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ゲームの世界は好きだけど転移したいなんて言ってない!  作者: For-rest-one
第一章 悪炎竜『マローガドラコ』
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硬ってえ植物

 冗談としか思えなかった男の発言は、どうやら本当らしい。

 斬られた案山子の表面も断面も藁のようだが、試しに叩いてみるととんでもない硬度だった。

 どうやって加工したのか不思議な程で、下手すれば隣の金属製より硬い。


「それは鋼藁(スチールストロー)っつう、この辺では見ねえが、北の方では結構生えてる植物だ。 詳しいことは後に回すが、その硬さは隣の鉄カカシも顔負けだぜ」


 って植物かい。

 その鋼藁(スチールストロー)とやらは恐らく、というか十中八九こ(・)の(・)世(・)界(・)にしかない植物だろう。

 しかし鉄(・)という馴染み深い単語が出てきたのは意外だった。

 僕のいた世界と共通する物質が幾つもあるのだろうか?


「そうでしたか……、でも、どうして斬れたんでしょうか?」


 すぐさま疑問を口にした。

 鉄より硬いものを、鉄を斬れなかった僕が斬ったのだ。

 当然何らかの理由があるのだろう。


「ああ。 それは、意志の強さだ」


 意志?


「お前が対象を斬ろうという思いが強いほど、その剣は斬れ味を増す。 そしてまた逆も然りってわけさ」


 なんだそれは。

 まるで僕の苦手な根性論じゃないか。

 やれば出来ると言ったところで、世界は変わらない。

 なんて胡散臭い……。


「おっ、その目、信じてないな?」


 言われなくとも疑う。

 僕のいた世界では、そんなの有り得ないのだから。

 ……そう、僕(・)の(・)い(・)た(・)世(・)界(・)では。


「実際、お前は最初『できっこない』とか思ったろ? だから剣は斬れ味を落としたんだ」


 言われてみればその通りだ。

 二度目の挑戦の時は、『行けそう』と思いながら剣を振り下ろした。

 それにそもそも、ここは別世界だ。

 ここでのみ通用することもあるのだろう……、と強引に納得して、話を続けた。


「このカカシは見てくれだけ弱っちいからな。 召(・)環(・)者(・)への実践を踏まえての説明にお誂え向きって訳よ」


 確かに、この見た目なら誰だって脅威に感じない。

 要は、鉄の方も行(・)け(・)る(・)と(・)思(・)え(・)ば(・)行けるってことか。


「勿論、その性質は無敵って訳じゃねえ。 今のお前が幾ら気を強く持ったところで、斬れるものはたかが知れてる。 今日の所はもう一つ、というかこっちがメインだが、ドラゴンを倒すために必要な知識を習得してもらおうか」


 ドラゴンを倒すための知識……。


「一体何の知識ですか?」


「ああ。 取り敢えず、基礎魔法を使ってみてくれ。 種類は問わん」


 ……。


「えっと……、基礎魔法、と言うのは?」


「おっと、そこからか。 魔法がない世界からの召(・)環(・)者(・)は久々だな」


 どうやら魔法がある世界がメジャーのようだ。

 ……って、そうじゃない。


「……魔法。 そんなモノ、本当にあるんですか?」


 ドラゴン。 離れない剣。 言葉が通じる石。

 ここまで見てきたものはそれぞれ生物学、心理学、機械工学での説明の余地があり、タチの悪いドッキリだなんて思い込めたが、魔法なんて来れば一つの詭弁すら出なくなるだろう。

 故に、それを見てしまえば、僕は思わざるを得なくなる。

「ああ、ここは本当に違う世界なのだな」と。


 忙しさで抑えられていた不安が湧き上がってしまう。

 理解することが出来ず頭が混乱してしまうかもしれない。

 それでも、もしドラゴンを倒さないと帰れないのならば。

 その為に魔法を覚える必要があるならば、知らなくてはいけないのだろう。


「ああ、あるとも。 お前の世界には無かったようだがな」


 男は平然と口にした。

 その言葉は、僕を沈黙させるのに十分だったが、男は続けた。


「試しに、簡単なやつを見せてやろう」


 そう言って男は片手を前に出し、静かに呟き出した。

 その殆どが聞き取れなかったが、言葉の所々には古めかしい表現が入っている。

 やがて男は叫んだ。


「炎魔法『フランマ・カタルシス』!」


言った傍から投稿が遅れてしまいました。

遅くとも一週間に一度は投稿するようにします。

さもなくば死んだと思ってください……。

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