厨二病は恥に非ず
「炎魔法『フランマ・カタルシス』!」
言い終えると同時に、男の掌に烈火が顕れる。
その勢いは彼の手を焼き尽くさんばかりに荒々しいが、当の彼は微塵も臆せず、危なげなく炎を見せびらかしている。
まるでパフォーマンスの一環かのような振る舞いだが、揺らめく炎は確かな温度を僕に感じさせた。
「どうだ? これで信じる気になったろう」
魔法についてはもう疑いようがない。
というか、これ以上難しく考えていたらどうにかなってしまいそうだ。
それよりも、今度は別の疑問が生じる。
何故、彼は火傷を負わずにいられるのだろう?
僕の心中を汲んでか、男は話した。
「これは基礎魔法『熱操作』の応用だな。 空気中を漂う魔素を媒体として、周囲の熱をコントロールできる」
僕のゲーム経験から、魔法があるのなら、魔素とやらもあるのでは無いかとは薄々察していた。
本当に存在するかは定かではないが、重要なのはこの世界では魔法があるということだ。
「更に、魔素を発火させたりすることも出来る。 そして、自慢みたいになるが魔素の操作が上手ければ応用魔法が使えるって訳だな」
まるで御伽噺だ。
俄に信じられないが、目の前の景色が全てなのだ。
「そんで、今俺は手と火の間の温度も調整してるって訳だな」
理屈はわかったが、もしかすると相当な高等テクニックなのではないか?
ともあれ、僕はドラゴンを倒すためにこれを覚える必要があるらしいが……。
「さて、次はお前がやってみな」
「僕がですか?」
「お前以外に誰が居る」
やはり僕は魔法を使えるようにならなければいけないようだ。
「そうだな……、最低でも四つは覚えてもらわなきゃ困る」
「ちょっと待ってください、四個もですか?!」
口を挟まずにはいられなかった。
一日しかないのなら、いっても二個程度だと思っていた。
「基礎飛行魔法、身体強化魔法と身体硬化魔法、そして遠隔攻撃魔法。 この四つがなけりゃ、ドラゴン戦は厳しいぞ」
語感から意味は何となくわかるが、意味が分かるだけで、仕組みが全く分からない。
魔法とはそんなに簡単に覚えられるものなのか?
「勿論、剣の鍛錬も並行して行う。 こっからが本番だぜ」
滑り込みセーフです。
次から気をつけます。
修正箇所 一字下げ
(20/06/03)




