不適任 1
「ひ、ひどい目に遭いました」
「...なんかごめん」
駆けつけた時、バクは捕まった上かなり高い木に逆さ吊りされていた。さらには下で焚き火の煙で燻されて......。
「自分、食われるならおいしく調理してほしいです。」
「そこまで俺を真似なくていいから。ほら、ちょっとあれだか昨日燻製した肉を」
と、来る時調理場で昨日作っていた燻製肉を簡単にスライスを懐から出す。が、
ソレを右、左とババッ、と半分ずつぶんどられた。
正面に笑みを見せたバクが徐々にまたしわしわとなっていく。取ったのはもちろん、左右でくっついてさっきまで離れなかったマオとクロだった。
「...おい」
「むぐぐ...うん最高!」
「おいしい」
「それ、俺まだ味見もしてないんだが」
食べ終わりご満悦か、またガシッと両腕を固められた。
「ユウマが悪いんだよ。そんな危ないことしなくても僕が守ってあげるって言ってんじゃん!」
「ムキムキいや。ユウマはご飯作ってくれればいい。食材はボクが拾ってくる。」
「この飯タカりどもめ」
あれからクロはマオに近い活発さを見せるようになった。いいこと、なんだろうが俺からすれば2倍、いや二乗の面倒をかけられる。
ある時は共闘し、あることでは反発する。
驚くことがもう一つある。それは、本気ではないにしてもあの魔王が最近あしらわれるほどに強いマオに全く遅れを取らないこと。数度、組み手をしているところを見たことあるが、互いの技を真似たり、その打開策で反撃したりと、最初は勝ち越したマオを打開策で倒してからしばらくはクロが連勝、そこからマオも戦い方を考えるようになって俺にも相談するもんだから、今では勝って負けて、最近は両者倒れて引き分けにもなる。
もちろんバクも強くなった。あれからベンや、ベンの推薦もあって時たま魔王に指導を受けたりすることもあって、今はベンにも引けを取らないって本人からのお墨付きだ。まてよ、これ暗に今の四天王よりマオとクロが逸脱した何かってことの証明にもならないか?
...なるんだよな、本当に.........。
「あ、あの!」
ふと、背後から声をかけられた。俺たちは後ろを振り返り、そこに同じくらいの身長の、ローブを深くかぶった女の子?がいた。【女の子?】ってのはあくまで声でしか識別できなかったからだが、少なくとも同い年、ぐらいだろうか。魔族だと百や千じゃまだまだ同い年と言い張れるし。
「ま、マオ様、と、クロ様、と、バク、様ですよね?」
「あ、両脇のはそうだけど、バクはこっちっすよ」
「は、はい! その、【ユウマ様】が貴方、ですか?」
眉をひそめてしまった。3人のはまだわかるが、俺まで【様】づけするのはさすがに何か引っかかる。
「...人だから【様】はいりません。自分はそういう身分でもないので」
「い、いえ!! わ、私その、み、みみみみみ」
なんか壊れたぞこいつ!?
びっくりして両脇が外れたと同時、3人で後ずさってしまった。
「だ、だだだ大丈夫かなナ!!?」
「わからないわからない、寝かせたほうがいい?」
「お前ら落ち着け! 深呼吸、深呼吸だ!!」
なんで伝染しているかわからないが4人パニックになりかけた。が、意外な助け舟がひとり。
「...はい、吸ってー」
ローブの娘に肩に手を置き、バクはゆっくり吸う動作をした。
結論、困ったらイケメンに頼ろう。そう、心に刻んだ。




