月の涙 #15
クリミアは、共鳴でホープによる熱烈な説得を受け、ここを脱出することを決めた。
それから、ホープによる伝言を通して、ルビアに色々聞いて…
脱出が、できるかも知れない。そう見通しが立った。
「あっ、クリミアさん!大丈夫ですか!?頭痛ですか!?」
オリヴィアは慌ててクリミアにそう聞いた。
「オリヴィアさん!えっと、そうじゃなくて…いま、ホープさんとは共鳴…というのをしまして。」
クリミアが照れ臭そうに答える。
…なんか、テレパシー的な何かか…それで、相手がホープ…
ああ、なんとなく、僕は察しがついた…
「共鳴…?それって…ルビアさんの持ってた資料に確か…」
「ルビアさん…あ、ルビーの宝石精霊の方のことですか?先程、ホープさんを通して、色々とお話を聞きました。」
待った。今、気になる言葉が…
…ホープ!
「ホープ!?ホープたちは無事なの!?」
「あ、はい。どうやら無事のようで…今は軌跡荘というところにいらっしゃるようです。」
「軌跡荘…ですか…それで、ホープさん…とは、どなたのことでしょうか?」
あれ…ホープのことって隠した方がいいかな…?
まあいいや、存在はどうせ割れてるだろうし。
「一緒に煌星荘に住んでいた、ダイヤモンドの宝石精霊さんです。それで……その……共鳴を……」
「…あの、共鳴って確かルビアさんの資料だと心を通わせ…」
オリヴィアは共鳴について何か知っているようだった。
…その先を聞きたかったが、頬を赤らめたクリミアによって遮られた。
「きょ、共鳴をしまして!」「共鳴って何ー??」
アメスト!僕は察しがついたけど突っ込むんだな!すごいなあああアメストおお!
…僕はだいたい察しがついた。「心を通わせた宝石精霊同士」はどうやら脳内会話…もとい、テレパシー的なことができるらしい。
そしてアメスト…聞かないでやって…
そっとアメストを引っ張って止めた。アメストは「ちぇー」と言って止まってくれた。
「あ、あとで説明しますっっっ!」
クリミアは顔を赤くしてそう言った。
「えーっと…待った。さっきから気になってたんだけど…ルビアさんって、誰のことかな?」
多分、スイも察しがついたんだろう。スイから質問、というかアメストの追求を止めた。
「あ…ルビーの宝石精霊の方です。ロベルト国王の…「コレクション」で、今は軌跡荘の管理をしているようです…」
そこでふと、オリヴィアさんが首をかしげる。
「あれ?先程、ルビアさんに色々と質問をしたようですが…ルビアさんって…その、喋れませんよね?」
「えっと…え?喋れたようですが…」
「喋れたんですか!?」
そのレベルでコミュニケーション取ってないんかい!!
ああ、たしかに「話しかけづらい人」と言っていたけども…
なるほど。新しい友達…クリミア、そして私たちに縋る理由がよくわかった。
友達がいなかった。だから彼女は…
「えーっとつまり…クリミアちゃんは、ホープくんと共鳴…テレパシー的なことをして、ルビアさんに話を聞いて、脱出する方法がわかった…ってことかな?」
スイが話をわかりやすくまとめてくれた。そうだと思うが…
「ここから出られる!?やったあ、早く出ようよ!こんな暗いとこいたくない!出よう!?」
とてつもなく早口のアメスト、そりゃあそうだ。
最初から「ここに居たくない」と一貫して居たアメスト。アメストは元からそう決めていた。
それから、クリミアもホープとの会話を通して出ることを決めたらしい。
僕は、ここに居たいわけじゃないし、脱出する。
そして、スイは…
「他の4人のこともある。そして僕もなるべくここに居たくない…脱出するべきだと、思うよ。」
…これで、4人の意思は固まった…。
4人の意思は。
つまり、もう一人…
「……み、皆さん………こ、こから…出られる、のですか…?」
オリヴィア。
「どこかに、行って、しまうの、ですか…?それじゃあ、私は…」
またひとりぼっち。と、小さく呟いた。
目からは涙が零れ落ちる。
溢れる、涙。
「もちろん、そんなことはしません!」
「……え?クリミア、さん…?」
「一緒に出ましょう!ここから出て…煌星荘に行きましょう!」
クリミアは手を差し伸べる。取りやすいように。
…そして。
オリヴィアは、その手を取った。




