深淵の瑠璃 #20
「………。」
ペンを進める。
**-*年12月25日
ようやく、自分のしてきたことについてわかった。
全部。
もともと神だった事。
天界でのこと。
アリアのこと。
世界のこと。
みんなが言うには、私を止めるために、
オリヴィアの月長石を取りに行ったり。
トパーズの核石のかけらを取りに行ったりしたらしい。
私が作った、宝石精霊。
きっと、みんなを苦しめたと思う。
だから、人間が許せなかった。
けれど、それは違うと、ようやくわかった。
苦しめたのは人間じゃなかった。
私だった。
だから、自分なんて死んでしまえばいいとおもった。
けれど。
みんながそれを止めた。
どうして止めたの?
と、みんなに聞いたら。
「私たちは苦しんでなんていない」
と、答えた。
「私は苦しんでなんていない。もちろん、苦しんだ宝石精霊もいたと思う。だけど、それでも、宝石精霊の命ができたのはラピスのおかげ。ラピスがいなかったら、私たちはいなかった。だから、ラピス――――ありがとう。」
と。
スフィアは答えた。
なら。
私が生まれた意味は、あったのかもしれない。
生まれたことを、誇りに思ってくれる宝石精霊たちがいる。
ようやく、生まれた意味がわかった気がした。
何十年も何百年も何千年も何万年も、わからなかったこと。
ようやく、今わかった。
だから、これからは。
「自分が宝石精霊に生まれたことを、誇りに思えない宝石精霊」を、救いたい。
生まれてきてよかったって、みんなに、思わせてあげたい。
自分勝手だけど。
でも、自分の子には幸せになってほしいと思うから。
それから。
これも、ずっとできなかったことだけれど。
人間たちを、愛せるようになりたい。
今までずっと憎んできたけれど。でも、この人間たちだって、私が作った人間たちなんだ。
人間たちにも、幸せになってほしい。
私も、人間になったから。
幸せになりたい。
いや。私はもうすでに、幸せなんだろう。
こんな、宝石のように綺麗な日々を、送れるのだから。
**
……ペンを置いた。
こうして、私たちのお話は少しずつ変わっていく。
これは、永遠のお話ではない。
いつか、私は死ぬ。
その時きっと、変化が起こる。
私が死ぬことで、煌星荘は変わる。
だから、私は幸せに死にたい。
いつか、寿命で死ぬその時まで。
人間として、幸せに生きたい。
…これが、これこそが、
私たちの日々だ。
“人間 ラピス”
“深淵の瑠璃” 終




