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act.30

「取り敢えず、その子を殺せば事態はマシになるでは?」


 僕の問いに全員が新弟子を見た。

 シガリロを取り出して火を点ける。


「さぁ、どうする?

 僕は君達の選択を尊重しよう。選べ」


 主導は此方。

 リボルバーを引き抜いて空薬莢を一つ抜く。新しい弾を装填し、灰皿に灰を落とす。


「わ、私はサキやくるみ子と同じレベル3の能力者!

 貴方では倒せない!」


 シガリロを咥え、一発だけ。耳を撃つ。


「ヒギッ!?」

「騒ぐな」


 灰を落とし、新弟子を睨む。


「僕は受けた依頼は必ず守る」

「公社を敵に回すわよ!」


 首を振る。


「君等はそれ一辺倒だな」


 紫煙を吐いて、涙を一杯に浮かべている新弟子を見る。此方を睨み付けてはいるが、手足は震えている虚勢だな。サキさんもくるみ子さんもデブ君も固まってる。


「君等公社の人間は誰も彼も口を揃えて公社公社。

 公社如きでビビってたら、そもそも君はここに来てない。外の彼等も。

 入って来なよ」


 先程から扉の外で待っているアリス達に告げる。すると扉はゆっくりと開いてアリスとコッホにパワーアーマーの二人がやって来る。パワーアーマーの二人は手にアサルトライフルを持っていたが、弾倉を抜いて、ボルトを開いていた。また、ヘルメットも脱いでいる。

 敵意は無いのだろう。


「要件は言わずとも分かるわよね?」

「なら、答えも分かるだろう?

 ステンの娘かい?」

「アナステイシア様から命令で、彼女は俺が依頼を出した」


 灰を灰皿に落とす。

 厄介事が増えたな。


「其処の少女を知っているかい?

 氷の能力者」


 コッホが新弟子を見る。


「知らん。

 トンプソン派か?」

「らしい。

 何でも、デブ君の家族を人質に取っているらしい」


 コッホとアリスが少女を睨む。


「俺がどうにかしよう」

「すると良い」


 コッホはアリスとパワーアーマーを連れて去って行った。


「これでデブ君の案件は解決だ」


 灰皿にシガリロを置き、リボルバーを引き抜く。

 サキさんとくるみ子さんをチラリと見る。


「つまり、君が居る必要は無くなったわけだ」

「ヒィッ!」


 ユックリと親指でハンマーを降ろすと、サキさんが前に飛び出る。


「ま、待ってくれガンスリンガー!アキ!」

「何故?

 その子は敵だ。敵は殺す」

「敵じゃない!

 コイツは私の弟子だよ!」


 サキさんは手に炎を纏わせる。


「弟子が一人前になるまで護るのが、師匠の仕事だよ」


 サキさんに呼応する様にくるみ子さんもバチバチと電気を纏わせてサキさんの隣に立つ。


「師匠がカッコつけてるのに姉弟子が何もしねぇんじゃ示しがつかないだろう?」

「……成程」

「ぼっ、僕もぉ!」


 デブ君も腰に提げている拳銃を引き抜いてくるみ子さんの隣に立つ。


「僕もぉ!か、彼女が矢面に立つのにぃ!う、うう、後に隠れることはぁ!出来ないですぅ!!」


 デブ君はともかく、二人を相手にするのは骨が折れる。ある程度の殺気を込めて三人に放つ。

 サキさんもくるみ子さんもビクンと体を震えさせ、より一層構えるしデブ君も一歩下がるが、何とか持ちこたえる。3人の後ろで余波を浴びた新弟子は腰が抜けて尚且粗相をしていた。

 ふむ。


「では、サキさんとくるみ子さんにお任せしますよ。

 デブ君も、最初の頃よりは全然良いね。気概だけは一人前だ」


 リボルバーをホルスターに収める、新弟子を見る。


「3人に感謝すると良い。

 君の様な存在にまで情けを掛けてくれる立派な人達だ。特にデブ君なんか、一番の被害者なのに」

「わ、分かりました……」


 グズリと鼻を鳴らし、そのまま泣き出す。サキさん達はホッとした様に新弟子を連れて去って行く。その際、デブ君が頭を下げていたので軽く手を上げて答えておく。


「すいません、マスター。

 お騒がせをしました」

「いえ……お見事です」


 マスターがモップを持ってきてお漏らし跡を拭く。


「直ぐに食事を持ってきますね」


 そして、意気揚々とマスターはキッチンに引っ込んだ。


「す、凄いですねぇ、ガンスリンガーさんは」


 席に戻るとリンがポツリと告げた。

 何か勘違いしているようだ。


「僕は何もしていないよ。

 オイタをしたら叱る。それだけだ」


 それでも、とリンは言葉を続ける。


「それでも凄いです。

 流石シェリフの弟子ですね!」

「私は何もしてないよ?」


 シェリフは苦笑しながら告げた。

 確かに、お師匠から教わったのは銃の撃ち方と手入れぐらいだ。お師匠は見て盗め系の人だもんな。


「そう言えば、シェリフがアキを引き取った理由って何でですか?」


 エマがずっと気になっていたんですけど、と告げる。

 確かに。公社からほっぽり出された僕を引き取った理由は聞いたことないや。


「理由かい?

