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やがてリアルは黙示録  作者: 幾刃 傾奇
第一篇 「初まりの始まり」
5/5

#5


_前回までのあらすじ_


 「ボクと付き合ってほしい」



**********



 さて・・・オッス、俺は無月 大和。

 現在絶賛現実逃避中。

 理由は、女の子から告白を受けたから。


 多分俺はフリーズしている。

 というか、絶対だ。


 しばらく固まっていると、彼女は言った。


 「・・・?今の言葉は変だったな・・・私に付き合ってほしい」


 ・・・??・・・!!この人・・・あのね”に”と”と”では言葉の意味だいぶ変わるんですけどおお!!


 俺は心の中でシャウトした。

 よりによって間違えちゃいけないところを間違えちゃったよ、この人!!


 こんな感じというかこのままを俺はシャウトした。

 そんな心の葛藤が分からなかったのであろう、というよりも他人の考えは分かんないだろっ!!

 俺のテンションはおかしかった。

 

 それ置いといてさらに彼女は聞いてきた。

 

 「お寝坊なしづきくん、聞いているのかい?」


 「おいこら、誰が「お寝坊くん」だ」


 「ふふ、聞いていたのならボクの質問への返事もしてもらいたいのだがね」


 ぐう。ホントにぐうの音も出ない。出てるけど。

 

 「ああ、悪かった。付き合うってどこへ?」


 俺だって馬鹿じゃない。

 過去に一回あったのだ、このような事が。

 こんな感じで女の子に呼び出されて、行ってみたら得物持った不良さんたちがゾロゾロと襲いかかってきたという事例が。

 その時はモチのロンで逃げ出した。

 あんな大群に勝てるはずがない。ましてや得物持っていたのだから。

 すぐさまエスケープして事なき得た。

 しかし、昔のように語るが1年前の高校一年生の話だ。まだ、記憶に新しい出来事だ。


 おっと、まあこのように俺だって学習能力はあるのだ。

 今回は慎重にいかせてもらおう。

 

 そして彼女は答えた。俺の質問に。


 「なに、生徒会室さ」



**********



 ドナドナ、と子牛が売られていくみたいに俺は連れられてここへ来た。

 生徒の模範となる品行方正な生徒たちの集団が集う部屋。その名も「生徒会室」へ。


 多分、過去も未来も俺にはまったくと言っていいほど関係、もしくは来ることがない部屋であろう。

 

 ガチャ、と八雲さんは扉を押し開けた。

 窓はすべてスモークガラスになっていて中の様子が分からなかったが部屋の中には6人の生徒がいた。

 多分、というか絶対生徒会役員だろう。

 それぞれの役職によって席が決まっているらしく、座っている席の机の上には「会長」やら「書記」などと書かれてある置物が乗っていた。


 「すみません、遅れました」


 八雲さんが声を発する。八雲さんも役員なのか?

 空いてる席には「生徒会副会長」とあった。役員で副会長らしい。

 俺たちのこの学校では生徒会がすべての役職を決める、という規則が存在する。

 なので1年生が生徒会に入っているのも珍しくは無い。

 でも、と思う。入学式は無いだろうと。


 まあ、それも全て生徒会の意向だろうから口出しはしない。


 それにしても何で俺は八雲さんの付き添いでここまで来たんだろうね。

 そう思っていると、生徒会役員が口を開けた。


 「お、連行できたらしいね」


 「ふん、ようやくか」


 「・・・御苦労さま」


 「あう・・・お、お疲れ様です」


 「ふんふん、おおー中々のイケメンくんだ」


 初めから順に「生徒会長」さん、「生徒会副会長」さん、「生徒会書記」さん、「生徒会書記」さん、「生徒会会計」さんという感じで発言した。


 「あら、初めまして。お姉さんは会長の「水無月みなづき 時雨しぐれ」。よろしくね♪」


 いきなりの自己紹介で驚いた。もっと手順を踏まないか?普通。

 そして、会長の自己紹介で堰を切ったように次々と挨拶された。


 「私ねー、会計の「百瀬ももせ 奈々なな」。よろしくね」


 「・・・書記の「九十九つくも 舞子まいこ」。」


 「あ・・・お、同じくしょ、書記の「千歳ちとせ 百合子ゆりこ」です。よ、よ、よろしくです」


 「ああ、次々とありがとうございます。俺は「無月 大和」です。まぁ、よろしくお願いします」


 つい、流れで俺も自己紹介した。

 タイミングを逃すよりかもいいかも知れなかった。


 そういえば一人自己紹介がなかった。

 唯一の男子である。


 「こら、みーちゃん。ちゃんと自己紹介しなさい。お姉さん怒るよ」


 会長が男子みーちゃんに言うが、男子は答えなかった。

 どうかしたんだろうか?

 ・・・分かった。

 俺は男(仮にも先輩だが)に近づき肩に手を置いて言った。


 「大丈夫ですよ、先輩。あなたのハーレムを汚しませんから」


 突如腕を取られて先輩に投げられた。俺は床に思い切り叩き付けられる。そして先輩は言った。


 「よほど、死にたいようだな!!」


 顔を見ると表情は般若だったが肌は真っ赤に染まっていて恐ろしさはなかった。

 

 「あいててって、先輩照れてるんですか?」


 俺は質問する。がしかし返答は無く、先輩はデスクにつきまた黙々と仕事をした。

 顔を真っ赤にしながら。


 「あ!!そうそう、八雲さん俺なんで連れてこられたんだ?」


 投げられて当初の目的を思い出した。


 「それは、ちょっと君に質問があるからだよ」


 また茶目っ気たっぷりで彼女は言ったのだった。

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