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伝統芸能
僕の言葉に、その場の全員が動きを止めて、外の音に意識を向ける。
ほとんど真っ暗闇のシェルターで、感覚だけが異様に研ぎ澄まされる。
……だが、シェルターの扉が分厚いのか、いくら耳を澄ましても音は入ってこない。
まさか本当に槍が降っているとは思わないが、もし敵国の攻撃なら、爆発音の一つや、その振動が伝わって来てもおかしくない。
いったい、地上で何が起きている?
このままシェルターに隠れているのは、本当に最善策か?
答えが出る前に、アスピダが手を挙げた。
「あたしが、一度外を見て来ます。 このまま待ってても、何も分かりませんから」
僕と、同じ考えに至ったのだろう。
行動力のある彼女らしい即断だが……、さすがに危険だ。
その提案に、誰よりもソフィアが猛反発した。
「駄目よ! それなら私が行く。 これでも、炎属性の相殺くらいなら覚えているわ」
だから絶対に安全、という話でもないのだが……。
戦う姿を見たわけじゃないから何とも言えないが、僕の中では前衛として機敏に動くアスピダの方がまだ安全な気がする。
「それなら私が行きますよ。 基本属性の相殺なんて造作もありません」
ダリアまで張り合いだした。
いや確かにそうかも知れないが、うーん……?
というかこの流れはもしや……!
「じゃあ僕が行きます」