 そうだなぁ……私が公社が些か嫌いで、彼もそうで、そして、センスがあった」

「事前検査では拳銃の才能0でしたよ?」

「あんな検査になんの価値も無い」


 確かに。僕の今は公社の評価と真逆だ。


「どうやってそのセンスを見たのですか?」


 リンが僕を見た。


「ただ一発、リボルバーを撃っただけだよ」

「彼は銃を扱ったことないのに、リボルバーの撃ち方を知っていたからね」


 それに関してはビッグボスに御礼を言うしかない。リボルバーは肘で反動を受けるのだ。

 あとはゲートの自衛官。正しい狙い、正しい見出し、正しい照準。


「まぁ、そのお陰で今の位置にいますけど」

「センスが無ければどうしていたので?」


 リンの問いにお師匠はフムと顎に手を当て僕を見た


「さぁ?

 少なくともセンスがあると見込んだから連れてきたからね。無かった時の事は考えて無いよ」


 お師匠はそう笑い水を一口飲む。

 成程なぁ、流石お師匠。


「あの」


 そこにマリーが手を挙げた。


「どうしたの?」

「もし、私に何のセンスもなければ先生はどうしてましたか?」

「どうもしていないよ?

 君に教えているのは君のお父さんとの契約だし、君がそう望むからだ。君にセンスが無くてもやる気があれば教えていたし、センスに満ち溢れててもやる気が無ければ何も教えていない」


 君がそうあれかしと望むなら、僕は斯く或るべしと育てよう。それが契約だし、それが先生の仕事だ。

 そう告げるとマリーは少し驚き、それから嬉しそうにありがとう御座いますと俯いた。


「そう言う割に基本的戦闘指導は全部私任せだよな」


 カウンターにてコーラを飲んでいたベルナドットが告げる。


「適材適所さ。

 僕はメンタル。君はフィジカル。お互いに棲み分けをしただけさ」


 実際、僕は戦術のセの字も理解していない節がある。まぁ、僕は一般人代表みたいなもんだから当然といえば当然だ。

 火星では守れと言われた所で銃を撃ち続けていただけだし。確かにまぁ、ゲームとかである程度の戦術的なのは知っているがやはり専門にしてる人に比べたらまだまだだ。だから、闘い方は全てベルナドットに任せる。

 僕の戦い方がマリーに向いているとは思わないしね。


「お待たせしました」


 良いタイミングでマスターが料理を持ってきてくれた。うん、良い香りだ。

 全員の料理が揃ってから食べ始める。エマはリンから最近の公社事情を聞き、お師匠はマリーと談笑している。僕は話し相手が居なくなったので足元をウロウロするキノコを持ち上げ、机の上に。


「お前は何処から出て来たんだ?」


 キノコはうのうのと手足を動かしている。試しにナイフでキノコの核を突いてみるとキノコは一瞬硬直し、その後グテンと動かなくなった。

 死んだのかな?

 ナイフで頭から真っ二つに割ると、刺した場所から傷の付いたビー玉みたいな物が出てくる。ふむ、これが核か。


「ガンスリンガーさん。そのでかいキノコは?」


 キッチンから出て来たマスターが驚いた顔をして僕を見ていた。


「稀少な動くキノコの死体だね。

 食べると美味いらしい」


 マスターに渡すと、匂いを嗅いだり触ったりした後奥に引っ込んでいった。取り敢えずランチの続きだ。

 ハンバーグを食べているとマスターがあのキノコを焼いたのかステーキサイズのデカイキノコを持って来た。


「醤油とバターで焼いて塩コショウを掛けただけだが」


 試しに食べてみる。


「ほぉ!これはこれは……」


 テーブルの中央に置いて全員を見る。

 お師匠が一口切って食べる。


「これは凄いな」


 お師匠も納得出来る味の様だ。


「マッシュマンちゃん……」


 マリーは何やら非難がましい目を向けていたが普通に食べた。


「マッシュマンちゃん美味しい……」


 そして、普通に二口目も行っていた。やれやれ。


「このキノコ美味しいわね!

 私もキノコ好かれるナノマシン打って頂戴!」


 エマが図々しい頼みを腕を突き出して告げる。


「良いですよ」


 リンは平然とそれに答えて注射した。やれやれ。

りんちゃんも前世の名残キャラ

M79使いでキノコ使いのJK

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― 新着の感想 ―
[一言] 得体の知れないものをホイホイ射っていいのかw イカれすぎw
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