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月の涙 #20
「もうすぐです…準備してください!早く全員回収して脱出します!」
今回も車を運転してくれているのはスピアさんだ。警備員を言いくるめて城の敷地内に侵入している。
…地味に私たち、すごいことしてない?
「着きました!降りてすぐ回収してきてください!」
車から外を見て、見つけたのは。
スイ、ペア、アメスト、…そして、クリミア。
なんだ、全員いるじゃない。脱出は成功したんだ!
…待って、違うよ。そうじゃない。
「…っ、おい、クリミア!」
ホープが呼びかけたのにもかかわらず、ずっと鉄の扉を開けようとしているクリミア。
なんだか…様子がおかしい。
待って、もしかして!
ホープが言っていた…!
「オリヴィアさ…ん、開けてください…!」
もう一人が出られていない!
考えろ、私。
何が起きた?もしかして、中で誰かに見つかった?
いや…それだとおかしいんだ。クリミアの言ってることからして、オリヴィアさんが…
中から閉じている?でも、もしそうだとしてそれは一体如何して?
理由がわからない…何一つ見えてこない。
駄目だ、駄目だ駄目だ、どうしたらいいの?
呆然とする私の横を、一人の影が通っていった。




