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【09】盗賊につかまりました


真理愛まりあたちが向かうアルドラ王国は、

馬車で行くと数か月もかかる。


なのでこの場合、

カスタード王国の王宮内にある転移陣を利用させてもらうのだが、

その際に、王様に謁見するというイベントは特に発生せず、

真理愛たちはこっそりと転移陣を利用させてもらった。


面倒くさいしがらみとか起きなくてよかったな、と思う反面、

ちょっと残念に思ったのは内緒だ。


両国間の手続きなど、そういうのは全部

エルフ族に頼まれたセルラ家が仕切ってくれたようで、

アルドラ王国王宮内に着いたあとも、完全スルーで外に出られた。


カスタード王国とアルドラ王国の王宮は

真理愛から『駅』として認識されても仕方がないと思う。


両国の王にしてみれば、天使には会ってはみたいものの、

下手に交流してエルフに肩入れしていると魔族に思われるのは避けたい。


火の粉がふりかかるのを未然に防ぐのは、自国を守る王としては当然の判断だろう。



真理愛の通うことになった学校、エレメンタル魔法学園へは

アルドラの王都から馬車で三日かかる。


途中、野宿をするということもなく、日が暮れるとちゃんと宿場町で休むという、

当たり前といえば、当たり前な道程のはずだった。



なのに、今。


薄暗い洞窟の中


全員が閉じ込められていた。



――どうしてこうなったかというと。



◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆



――さかのぼること少し前、


急に馬車が止まり、何事かと思って窓を開けると

外で言い争っている声が聞こえた。


「たすけてっ! たすけてください!!」


叫んでいるのは若い娘が二人。


来ている服は上等だが、転んだのか泥で汚れている。


「どうしたのですか?」


「盗賊がっ! 盗賊が出て! お父様とお母さまがっ!

お願い、助けて!!」


泣き叫びながら騎士に懇願している。



三人のうちの二人の騎士が、『様子を見てきます』とその場を離れると


さっきまで打ちひしがれていた若い娘たちは豹変し、


あっという間に、真理愛たちは捕らえられてしまった。



◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆


――そして、今に至る。



「ガハハハハ!! よくやったねぇ! アンタたち」



大きな声を張り上げながら洞窟に入ってきたのは、

『ダ・ダ~~~ン』と叫びだしそうな、胸もおしりもでかい

巨体の女だった。


つりあがった目と大きな口、どことなく爬虫類っぽい。


「ア、アマゾネス……?」


「ああん?」


睨まれて、真理愛はぶんぶんぶんと頭を横に振る。


先に様子を見に行った騎士たちも捕まったようで

後ろ手で縛られたままつれてこられ、放り込まれた。


「う……ぐ、マリア様、申し訳ありません。油断しました」


「だ、大丈夫ですか?!」


「ふん! 男はしびれ薬を塗ったナイフでかすっただけさ

死にゃあしないよ!」


ガハハハハハハとまるで悪役そのものといった笑い声をあげる。


(……この世界って盗賊とエンカウントし過ぎなんじゃあ……)


真理愛はげんなりとした。


「わ、私たちをどうするつもりですか?」


ミーシェラが気丈にも噛みつくように訴えると、

女頭領はふんと鼻で笑った。


「猫ごときが威嚇したって、かわいいだけさね!!

女は娼館に売り飛ばす、男はちょいと種だけもらって

騎士様は身代金でももらおうか?ダメなら奴隷行きだね」


その言葉に全員青褪める……が、

若干一名だけ、ちょっと目をうるませ、頬を赤らませていた者がいたが

真理愛は全力で気づかない振りをした。


(女だらけの盗賊団って、なにそのあり得ない設定……っていうか、ビキニアーマーってほんとに着る人いたんだ。ああもう面倒くさいから魔法で逃げちゃおうかな)



真理愛が魔法を発動させようとした、その時


ガンッという衝撃が襲った。

一瞬の熱さで、自分が殴られた、と最初はわからなかった。


「マリア様っ!!」


ミーシェラが叫んでる。


(――なんで、今殴られたのアタシ)


「あたしはねぇ、アンタみたいに守られて当然、

自分のせいじゃありませんってツラしてる

貴族のお嬢様って奴が、でぇっきらいなんだよ」


「やめろ!! 貴様、それ以上は……グェッ」


言い終わらないうちに、騎士のお腹を蹴り、頭を踏んづける。


「騎士さんっ!! やめてっ!! 死んじゃうっ!!」


「いい子ぶるんじゃないよっ!!」


「ぎ、ぁ!」


髪を鷲掴みにされ、突き飛ばされる。


圧倒的で理不尽な暴力を身に受けて、真理愛の思考が止まる。

恐怖に支配され、さからうことも、攻撃することもできない。


(――悔しい)


「ふん、弱いからやられるのは当然だろう?」


(――なんで、魔法、なんでっ!! 出ないのぉっ)


「弱いくせに人を見下すような目で見てんからこうなんだよっ」


「殴るなら私を‼ 私が代わりますからどうか‼」


ミーシェラの必死な声。


(ミーシェラ、だめだよ。そんなこと言わないで。

ミーシェラがこんな事されたら、私もっとつらいよ。

ああ、もう、いったいなぁ……

殴られたり蹴られたりするのってこんなに痛いんだ)



「ふん、顔は売り物だからねぇ、避けてあげたんだ、感謝しな。

……これ以上は勘弁してやるよ。

逃げられないよう、足でも折っとこうか」


そう言うと足首をつかみ、ぐいっと引き寄せた。


「い、やだ、」





 


「……その手を離せ。外道が」



その声は、



「アース、さん」



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