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ゲームの世界は好きだけど転移したいなんて言ってない!  作者: For-rest-one
第一章 悪炎竜『マローガドラコ』
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石版印刷

 スライムとの死闘の後に師匠は、弓を持ったモンスターと目隠しをして闘えだの、魔法を維持しながら剣を扱えだのと、多様な条件を付け足しつつ召喚を繰り返した。


 そして今、僕が()()()骸骨のモンスターを殴り倒して、打ちのめされた骸骨が消滅し始めた時、長い訓練は終わりを告げた。


「おし、そろそろ時間も近づいてきたし、(しま)いにすっか」


 休憩も入れていたとはいえ、ほぼ連戦のようなものだったから、僕は息が上がってしまっていた。


「あ、終わりですか……。 ふぅ……」


 痺れる拳を労りながら、鍛錬場にゆっくりと腰を下ろした。

 空を見上げると、日はかなり高い位置にあり、戦いの本番が近いことを知らせてくる。


「疲れただろうが、無論、無駄な事は一切してねえ。 今やったどれもが戦闘に役立つ技術だ」


 ならば二つほど前にやらされた、右足の小指で攻撃する訓練も無駄ではなかったのだろう。

 半信半疑の目を師匠へ向けていると、どこからか石版を取り出した。

 一見、変哲もなく、小綺麗な石の板という感じだが……。


「どれ、ちょいと成果を確認するか。 ……動くなよ、聖魔法『ファクルタス・(能力)アポカリプシィ(啓示)』」


 師匠が石版をなぞりながら唱えると、石版は眩く輝き始めた。

 一体どのような魔法なのか、皆目見当もつかない。

 けれど、この光を見ていると、何故か落ち着くような気がする。


 やがて光が収まると、石版には白い文字が刻まれていた。

 師匠はそれを眺め、納得したように深く頷いた。


「上々の出来だ。 これならドラゴンに……負けることは、ほぼないな」


 ”負けることは”……。

 勝てるとは言わない。

 つまり、相打ちの可能性を指しているのだろう。

 大陸の人達からすれば、僕が死んだとしても、ドラゴンさえ討てていれば何ら問題は無いのだから当然だ。


 とはいっても、見ず知らずどころか、異世界の人達のために犠牲になるほど僕は善人じゃない。

 可能であればの話だが、どうにも勝ち目がないようであったら、躊躇なく僕だけでも逃げ出すつもりで……。


「嫌なら、逃げたって構わねえぞ」


 ……え?


「大陸の人間だって、馬鹿正直に残るわけじゃない。 ……まあ、生まれ故郷を手放したくないって、奴も時々いるが、結局自分の命が大事なんだ」


 心を見透かされたようで、言葉を失う。


「実際に今までも、結構な数の召環者が逃げたり、自棄になって取り押さえられたりした。 悪炎竜(マローガドラコ)は討伐されないが、永遠に残るわけでも、世界を滅ぼすってわけでもない」


 師匠は話し続ける。


「だから、逃げたって俺は責めねえし、追いもしない。 正直なこと言うと、お前が負ける可能性と逃げる可能性、足したって大して変わりやしないんだ」



初めてパソコンから投稿するので少し遅れてしまいました。

申し訳ない…。

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