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窮地ですね
足音を極力抑えながら、裏道を縫うように進み、大きな魔力の発生源へと少しずつ近付く。
異変に気付いたのは、その直後だった。
「……あれ? あそこ、人が立っていませんか?」
建物の隙間から覗く大通りに、一人の冒険者らしき男が立っているのを発見した。
後ろ姿なので顔はよく見えないが、目立つ外傷も無く、ただ静かに佇んでいる。
避難か協力をお願いするため、近付こうとしたが……
「待ってください」
僕の腕をダリアが掴み、止めた。
そして続け様に、その冒険者を指した。
「迂闊に出れば、あの者と同じ目に遭いますよ」
そう言ってダリアは、珍しく余裕の無い顔を見せた。
一体、どういうことだ?
「端的に話します。 ――あの者は、精神魔法の餌食になっています 」
精神魔法?
どこかで聞いたことがあるような、ないような――。
「とにかく今は、ここを離れましょう。 かなり厄介な敵です」
彼女が踵を返そうとした時、僕の背中側、つまりは大通り方面から、悍ましい寒気を感じた。
ダリアが驚愕とも絶望とも取れぬ表情を見せる。
「逃げ――」
詳細な設定に時間を割いていたら、本文の方が少なくなってしまう例です。




