
「でも、私は娘として……」
「やっぱり、本当にあなたの父親だった?」
「わからないけど、多分……」
「DNA鑑定してみる? 髪の毛あるんでしょ?」
「あるけど……」
「私、頼めるとこ知ってるよ、DNA鑑定」
禎子は黙って姉を見た。
「まあ、どちらでも。白か黒かハッキリさせるか? 灰色のままにしとくか?」
禎子は何も答えない。
「まあ、何でも相談して、姉妹なんだし――、種違いだけど」
「種違いに腹違い……」禎子は呟く。
――好美の母親はどんな人なんだろう?
「じゃあ、そろそろ行くね」姉が席を立った。「今日は私のおごり」
「あ、ありがとう」
――種違いだとしても、姉とは仲いいし、精神的に助けてもらっている。
となれば……
腹違いの姉妹だったとしても……
禎子はランチの付け合わせをフォークで突いた。




